いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MUNMCI 】情熱も理知もなくただ淡々と負けた

※23/24 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsマンチェスター・シティ戦の記事です。

 

どういう意図を持ってメンバーを決めたのかがまず理解出来ず、更にピッチ上で起きる失敗も同じことが繰り返されていくだけという非常に虚しい90分。シンドイという感想がいの一番に出てきたのは言うまでもない。

 

 

 

 

【Match Review】

 

この試合でも先日亡くなったサー・ボビー・チャールトンを悼む時間が取られ、会場に訪れたサポーターがパネル文字で作った巨大な「SIR BOBBY」はそれだけこの伝説的な人物がマンチェスター・ユナイテッド、ひいてはフットボール界全体にとって大きな存在であり、なおかつ親しみを伴って愛されていたことを示している。

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Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 7 Mount, 9 Martial, 15 Reguilón, 17 Garnacho, 19 Varane, 21 Antony, 37 Mainoo, 46 Hannibal

マンチェスター・シティ
4 Kalvin Phillips, 6 Aké, 8 Kovačić, 11 Doku, 18 S.Ortega, 21 S.Gómez, 27 M.Nunes, 52 O.Bobb, 82 R.Lewis 

 

前半

 

コペンハーゲン戦の先発からアントニー、レギロン、ヴァランが変わって代わりにエリクセン、リンデロフ、エバンスが先発。指揮官はこの変更を戦術的理由と述べ、後に「リンデロフのLBはボールを持つ際に角度を持たせたい意図。右にヴァラン、左にマグワイアのユニットを組むと相手のプレスに対しロングボールを蹴るだけになる。」、「高い位置からプレスをかける相手に対しマグワイアは右サイド(利き足側という事を強調したいのだろう)でこれを交わし、相手のビルドアップに対してはフリアン・アルバレスの背後にアムラバトを上げて人数的な圧力を上げる(意訳です)」と語っていたが、やはりテン・ハフはピッチ上で起きている問題の原因を見つけるのをやや苦手にしているのではないかという想いがまた1つ強まるコメント。

 

ラッシュフォード、マクトミネイ、エリクセンとそれぞれ理由に違いはあれど強度の高い前線プレスを行うには相応しくない人員を3枚起用して狙いがこれなのか……と正直がっくりしてしまった。寧ろ高身長をセンターラインに固めたローブロックで攻撃を凌ぎ、エリクセンやブルーノの一発のパスからラッシュフォード-ホイルンドに委ねるしか勝ち筋の無いラインナップで、本当に真っ向からぶつかるならアムラバトの前に運動量&意識の途切れが少ないハンニバル、マウントを並べてなるべく献身性の高い選手で固めるのは必須条件であったと思う。

(そもそも今起用出来る選手達で搦め手なしで挑むのが間違っているのではないかという真っ当な指摘は封印)

 

ユナイテッドのポゼッション時の配置、特にビルドアップは全体がまばらにピッチ上へ散らかっているような形でどこを取っても距離感が遠く、俗にいう幅を取れというのはワイドでウインガーフルバック1人が広がってまさしく翼のように独立しろという意味で、それ以外の箇所はウォールパスやレイオフなどの複数の絡む瞬間的なコンビネーションプレーが成立する間合いを保つべき。どんなクラブでも取り入れているロンドやその応用練習が何のために行われているのかを少しでも考えれば自ずとたどり着く答えだろう。

 

逆にシティのワイドに気を取られるユナイテッドの守備体勢はその内側に走り込んでくる選手をずっと捉えられないままで、ウインガーのプレスバックかセントラルMFのカバーのどちらもチーム内で徹底されていない+個々のスライドの遅さ・緩慢さで無様にハーフスペースを使われていく。それでも序盤を無失点で越えたのはひとえにオナナの神がかったセービングあってのものだ。

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22分、シティ右サイドやや遠距離からのFKはフリアン・アルバレスのアウトスイングのキックをダロトが背走しながらヘディングでクリアし、その後もシュートを撃たせる事無く凌いだように見えたが、中央で競り合っていたホイルンド-ロドリの所でファウルを取られてPKが宣告される。

