いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

レオ・メッシ、バルサを去る。

遂にこの時がやってきました。 

 

 

 

ラ・リーガからスーパースターが消える

 

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個人タイトルは収まりきらないなので主なものを抜粋。
こうして書いていくと改めてその異質さを実感する

 

多くの情報が入り乱れて全貌を把握するのは非常に困難ですが、いま分かっている事はこれまでにバルセロナで30以上のチームタイトルを獲得し、個人でもバロンドール6度を筆頭に数えきれない程の栄誉を手にしてきたFCバルセロナクラブ史上最高の選手がカンプ・ノウを去るということ。

 

バルセロナSNSは早くもお別れムード全開でこれまでを振り返る動画がアップロードされるなど今回ばかりはブラフなどではない様子。

 

 

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2000年代後半~近年におけるラ・リーガの隆盛はリオネル・メッシクリスティアーノ・ロナウドというプロフットボールの長い歴史でも飛びぬけて傑出したスターのピッチ内外での強い牽引力によるところが非常に大きかったのは言うまでもありません。

 

ロナウドは一足先にスペインを離れ、現在はセリエAユベントスで相変わらず得点王に輝く活躍を見せていますが、メッシまでも他の国のリーグでプレーする事になるとすれば元々2強依存の強かったラ・リーガ(+近年はアトレティコも実力・人気共に向上していますが)は収益でもフットボール界での影響力という点でも大きく後退してしまうのではないかと私は危惧しています。

 

 

先日発表されたCVC⇒ラ・リーガへの出資計画が鍵か

 

バルセロナの公式アナウンスを見た限りでは、選手とクラブの間に一部ゴシップ誌で噂されていたような補強などを巡る不和は存在せずこの決定に至った理由としてはラ・リーガの選手登録に関する規定によるものとのこと。

 

バルサが膨大な選手へのサラリーとこれまでに銀行などから借りてきたお金の返済で自転車操業に陥っているのは周知の事実。

この選手登録の規定を詳しく紐解いてみるとスペイン ラ・リーガでは2013年よりUEFAFFP(ファイナンシャルフェアプレー)とは異なる独自のサラリーキャップ制を敷いており、選手・コーチの給与、移籍金の減価償却代理人手数料、下部組織への投資などクラブのあらゆる支出をそれぞれの規模に応じて制限するもので、新型コロナ下のスタジアム収入激減によって2019⇒2020では各クラブ軒並み大幅な限度額の減少を強いられることとなりました。

 

バルセロナの場合は19/20シーズンに€671Mとラ・リーガトップの給与上限を与えられていましたが、20/21にはこれが€382.7Mまでカットされています。

 

しかしながらそのような状況下でもクラブはオフシーズンの移籍ウィンドウでセルヒオ・アグエロエリック・ガルシア(共にマン・シティからフリー加入)、そしてクーマン監督の要望に応えメンフィス・デバイを加えるなど給与総額を増加させており、メッシの去就に関してはかねてより不安視される報道が多かった。

 

ライバルのレアル・マドリーセルヒオ・ラモスラファエル・ヴァランを共に放出するなどコストカットへの動きが目立っていますが、そのような危機的状況で何故バルサは新戦力を続々と加えたのかという疑問に答えるのが以下のニュース。

 

 日本国内では、東芝の買収を画策していたことでもその名を知られているイギリスの投資ファンド CVCがラ・リーガに€2.7Bの出資で合意したという報道ですが、今回メッシが退団に追い込まれたのはこのCVCとの契約に対しレアル・マドリーバルセロナがNoを突き付けた事にあるという見方が強いです。

 

実際にメッシ退団のアナウンスからしばらくしてバルセロナ公式にはこのような文章が公開されています。

FC Barcelona, after analysing LaLiga’s recent announcement of a strategic agreement with the CVC international investment fund, wishes to express the following position:

FC Barcelona considers that the operation that has been announced has not been sufficiently discussed with the clubs (the owners of the TV rights); that the amount is not congruent with the years of duration, and the deal affects part of all clubs’ audiovisual rights for the next 50 years.

FC Barcelona feels it is inappropriate to sign a half-century agreement given the uncertainties that always surround the football world.

The terms of the contract that LaLiga is describing condemn FC Barcelona’s future with regard to broadcasting rights.

