いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MUNBRE 】McSauceがチームを救う!! 最後の最後に大どんでん返し

※23/24 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsブレントフォード戦の記事です。

 

 

終盤に試合をひっくり返すのは往年のマンチェスター・ユナイテッドの醍醐味の1つでした。サー・アレックスの意思を継ぐマクトミネイがそれを復活させてチームの連敗脱出、これぞフットボール!!

 

なお、McSauceの由来についてはこちらの記事をお読みいただけると幸いです。

 

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 9 Martial, 14 Eriksen, 17 Garnacho, 21 Antony, 28 Pellistri, 34 Van de Beek, 39 McTominay, 46 Hannibal

ブレントフォード
7 Maupay, 13 Zanka, 14 Ghoddos, 15 Onyeka, 33 Yarmoliuk, 36 Kim Ji-Soo, 37 Olakigbe, 38 Brierley, 40 Balcombe 

 

相手チームに気になる名前があったので軽く紹介。

 

ブレントフォード36番のキム・ジス(Kim Ji-Soo)は今年6月に城南FCからアカデミーを持たず各国から有望なティーンエイジャーを直接スカウティングしてくるビーズのBチームへ加入した選手で、どうやら韓国国内ではキム・ミンジェ2世と称されているらしい。代表チームではベテランの域に入ったキム・ヨングォンの後任として近未来の主力になると期待されているそう。

 

前半

 

マンチェスター・ユナイテッドは左アムラバトに右カゼミロのダブルピボットで、相手陣内で押し込むor前から守る守備ではアムラバトがDFライン前に構える4-1-4-1を主に採用。ブルーノはサイドに固定というよりマウントと頻繁に入れ替わって中央や逆サイドまで顔を出すというのは前の試合と同じで、その際に右大外で幅を取るダロトの質的優位はチーム内でも大分浸透しているように感じた。

 

ブレントフォードは5バックの前にセントラルMF3枚、更に前線にプレーエリアの広いウィサ-エンベウモを並べた5-3-2をベースとし、前進手段は左右に相手を揺さぶってからの大外を上がるWBへのロングフィードやハーフスペースに流れるFWへ中盤からの斜めのパスが主たるもので、カウンターを狙いつつ相手の配置が整う前に陣地回復及び侵入、そこで獲得したスローインやCKからの更なる得点機会を徹底して狙う。

 

気になったのはビルドアップでのDM2枚の関係性がアンカー役カゼミロ,前に行くのがアムラバトになっていた事で、今までの試合から推測するにテン・ハフは大まかな配置こそ決めているかもしれいが個々の役割についてかなり流動性を持たせており、選手主導にするとよりボールに触れたがるカゼミロが1人目のレシーブ役になってしまうのかもしれない。

 ただ、彼の後ろ向きでのプレーは事前準備やファーストタッチの乱れ等多くの部分でトップフライトの激しいプレッシャーの中では致命的なウィークポイントになりやすく、実際に今回もそうなってしまった。

 

普段のゲームよりもゴールキーパーからショートパスを繋いでいく頻度は少なかったように思うが、その中でもいざ試行したケースでは24分のエヴァンスへのファウルが認められて助かったシーンのように相手の守備陣形に対する味方の人員・配置が整っていないケースも見られ、結果的にその粗が後の失点に繋がっているとも言える。

 その24分のプレー自体はガラタサライ戦で触れた以下の例に近い要因で発生していると考えていい。

参照:【MUNGAL】お粗末すぎる3失点、誰も信用できないCB問題
MUTVより引用(研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません)

 

前振りはこの辺りにしておいて問題のエラーについて見ていこう。

 

ユナイテッド陣内左サイドからのブレントフォードのFKはマティアス・イェンセンのロングボールを弾き返して自分たちのボールにする事に成功、その後アムラバトが中央でクリスティアン・ノアゴールのファウルを誘いプレーが途切れる。リスタートはマグワイア→カゼミロへのショートパスだったが、カゼミロの位置が相手1stプレスの前方だった事とマグワイアがその詰まっているところにボールを入れた事で懸念通りカゼミロがポゼッションロスト。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

その後、慌ててボール奪取したエンベウモにスライディングタックルしたブラジル代表MFだったが、ディフレクションがヨアヌ・ウィサの懐に入ってビーズのショートカウンターが始動。ウィサのアウトサイドパスをクリアしようと試みたリンデロフのキックが非常に半端なモノとなり、こぼれ球が足元に吸い寄せられてきたイェンセンの左足のシュートは決して褒められた内容では無かったがGKオナナの下方向への反応の悪さにも助けられてそのままゴールネットまで到達。

Embed from Getty Images  

 