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丁度当事者がホイルンドだったアーセナル戦のこのプレーと比較して片方がペナルティで片方は何もなしという点で相変わらずPGMOLのアンチ・ユナイテッド姿勢が継続している事を薄々勘付いた方も多いと思う

 

PK自体はハーランドが右下に沈めて先制はアウェイチーム。

 

31分には相手のバックパスのエラーからCB間を抜くボールに真っ先に反応するホイルンドに決定機が巡ってくるも、少しバランスを崩してシュートに移行出来ず。ストーンズが手をかけていたので倒れればPK相当だと思ったが、愚直にボールを追いかけるホイルンドの生真面目さ自体は個人的に好き。

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とはいえ、こういうタイプの選手は負荷を逃がすのが苦手で短命なキャリアに終わってしまった例を何度も見てきているので、今後は丁度いいくらいのずる賢さを身に着けて怪我のリスクを減らして欲しい。

 

そしてマグワイア、確かに相対的には悪くない内容だと考えているが、35分の自陣ゴール前での空振りのように空間認知,情報処理能力の限界値の低さがそもそも根本的な問題として存在する上に、単純に足も遅いのでやはりレギュラーCBとして信頼を得る事は出来なさそうだ……

 

アディショナルタイム1分、CKを凌いで久々に攻撃のターンに入ったユナイテッドは右に流れていたラッシュフォードの速めのクロスから最後はマクトミネイのボレー。エデルソンの好守に阻まれたものの、やはり最初から開き直った展開を狙った方が良かったのではないかと思わせるシーンだった。

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また、アディショナルタイム4分にはニアポケットに走るベルナルド・シウバのクロスから、抜け目なくリンデロフの背後を取っていたハーランドに完全なゴールシーンが生まれてしまったように見えた所をオナナの人間技とは思えない良い意味で理解不能なビッグセーブが窮地を救う。ようやく彼らしいダイナミックさが戻ってきたという事なのだろうがそれにしても凄い。

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後半

 

ハーフタイムを経てテン・ハフの下した決断はアムラバトを下げてマウント投入というものだった。強度の高いマウントを入れる事は正しいし何なら前半部分で言及したように最初からラインナップに加えるべきだったと思うが、その交代人員がアムラバトというのが正直理解に苦しむ。

 スタメンの中でまともなディフェンシブMFは彼しかおらず、下げた理由が負傷要因かつ交代先がポテンシャル評価でのメイヌーでギリギリ納得がいくレベルに勝利の可能性を遠ざけた判断としか思えない。

 

そして49分の失点シーンついても、アムラバトがいれば丁度エリクセンの所なので守備対応を誤らず防げた類のものだったのではと思わずにいられない。確かに相手のフィニッシュワークが完璧な設計で思惑通りに決まっているのだろうが、それをアシストしたのはユナイテッド側の細かい判断のエラーが積み重なっていった結果。

 

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 ボールスキル、状況判断、意思決定で全て劣る上に、献身性や苦しい所でもうひと踏ん張りできるチームへのコミットメントでも負けているのだからそりゃあまともな試合になりようがない。

 

配置の問題についても毎試合のように彼らが欠陥を修正出来ずにいるのでこちらとしても毎回同じ事を書き連ねていくという虚無感。確かに主力選手は離脱しているが、経験の積み重ねであるボールプレーや瞬間のプレー選択は難しいにしても、このレベルのフットボールならば全体の立ち位置やマークの基本的ルールなどは遥かに短い時間でトレーニングセッションで意識づけできるものだろう、そう考えるのは外野の高望みなのだろうか。

 

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 例えば、ユナイテッドの選手は余裕のある状況でも味方ではなく取りあえず前に跳ね返すだけのヘディングをしてボールを失うケース(とりわけマグワイアが目立つ)がままある。戦術家という評判が先行しているだけでテン・ハフが実はモチベーター寄りかもしれないと何回か言及した記憶があるが、実戦でおこる事象から読み取る上ではやはり細部の詰めが大分甘く、アヤックスでの隆盛も今思えば徹底したチーム哲学の埋め込みをユース時代に完了している、要は手間をかけなくても勝手にチームを機能させる素晴らしい素材がふんだんにあったからこそなのではないかと。

