※21/22イングリッシュプレミアリーグ
クリスタルパレスvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
シーズン終盤、マンチェスター・シティとのダービーからプレミアリーグリーグのアウェイ戦を5連敗していた赤い悪魔ですが、イーグルスとの最終節でもそのスパイラルから抜け出す事が出来ずに連敗記録を6に伸ばして終了。ロナウド不在時未勝利というジンクスも最後まで覆す事が出来ませんでした。
ハイライト
プレビュー
クリスタルパレス
ネイサン・ファーガソン
ジェームズ・トムキンス
ミカエル・オリーズ
マンチェスター・ユナイテッド
ルーク・ショー
ポール・ポグバ
ジェイドン・サンチョ
クリスティアーノ・ロナウド
スタメン
ベンチには4人のアカデミー選手がベンチ入りを果たし、ハンニバルにはスタメン出場のチャンスが与えられました。彼が加入したのは2019年夏、今季終了後にはクラブ内育成選手となるので来季はローンに出る事が濃厚ですが、昨季最終節のアンソニー・エランガのようにここで結果を残せば1ステップ飛ばしトップチームの一員になれるかもしれない。
試合内容
前半
主審を務めるマーティン・アトキンソンはマイク・ディーン、ジョナサン・モスと共に今季限りでプレミアリーグの審判員としてのキャリアを終えると明らかにしており、これが最後の試合となります。
LWに配置されたハンニバルは意図的か自然になのかは分かりませんが、ピッチ中央に位置取りするので結果として左サイドの大外レーンは空いている事が多く、密集地でのプレーにぎこちなさを残すテレスとしては前にスペースがあるので久々にまともなパフォーマンスに見えた。とはいえ、2者の連携面についてはほぼ皆無でこのユニットが機能していたと言えばそれは否。
12分、パレス陣内でボールを回すユナイテッドだが、フレッジが中央でボールを失うとオドソンヌ・エドゥアールとザハの2人にカウンターを許す。ザハ→エドゥアールのパスが流れた事で危機を脱したが、前線の動き直しやチーム全体のトランジションの遅さなど杜撰な部分が目立つ。前の選手で唯一全速力でプレスバックしたのが最も経験の少ないハンニバル。
基本的にはアウェイチームがボールを持つ展開が続くが、パス&ムーブの基本を怠る選手が多く相手守備ブロックの外を迂回し続ける時間が大半。特にRBダロトがボールを持った際のフォローの薄さ(大半はマクトミネイの気が利かないポジションニング)には同情の念すら覚える程。
26分には前線へのロブパスをリンデロフがクリア出来ずボールが後方に流れ、これをジェフリー・シュラップに拾われると最後はザハが左足のシュート。パレスは28分にも相手のミスからシュラップに決定機があったがデヘアがこれを阻み得点には至らない。
そして37分、自陣左サイドからのスローイン、テレスからのボールにブルーノが何を思ったのかダイレクトでダロトの後方にしかも浮き球のキック。これがザハへのスルーパスになり、対処したダロト,リンデロフもパニック気味且つボックス内という事で有効的な守備を行えずそのまま失点。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) May 22, 2022
ザハが個人技で
こじ開ける🔥🔥🔥
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相手のパスミスを拾うと、自らドリブルで仕掛けてゴール左に流し込んだ!!