リアルタイムで見れなかったので普段よりも感情的にはなりませんでしたが、先述したようにレシーブ役の人選とその人数、そしてポジショニングとこのチームのビルドアップのふわふわした部分がそのまま実戦におけるエラーの多さに繋がっているだと思っています。

 ブレントフォードの明確なゴールチャンスもここまでそう多くは無かっただけに、五分に進めていた試合を自滅で悪い状況に持ち込んでしまうというここ数試合と同じように展開に生で見ていた方々は憤慨したに違いない。

 

個人的にビーズの選手で目に留まったのが今回は2人いて、1人は左のWBで出場したアーロン・ヒッキー。

 

Embed from Getty Images  

 以前に彼のプレーを見た際には気づきませんでしたが、斜め回転のカーブでもストレートでのパンチショットでも中長距離のキックの質が非常に高く、クロスのみならず引いた相手に対してのミドルシュートやDF裏を突くロブパス等ポゼッションの時間が長いメガクラブ武器の特徴をもつ選手に見える。一方で守備スタッツは過去シーズンに遡っても強調できるポイントが無く、この点が彼の課題なのかもしれない。身体能力優位のリコ・ヘンリーとはまた違ったタイプで、もう少し上背があれば,或いはエアバトルの勝率が高ければルーク・ショーをCBに本格的にコンバートした際の後釜候補にも推薦したくなっていた。少なくとも、継続的に追ってプレースタイルや性格面などをよりハッキリとさせたいと思わせる魅力があるのは確か。

 

 

後半

 HT明けのユナイテッドはカゼミロを下げてエリクセン投入。残酷ではあるがこれは妥当な判断であり、後半の方が明らかにボール保持が滑らかになっていてアタッキングサードでポゼッションできる時間が増えた。

 

また、恐らくマウントとブルーノは配置自体を入れ替えていて、両者の比較ではマウントの方がシンプルに味方を使う傾向が強いのでオーバーラップするダロトにとっては自分のランニングにボールが来る回数が増えてやりがいを感じやすかったかもしれない。

 

そして1アンカーになったアムラバトはようやく慣れ親しんだ景色でピッチを俯瞰する状況が生まれ、持ち前のボールキャリーや身体の向きで相手を騙すパス等上手くプレッシャーを往なしながらいい意味での緩さをチームにもたらしていく。守備ではスプリントのスピードやボールを背負う相手に対してのコンタクトにやや不安を覚える事はあったが、自制出来ず欲しい場所にいないというのはほぼ無かったので及第点以上は与えられる内容だろう。

Embed from Getty Images  

 

 62分のマウントの落としからの内側を取ってボックス内に侵入していたダロトのシュートは左サイドに相手の視点を集めて素早く反対側にボールを振り、準備の間に合わない内にフィニッシュまで持っていく一連の計画性を感じられる良いシーンだった。アタッキングサードでのブルーノのアイディアとそれを実現する技術・胆力はやはりずば抜けており、だからこそ彼にはより高い要求をついつい求めたくなったしまう。

 

上記チャンスの直後、ゴールキックになってプレーが途切れたところでユナイテッドはアントニー,ガルナチョを投入し両ウイングの人員を変更。アムラバトとエリクセンがフェーズによってポジションを入れ替えるのは納得のいく調整だったが、この陣形は10分足らずで解消されている。

 

リンデロフとストラコシャの接触で暫く治療のため試合が止まった後、再開のタイミングでブレントフォードは2枚の交代カードを切り、ユナイテッドもその1分後にリンデロフに替えてマルシャルを投入し4-2-4で前線の出力を上げようと試みる。

 前線が横並びになってしまうと停滞感が生まれ却ってバランスの悪くなる恐れもあるが、ボールに多く触りたいマルシャルが頻繁に中盤まで降りてくるので選手同士のプレースタイルの違いで縦関係が生まれてその心配はせずに済んだ。

 

とはいえ、押し込めているもののブレントフォードの5-3ローブロックは裏やライン間のスペースが非常に狭く、特に中央に無理に縦パスを入れようものならエンベウモを中心とする高速カウンターの餌食になってしまうリスクも孕んでいるので中々得点への糸口を掴めずに時間が過ぎていくオールド・トラッフォード

 

実際に中盤でのロストからモペイのシュート及び直後のCKからのノアゴールのヘディングはいずれもゴール上部を捉えたように見えてヒヤッとさせられたが、守護神の好反応で失点は阻止。もしかするとオナナはこの類のショット対応には自信があるのかもしれない。

 

 最後の交代枠に選ばれたのはマクトミネイ。ここからとんでもない劇的なドラマが待っているとはこの時のマン・ユナイテッドサポーターは思っても見なかった事だろう。

 