 

69分のユナイテッド、エリクセンの対角ロングボールにルベン・ディアス-ウォーカー間で一歩先んじて反応したラッシュフォードが走り込む点と点のコンビネーションで相手ゴール前での得点機会を創出するが、肝心のシュートが枠を捉えず。振り返るとチャンスになったのは分かりやすく全てダイレクトな展開から。

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73分に2人の選手を替えたユナイテッド、しかしそれが試合の状況に与えた影響は殆どなく、淡々とシティが自分たちのペースで時間を費やしていく様を見せつけられるオールド・トラッフォードホームチームサポータ―達。

 

80分の3失点目などは正にピッチ上の選手達も半ば投げやりになっていたが故の結果だったのではないかと思う程にエリクセンのロドリへの寄せは軽く、エバンスもリバウンドへの準備を怠って完全にボールウォッチャ―。スタジアムを後にするファンの姿が映し出されていたが、こんなものを見せられては残念でもなく当然。

 

ここから先のことは途中出場したアントニーが短気をみせて顰蹙を買ったり、彼がフラストレーションを貯める原因になったジェレミー・ドクのドリブルに右サイドを切り刻まれたりしたのだが、正直鮮明に覚えてないし思い出す気もない。

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データ

 

Standard

 

試合後のスタッツはポゼッション4:6、シュート数7:21とズタボロ。支配率はそもそもボールを持って勝てるゲームでも無かったからいいとしても、簡単にバイタルエリアまで運ばれてオナナのスーパーセーブ集が90分間で作成できてしまうくらい決定的な得点機会を作られ続けた守備面には不満しか残らない結果だ。

 

単純な被シュート数だけで言えば開幕節のウルブス戦の方が多い(23本)ことは確かだが、対ユナイテッドのプログレッシブパスの数は今季リーグ10戦で断トツ最多の59本(2番目に多い試合で45本)と内容を見ると明らかに今回の方が悪い。

 

試合自体の最優秀選手はユナイテッドからはただ1人奮闘し続けたオナナで、7セーブのうち4回はボックス内から放たれたシュートだった。シティからはピッチの広範囲で複数のタスクを1人でこなし、ビッグチャンスクリエイト3と得点機会の面でも最大の貢献を果たしたベルナルド・シウバという事になりそう。

 

xG

 

 

markstats算出のゴール期待値はユナイテッド0.89-シティ4.05。実際のスコアより凄惨な結果となっている事でオナナの特筆っぷりがより一層際立つ。

 

PASSING NETWORKでユナイテッドの陣形がぐちゃぐちゃになっているのは殆どまともなポゼッションが出来ずにホイルンドかラッシュフォードお願い!というカウンター一本だったので酌量の余地はあるとしてもリンデロフに左幅を取らせてしまっている時点でそもそも前提から間違っていたのではないだろうか。

 

また、中央でほぼマクトミネイと被っているブルーノもプレッシングの始動が連帯出来ず自分本位になっている場面がチラホラとあり、試合序盤の段階で指揮官自らピッチに檄を飛ばしてある程度割り切ったブロック守備に切り替えさせるべきだったと思う。

 

あとがき

 

負け方にも格というものがある。残念ながら近年のマン・シティ戦はホームですらそのくらいの注文しか付けられないくらい完成度に差がついてしまった。

 

ミッドウィークの予定はカラバオカップニューカッスルとプレミア対決。マグパイズもバーンズ,ボットマン,イサク,マーフィーとトップチームの戦力に怪我人が増えているが、死の組になったチャンピオンズリーグではグループステージ折り返し視点で勝ち点4の2位につけるなどこちらよりは遥かに希望のあるチーム状況。

 

本来ならリーグ戦を睨んで戦力温存を考えたいコンペティションであるものの、今のマンチェスター・ユナイテッドにそのような余裕はあらゆる意味で存在しない。