FC Barcelona wishes to express its surprise at an agreement driven by LaLiga in which the teams’ opinions, including those of FC Barcelona, have not been taken into account. There has not even been a presentation of options offered by other competitors in order to evaluate the pros and cons in a post-pandemic situation in which there are still many questions that are left unanswered

FC バルセロナ公式サイトより引用
(
FC Barcelona official statement)

 

バルサ側の意見を意訳

 

クラブ側との十分な話し合いが執り行われないままラ・リーガとCVCの合意は発表され、金額も期間の年数とは一致しておらず、今後50年間全てのクラブの放映権の一部に影響力を持つ事などを重く見ている。

更に、フットボール界の不確実性を考えると半世紀という長期契約を結ぶ事は適切ではない。

 

この発表はFCバルセロナを含むチームの意見が反映されていないラ・リーガ主導の契約であり、パンデミック後の多くの疑問がある状況で長短を比較する為の他の競争相手が提供するオプションの提示も無かった。

 

 

 

ここからは私の推測も入りますが、スペインの記者から伝え聞こえてくる情報を見る限り、バルセロナはCVC案にあるとされる"TV放映権収入の10%をファンド側に徴収される"という決まりに反旗を翻し、そもそもバルサとマドリーはESL(スーパーリーグ構想)を未だに諦めておらずラ・リーガからの離脱も選択肢にあるであろう2大巨頭は今後40~50年拘束される事になるこの契約を嫌ったのではないかと考えています。

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ファンの力もあって一度は退けたESL問題。しかし、未だ火種として燻ったままの状態。

もしかすると此度のメッシ退団をキッカケに再燃する可能性も……

 

 

今のところ分かっているのはこのくらいなので、今後続報が入ったら追記します。

 

 

≪追記≫メッシの退団会見とフットボール界の行く末

 

 

衝撃的なアナウンスから少しの間を置いて日本時間8月8日19:00よりライブ中継されたレオ・メッシのバルセロナ退団会見。

 会場には現バルサメンバーやカルレス・プジョル、シャビ・エルナンデスらメッシと共に黄金期を支えたOBも駆けつけ、彼のクラブでの最後の仕事を目頭を熱くして見守る様子がカメラに収められています。

 

スピーチを始める前から涙ぐんでいたメッシがパートナーのアントネラ・ロクソさんからハンカチを渡されるシーンでは、バルセロナに愛着のない私のようなフットボールファン ですら感情を揺さぶられ「これが一時代の終焉なのか」という何とも言えない不思議な想いが頭の中を駆け巡りました。

 

 

彼の口から語られた今回の件に関する経緯は現会長ジョアン・ラポルタから説明された内容と同じ。「私はバルセロナに残りたかったが、みんなにサヨナラと言わなければならない。」 決してクラブと喧嘩別れしたのではなく、年俸をこれまでの半分に抑えてでもこの場所に残りたかったが現実は思う通りに物事が運ばなかった。という事でクレ(バルセロナサポーターの愛称) にはジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長の暴挙の数々とそれに薄々勘付いていながら止められなかった他の役員や自分たちサポーターに対する深い後悔や怒りもあるでしょう。

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かねてより収益に対しての人件費割合の高さは警鐘を鳴らされていましたが、バルトメウ政権、特にネイマールのパリ移籍以後は凄まじいスピードでこの病巣が拡大していったように感じます。

 

 

今振り返ると、いわゆるG.O.A.Tに当てはまる選手たちとクラブの決別は決して前向きなモノでは無いケースも多いですが、それにしても成長ホルモン分泌不全性低身長症という非常に稀な難病を抱えていた メッシ少年をアルゼンチンから自らの手元に引き入れ、病気の治療費を全負担し13歳から今に至るまでサポートし続けたいわば故郷とクラブ側の金銭面での失態という余りにも納得できない 理由で別れさせられる事態になってしまった事はバルサだけでなく全てのプロクラブが反面教師としなければいけません。

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とは言ったものの、今回のメッシ事件に近い出来事は残念ながら他のクラブでも正に現在進行形で発生しており、20/21セリエAの王者インテルでは、親会社の蘇寧グループの財政難を理由に RBのアクラフ・ハキミをPSGに€60M、ストライカーのロメル・ルカクも€115Mとされる移籍金でチェルシーへの復帰が成立したと報じられています。

 

 

 

欧州スーパーリーグ騒動の最中にも盛んになった議論ですが、フットボール界(特に欧州5大リーグ)は膨らむだけ膨らんだ"お金"の問題に関して持続可能な規模の経済モデルを改めて見直して ルール整備を更に推し進めなければならない。

 ウサギとカメの童話ではありませんが、30年先を考えると厳しい経営基準で緩やかながら着実に成果を出しているドイツ ブンデスリーガが世界一のリーグになっている可能性が高いのではないかと私は考えています。

 

ファンベースへの還元という意味でもドイツはチケット料金が他と比べて格段に安価でクラブライセンス制や50+1ルールなどフットボールクラブを外部の投資家の気まぐれに左右されないルール 設備もされており、一部抜け穴や他の娯楽との激しい生存競争は勿論あるのですが、1つの参考例になると思うのでラ・リーガセリエAも同じような歩みを始めて欲しい。 

 

▼50+1ルールについて