まずは89分、ブルーノの左サイドからの強烈な直接FKのディフレクションから、ガルナチョがリカバリーしたボールを左足のグラウンダーでゴール前に蹴り込むとクリストファー・アイェルのオウンゴールで同点に追いついたかに見えたが、直前にボールに触れていたマルシャルのオフサイドで得点は取り消される。

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アディショナルタイムも6分提示のうち2分半を越え、いよいよ命運尽きてしまうかと思われたタイミングで、ガルナチョのバックパスフェイクからの反転,間髪入れずの左足のカットバックにダロトがダイレクトシュートで合わせると、GKが弾いた後ネイサン・コリンズが何とか蹴り出したボールを右足でコントロールしたマクトミネイ。

 宙に浮いたボールを水平に切るような狙いすましたボレーシュートでゴール左下隅を撃ち抜いて同点ゴール!!

  この瞬間の彼にはまるでジネディーヌ・ジダンが宿っているかの如く一連の美しいボールコントロールであったが、これを土壇場で出来るならば普段からもっと良いパフォーマンスを見せてもらえないかとも。

 

同点に追いついた喜びとどこがもどかしい気持ちが同居する中、大きな声援を背に勝ち越しゴールを貪欲に狙うユナイテッドの面々。エリクセンの低空クロスを何とかマイボールにして横に繋いだホイルンドのポストプレーから、96分のマルシャルのボックス内での決定的なチャンスはGK正面へのシュートに終わり、残された時間は30秒程度。

 

そんな最中、GKのクリアボールの競り合いでダロトが右サイドでファウルを獲得すると、ブルーノの対角線のロングキックをマグワイアが中央へ頭で折り返し、ゴール前に向かっていくボールの先にいたのはまたしてもマクトミネイ!!!!

 正直今夏のマーケットで彼を放出しなかった事に関してマイナスの感情を抱いていましたが、そんな過去の自分を戒めたくなるくらいにこの2ゴールの衝撃と価値は大きかった。交代策を見てもテン・ハフがかなり追い込まれていた立場なのは薄々感じ取れるので、そんな一番苦しい時に最高の結果を残した彼を素直に称賛したい。

 

通常の試合展開の中でマクトミネイをどこで使えばいいのかと問われると、アンカーは無理,セントラルMFとしてもトランジションや狭い位置でのボールプレーに難がある為に厳しいのが実情だが、この活躍やスコットランド代表でのスコアラーっぷりを見るとトップ下かFWならばまだ道があるかもと思わせてくれるので一度は試して欲しい。

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データ

 

Standard

 

最終スタッツはシュート数21:11、オンターゲット8:3で久々にユナイテッドがペースを握った展開で、ガラタサライ戦で7割台に落ち込んでいたパス成功率も88%まで数字を回復させている。

 

ファウル数も警告の数も相手より少なく終えられている事も収穫で、更にカゼミロやラッシュフォードに改善を促す為の危機感を与えるという意味でも後半の交代カードの切り方は良かったと考えています。

 

そしてこの試合の英雄であるマクトミネイのスタッツはボールタッチ5回で2ゴール奪取、何と効率的な事でしょうか。因みにリーグ戦のチーム内トップスコアラーは2得点のブルーノだったため、僅か10分程度でマクソースはそれに追いついてしまった事になる。逆にスタメンのアタッカー陣はこの事態に奮起してもらいたいものだ。

 

 

xG

 

参照:

Manchester United 2 - 1 Brentford (October 07 2023) | EPL | 2023/2024 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値はユナイテッド1.29に対しブレントフォード1.03、両チーム合わせてもビッグチャンスが2つしか無く、その内ビーズの方の機会は中々ゴールにならないようなシチュエーションだったので実質的にマクトミネイの決勝ゴールただ1つ。

 

 PASSING NETWORKを見るとユナイテッドの全体的な位置の高さにまず目に向くが、これはブレントフォードが5-3-2のローブロックを選択してスペースを消す事を最重要視した点がその要因だと考えていい。深さを取って前に急ぎ過ぎるきらいのある今のチームに落ち着きを与えたエヴァンスは正にベテランらしい円熟味。

 

パス+ボールキャリーで最も貢献度の高かったのはダロト。それ以外にもフィニッシャーとして機能し同点弾に繋がる左足のシュートも放っており、基本的なフットボーラーとしての能力値が高い。

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あとがき

 

インターナショナルウィークに勝利して入れる事にひたすら安堵。今後の編成と戦い方という意味では後半の内容にヒントが多く隠されていると思う。

 

ブレントフォードの5バックに対して有効な崩しはあまり見られなかったので、敵将トーマス・フランクからしてみればパワープレーに屈した後悔が残る試合になったかもしれない。今のユナイテッドにはとにかく勝利が最良の薬だったので本当にありがとうマクトミネイ。