いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #WorldCup 】Day11、またしてもフェアプレーポイントが大きく展開を左右する

 

2018年のロシア大会で試合に負けている状況にも関わらずフェアプレーポイントによる突破を狙ってリスクを冒さず、自陣内でボールを回し続けた日本を対戦相手として見ていたポーランド。4年の月日が経ってまさか自分たちがその仕組みをフル活用する事になるとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

 

 

 

 

オーストラリア vs デンマーク

 

システムを試合毎、試合中にも大胆に変えて来るデンマークのヒュルマンド監督はゲームの入りにバック4の上にホイビェア、その上に4枚をフラットに置いた4-1-4-1を選択したが、オーストラリアのサイド攻撃がそれほど脅威ではないと見るや両ワイドを高めに残して4-1-2-3に変更。

 

突破力のあるLBのメーレに高い位置を取らせ、左サイドでの優位と右のハーフスペースでパスを引き出すスコヴ・オルセンの動きからオーストラリアのゴール前に何度も侵入するがフィニッシュが伴ってこない。一方のオーストラリアは個で違いを作れる選手はいないもののチーム全体の献身性が高く、特にレッキーのトランジションの早さには目を見張るものがあった。

 

後半も基本的に同じ展開だったが、60分のオーストラリアは相手が前に人数をかけて攻撃してきた所でボールを奪い、自陣からカウンター開始。中央でのデンマークのカウンタープレスを回避し左サイドにボールを移すと、マッグリーのパスを受けたレッキーが2度の小さい切り返しでメーレの重心をずらしながら最後は股を抜いたシュートで見事ワンチャンスを活かした。

 

デンマークとしては大会期間中において信用できるストライカーが不在だった事が致命傷になってしまった。EURO2020で存在感を発揮したドルベアやユスフ・ポウルセンはそれぞれ低パフォーマンス、コンディションの懸念もあったのかそもそも起用されないといった状況で、コーネリウスやブレイスウェイトもチャンスを決めきる事が出来ず、今大会のスコアラーはDFのクリステンセンただ1人。これではどうしようもない。

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マンチェスター・ユナイテッドのファンとしてはエリクセンが消耗せずクラブに戻ってくる事はポジティブに捉えたいが、もっとやれるチームだと思っていただけに比較的恵まれたこのグループで最下位敗退という結果は小さくない衝撃。

 

 

チュニジア vs フランス

 

オーストラリア上回られる恐れは一応あるものの、勝ち点で並んでも試合前の状態で得失点差6のマージンがある事からほぼほぼ首位通過が決まっているフランスはヴァラン,チュアメニを除く9人を入れ替える大胆なターンオーバーで最終節に臨んだ。

 一方のチュニジアはフランス出身の選手が多く、ハンニバルやハズリのように中には世代別でレ・ブルーでのプレー経験を持つメンバーいる事からこの試合に特別な感情を持っていた選手もいたと思われ、勝利すればトーナメント進出の可能性も残っている事からモチベーションでは明らかにこちらが上。

 

3-4-3でWBの攻撃参加による数的優位を奪うチュニジアは積極的にCKを狙い、オフサイドになったものの8分にはセットプレーでゴールネットを揺らす等4年前のチャンピオン相手に一歩も劣らない試合展開。そして歓喜の瞬間が訪れたのは58分、フェイスガードを身に着けるスキリが中盤でフォファナからボールを奪うと、丁度エアポケットになっていたフランス陣内の中央をハズリがドリブルで運び、ボックス手前でボールを左に蹴って相手DFの対応を一歩遅らせるとグラウンダーのシュートを流し込んで先制。

 

この場面、フランスは相手の前線3枚に対しバックス4枚が残っていながらまんまとシュートを打たせてしまっており、ヴァランかコナテとどちらか一方はボールホルダーに詰めなければならなかっただろう。この他にもヴァランはらしくないプレーが多く、フォームを完全に取り戻すまでにはもう少し時間がかかるかもしれない。

 

アディショナルタイムにフランスは同点ゴールかと思われたが、最初のヘディングがクリアではなくコロムアニ(フランスの12番)に身体をぶつけられた事による跳ね返りと判断された為にこの時オフサイドポジションにいたグリーズマンの得点は無効となった。

 

試合は1-0でチュニジアが勝利したが、もう一方のゲームでオーストラリアが勝ち点3を手にしたためノックアウトステージ進出はならず。

因みに、この新解釈が生まれたキッカケはネーションズリーグ決勝のエンバぺの得点。

 

 

サウジアラビア vs メキシコ

 

3分、メキシコはバックラインに降りたエドソン・アルバレスからロサノへの楔のボールで一気にサウジアラビアのFW,MFラインを突破し、その後前を向いたロサーノのスルーパスにベガがGKとの1on1を迎えるも決めきる事が出来ず、結果的にはこれが大きな痛手となっている。

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勝てば自力でノックアウトステージ進出を手繰り寄せる事が出来るサウジアラビア。しかし、この日はアルゼンチン戦で勝利の一因にもなったハイラインを維持したプレッシングではなく、5バック気味に引いて守り勝ち点1でも構わないというような試合運びを見せる。

 

