いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【$uper League is dead】 プレミアリーグビッグ6が相次ぐ離脱で計画崩壊のESL

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はじめに

 

日本時間4月18日夜に突如として発表され欧州フットボール界を混乱に陥れた

"The Super League”

 

 

案の定この計画は各クラブ首脳陣の一部のみで秘密裏に進められてきた計画で監督、選手、スタッフ、そしてサポーターにも寝耳に水の大ニュースでした。

 

我々がこの計画について知らされていないのはまだしも選手、監督すらフロレンティーノ・ペレスの会見で初めてその概要を伝え聞いたというのですから正直に言ってかなりお粗末。

 

当然ながら各方面から強い反発の声が上がり、リバプールジョーダン・ヘンダーソンはプレミア20クラブのキャプテンを集めて会合を行うと発表し、新型コロナウイルスによるロックダウンから子供たちの空腹を救い単なるいちフットボーラーの枠を超えて人類の模範とも言える存在のマーカス・ラッシュフォードもクラブの伝説的指揮官サー・マット・バスビーの言葉を引用する形でSLに反対の意を表明。

 

この大きな流れに屈した形なのかプレミアリーグビッグ6(リバプールマンチェスター・ユナイテッドマンチェスター・シティアーセナルチェルシートッテナム)は続々とスーパーリーグからの脱退を発表。

 

各クラブのアナウンスを見ていくと、「乗り遅れたくは無かった」と正直に心情を吐露し、尚且つファンへの謝罪の言葉が含まれていたアーセナルが最もマシ。

非常に短い文章でこの大騒動に対する幕引きとしたマンチェスター・ユナイテッドの姿勢には正直失望しました。

www.manutd.com

 

 

ボリス・ジョンソンの強固姿勢、今回ばかりは彼に助けられた

 

そしてこのESL構想にストップをかけた大きな要因の1つがイギリス首相ボリス・ジョンソン、そして彼の所属する労働党の厳格で強固な反対姿勢。

 

一国の指導者がここまでハッキリとスポーツ界に意見を述べる事はそう多くありませんが普段は問題発言も多くお騒がせな面の強いジョンソン首相が今回の一件に関しては報道を耳にした直後から強い非難を表明し、仮にこのままビッグ6がESLへの参加を断行した場合にはそれを阻止するためにあらゆる手段を採用する。法律が無いなら新たに作成する事も辞さないとし、ESL参加クラブの外国籍選手へのビザ発給制限についても否定はしませんでした。

 

ビザにまで言及出来るのはイギリスが昨年末をもってEU(欧州連合)から離脱した事も大きく関わっており、今までならば出てこない発言だったので愚かな判断であると世界中から批判されたこの選択が何の因果かフットボールの命を救う結果になりました。

 

勿論彼だけの功績ではなくイギリス王室や現場の選手、監督らの猛反発も影響しているのですが、全世界から有望な選手を集めているビッグ6に対する外国人選手の制限は事実上の死刑宣告に等しく、更にジョンソンはもしもESLに参加するようなら彼らに対して経済上の優遇措置も辞めると主張していたので今回ばかりはこのくせ者に救われた形。

 

 

エド・ウッドワードの退任がリーク。グレイザー一家の支配体制に終わりが近づく?

 

続々とESLからの離脱を表明したビッグ6ですが、中でも一番の驚き(と歓喜)をもたらしたのはマンチェスター・ユナイテッドのCEOで実務上の最高責任者エド・ウッドワードの今年末をもっての退任。

www.manutd.com

 

日本時間4月21日未明に各メディアから一斉に報じられたニュースで、当初はデマにメディア側も引っかかる形で広がったユベントス会長アンドレア・アニェッリの辞任というフェイクニュースと同様に根も葉もない噂なのではないかと疑ったりもしましたが、ユナイテッドの公式HPでアナウンスされたのでこれは本当の話だったようです。

 

フットボール専門ジャーナリストのファブリツィオ・ロマーノ(@FabrizioRomano)によればブルーノ・フェルナンデスとルーク・ショーが選手を代表してESLへ強く抗議したことがこの早期脱退とそれに伴うウッドワード退任に繋がった。との事なので彼ら2名、そしてSNSを通じてメッセージを発信していたマグワイア、ラッシュフォードも含め主力選手の勇気ある行動には深く感謝の意を表明します。

 

 

 

JPモルガンのバンカーだったエド・ウッドワードがマンチェスター・ユナイテッドに加わったのは2005年のこと。

キッカケはマルコム・グレイザー、そしてグレイザー・ファミリーと称される彼の子供達のマンチェスター・ユナイテッド買収計画に手助けした事で、最初に与えられた役目はファイナンシャルプランニングでしたが、2007年にクラブの商業・メディア事業を任されると世界中の企業と高額なスポンサー契約を結ぶ事に成功し、この功績が評価される形で2012年からはクラブの"executive vice-chairman"(取締役副会長)に就任。

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彼がサポーターから蛇蝎のように忌み嫌われるようになったのはこの2012年以降のことで、フットボールに関しては殆ど素人同然だった彼が補強戦略、そして交渉の場にも直接顔を出すようになってからのユナイテッドはファーガソン時代の栄光が嘘の如くあっという間に低迷。

 

就任後最初の移籍市場ではエバートンからマルアン・フェライニを獲得しましたが、補強は彼一人で期間内の大半はウェイン・ルーニーの引き留め交渉が一番のニュースという体たらく。

その後もトニ・クロースセルヒオ・ラモスの獲得は大詰め段階で決裂し、当時はほぼ実績が無く無名に近かったアントニー・マルシャルに5400万ポンドもの大金を費やしたり等々1つ1つを羅列していくとキリがありません……

 

そして、買収の際にレバレッジド・バイアウト購入する資産(マンチェスター・ユナイテッド)を担保に資金を調達し、買収後に資産の売却や事業改善などでキャッシュフローを増やして負債を返済する手法}というそれまで75年間赤字を計上していなかったユナイテッドに多額の借金を負わせるやり方でクラブを汚したグレイザー一家の手先として見られている(というか実際そうなのだろう)事もウッドワードの不人気に大きく関わっています。

因みにグレイザーはアメリNFLタンパベイ・バッカニアーズというチームを保有していますが、そちらのファンにもユナイテッド同様に不評を買っているようです。

 

実際に懐を痛めた(痛め続けている)のはクラブ側でオーナーは多額の利子、手数料、そしてクラブ管理費の名目でこれまでに何億ポンド、いやもしかするとそれ以上の大金を自らの手元に収めているのですからサポーターの怒りは当然。

 

www.skysports.com

OBのギャリー・ネビルは今回のESL騒動に際してグレイザー一家に「スカベンジャー」と非常に強い言葉を使って非難しましたが、このような背景を知るとこれまで溜め続けてきたフラストレーションの大きさ、そして苛烈なワードを選択した理由を理解できると思います。

 

かくいう私もグレイザーファミリーには全くもって良い印象がなく、確かにマンチェスター・ユナイテッドが経済的に大きく発展したのは彼らとエド・ウッドワードの力によるものが大きいですが、引き換えに失ったものの大きさを考えると真っ当な信念を持つ新たなオーナーの登場が待ち遠しい。