🏴プレミアリーグ第38節
🆚クリスタルパレス×マンチェスター・U
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確かに2人の守備は余りにも緩く褒められたものではありませんでしたが、試合後にラルフも若干愚痴っぽく語ったようにこれは殆どブルーノの失点であり、責任の矛先を守備陣に向けるのは間違いだと個人的には考えています。ゴールを狙う局面でのリスキーなパスは彼の持ち味ですが、低い位置での軽率なプレーで失点に直結する事が度々あるのもまた事実。
その後、40分には右サイドタッチライン際で対人に強いタイリック・ミッチェルをエランガが完全に抜き去りクロスを入れた場面もあったが見せ場はそれくらい。勝利せねばEL出場権すら怪しいというユナイテッドだったが前半を1点ビハインドで折り返す。
後半
見せ場ほぼ無くセットプレーのチャンスも決めきれず
両チーム交代無しで迎えた後半キックオフ。
47分にはカバーニが中央やや左寄りでFKを獲得するがブルーノのシュートはビセンテ・グアイタの範囲内。
53分にはハンニバルがボックス内で見事なオフザボールからフレッジのパスを引き出すが、シュート前にジョエル・ウォードの寄せが間に合って得点には繋がらず。
ハンニバルは61分にもフレッジのパスに右足インサイドでダイレクトシュートを放ちゴールを脅かすが、そのすぐ後にマタとの交代でピッチを後に。後半はアタッカーの中で最も得点に近づくプレーが多かっただけに、この交代は少し残念でした。
アンダー世代ではカードコレクター。この試合やリバプール戦ではも闘争心が強すぎて裏目に出る場面もありましたが、トランジションの速さと迫力のあるプレッシングもそこから由来しているように見えるので今後はそのバランスを求めたい。クリエイターに分類されるタイプながら守備意識が高いという点は将来必ずプラスに働くはず。
73分、マタ-ダロトを中心に右サイドからバイタルエリアにボールを運ぶと、マタのDF裏を狙う左足インスイングの浮き球をヨアキム・アンデルセンが危うくオウンゴールになる後ろへのクリア。ここから暫くユナイテッドがCKを中心に相手ゴール前でのチャンスを得ますが、ファーサイドでフリーになったマクトミネイが決定機のヘディングシュートをGK正面に飛ばしこの機会も得点に繋がらない。
その後、フレッジ🔁ショレティレ、ダロト🔁ガルナチョとアカデミーの選手を続々と投入するも、彼らにこの状況を打開しろというのは酷な話で結局試合はミス由来の得点を守り抜いたイーグルスの勝利。
ホームチームがセルハースト・パークで赤い悪魔に勝利したのは実に31年ぶり。改めてSAF期のユナイテッドがどれだけイングランドを支配していたのか思い知らされますが、今はその栄光からは程遠い姿。
データ
ポゼッションこそ62%を記録もシュートは10本、決して主導権を握っていたとは言い難い事がスタッツにもしっかり反映されています。
また、両クラブ合計30回以上のファウルを記録する荒れた試合でしたが、特に終盤にリンデロフとザハが接触したシーンは非常に危ないプレーでした。
この1戦は新監督エリック・テン・ハフ、アシスタント就任が発表されたミッチェル・ファン・デル・ガーグとスティーブ・マクラーレンもスタンド観戦していましたが、もしかすると現状のチームのあまりの酷さに頭を抱えているしれません。
xG
パレスはビッグチャンスと言えるシュートシーンが一度もなく、期待値は0.35に留まったがミスを見逃さず一発で仕留めた。
逆に、ユナイテッドはノンプレッシャーの近距離シュート(CKからマクトミネイ)も得点に結びつけられず、ポゼッションは6割超もシュート数自体僅か10回と消化不良。
両クラブのゴール期待値を足しても僅か1.13と非常に静かな90分だったと言える。
あとがき
怪我人で言い訳をするにしろ、本職RBのジョエル・ウォードをCBに持ってきたようにクリスタルパレスも決して万全のスカッドではありません。ハッキリ言えばシンプルに弱い、この一言に尽きる。
ダニー・ウェルベックらのゴールでブライトンがウエストハムを3-1で下した事によって6位を確保することは出来ましたが、暫定ながら半年間チームのボスを務めたラルフの最後の指揮は後味の悪いものとなってしまいました。
リーグ勝率41.7%、1試合平均1.54Ptsと近年の監督では最も結果が悪かったラングニックですが、彼には今後クラブの構造改革の為にコンサルタントとして精を出して貰わなければいけません。