前半を通じて多くのチャンスを作ったメキシコだが、中々ゴールを奪えずにHTを迎える。決勝トーナメント進出には勝利した上で得失点差を改善させる必要があり、その焦りがプレーに出ていたのかもしれない。

 しかし、後半開始早々の47分にはCKからニア手前フリックからゴール前ワンタッチ、今大会の黄金パターンとも言える決定機で先制。

 

更に52分、30mを優に超える遠い位置からルイス・チャベスが直接ゴールマウスを狙って左足を振り抜き、丁度インパクトの寸前にGKの重心が蹴る方向と逆に大きく動いた事もあって直接ネットを揺らす衝撃的なゴールが生まれた。

 

後述するポーランドとの関係性で後1点が何としても必要なメキシコはその後も攻勢を強め、チャベスのFKやロサーノの突破から惜しいところまでは行くものの、サウジアラビアDFの最後の所で伸びる足やGKアル=オワイスのセービングにも阻まれその1点が遠く、87分にはカルロス・ロドリゲスのスルーパスにアントゥナが抜け出して遂にその時がやってきたかと思わせたがオフサイド

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逆にサウジアラビアアディショナルタイムに1点を返し意地を見せ、最終スコア1-2でメキシコは試合に勝利したもののグループステージ敗退となった。これにより94年アメリカ大会から続いた決勝トーナメント進出の連続記録は7で途絶える事に。

 

 

ポーランド vs アルゼンチン

 

共に勝利すれば自力で突破を決められるチーム同士の組み合わせですが、それぞれの思惑には違いがあったようで、ポーランドは圧縮した4-4-2ブロックでサイドでの展開は許容しつつもゴール前にだけは侵入させたくないと中央を固める。故に序盤からアルゼンチンが高いポゼッション率を記録しますが、こうなる事は事前段階で見込まれていたのでリサンドロ・マルティネスが活きるケースが多かったのではないかと贔屓目無しで思います。

 

フルバックが実質ウインガーのような位置取りを取る事は変わらずも、今回はDMにカバー範囲が広くキャリー能力を兼ね添えチャンスメイクのパスを入れる事も出来るエンツォ・フェルナンデスを使った事で前後分断が前2戦よりも解消され、フォルスナインのメッシもより危険な位置取りが出来るようになった。今大会のアルゼンチンが好成績を収めた場合、最大の功労者は彼だろう。

 

ポーランドのエンゲージラインが低いのでアルゼンチンは比較的楽にボール保持することが出来、多くの得点チャンスが生まれたものの乗りに乗っているシュチェスニーが悉くこれを凌ぎ、CKの際にかなり厳しい判定でアルゼンチンに与えられたPKですらもストップ、1大会2度目のPKセーブはタイ記録とのこと。

 

前半、期待値にして2得点程の危機を何とか凌いだポーランドでしたが46分、ロメロの楔から右サイド大外をディ・マリア,モリーナの2人で突破したアルゼンチンはマイナスのクロスにマック・アリスターが冷静に右足で合わせて先制。ギリギリまでフリアン・アルバレスの真後ろに位置取りする事で、自身がシュートを打つスペースをボックス内に確保したマック・アリスターのクレバーさが光る。

 

後半はポゼッション2:8でひたすらアルゼンチンの猛攻が続くが、同時刻開催のサウジアラビア-メキシコで後者がリードする状況になっていた事から、この時点で得失点差でグループ2位を確保しているポーランドはそれほどリスクをかけて同点弾を狙いには来ない。すると67分にはエンツォが1人を交わした後、2人のDFを引き付けてラストパスを入れて最後はアルバレスがファーに蹴り込んで追加点

 

さて、これでより一層混迷を極めたのが2位争いで、同時点でポーランドとメキシコは勝ち点4,得点2,失点2と勝ち点,得失点差,総得点の全てで並ぶ事となり、フェアプレーポイントの差でポーランドが首の皮一枚で2位を死守。

フェアプレーポイント

減点方式で採点され、内訳は

  • イエローカード:-1pts
  • 2枚目のイエローによる退場:-3pts
  • 一発レッドカード:-4pts
  • イエローを提示されている状態で一発レッド:-5pts

これに基づき算出すると、この時点でポーランドは-4Pts、メキシコは-7Ptsと2チームには大きな差があり、メキシコとしてはサウジアラビアにもう1点を加え得失点差を改善させる事が必須条件。

 

この状況でポーランドの取った作戦は「前に出てリスクを冒し得点を狙う」ではなく「5-4-1で次の失点を何としても防ぐ」であった。一見すれば負けている状況で試合を放棄するような戦い方に見えるが、4年前のワールドカップで丁度3戦目の対戦相手だった日本が同じく負けている状況でフェアプレーポイントによるトーナメント進出を狙い、批判に晒されながらも完遂した事もこの決断を後押ししたのかもしれない。

 

ただ、忖度する必要のないアルゼンチンは3点目を積極的に狙い、アディショナルタイムには途中出場タグリアフィコがループシュートシュチェスニーの頭上を越え、何とかキヴィオルがカバーするというギリギリのシーンも。

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もう一方のカードでメキシコが追加点を手に出来ず、更にサウジアラビアが1点を返しポーランドは思惑通り2位通過を決めた。