オリンピック男子サッカー 3位決定戦は女子サッカー決勝が11:00⇒21:00キックオフに変更された余波を受けて、試合時間を被らせないためなのか開始時刻が20:00⇒18:00へと繰り上がるという変更もあって試合を見た方はこれまでの試合で最も少なかったと思われます。
先に結果から伝えてしまうと日本はメキシコに3vs1で敗れ、OAの吉田麻也、酒井宏樹両選手はロンドン大会に続きキャリア2度目の五輪4位という悔しい結果に終わってしまいましたが、今回は何故このような結果になったのかを試合展開やこれまでの経過を振り返りながら考えてみようと思います。
▼日本代表の試合
中2日で続いた6試合、最後はガス欠で悔しい4位
日本はスペイン戦と同じ4-4-1-1、メキシコは4-2-3-1でかみ合わせ的にはほぼミラーマッチとなったこの3位決定戦。
前半の早い段階で遠藤航選手がPKを与えてしまいグループリーグでのマッチアップとは真逆の展開になった夕暮れ時の埼玉2002スタジアムは22分にもセットプレーで遠藤がマークについていたヨハン・バスケスを離してしまい、フリーでヘディングシュートを許しあっという間に2点ビハインド。
後半にもセットプレーから失点を許し、78分には三笘薫選手の個人技で1点を返しますが、少し中弛みになっていたメキシコから追加点を奪う事は出来ず、最終スコア1vs3で敗戦。
個人的にはここまで不調だった三笘選手のようやく彼らしいプレーが見られたので収穫はありましたが、母国開催で最低でもメダルという目標で複数年単位で目指した舞台にしてはもう少しなんとかならなかったのだろうかというシーンを多く目にしたので成否を問われれば成功とは言えないでしょうね。
戦術的な臨機応変さがあまりに不足していた
堂安-久保の問題はここでも継続。
彼ら自身のプレー傾向が似ているのは仕方のない事ですが、日本の攻撃を見るとどうも2人の即興頼りのように見受けられるのでよくも悪くも両人におまかせするしかないというのがこのオリンピックチームの特徴。
この第一武器は確かに有効打になり得る強力なものですが、第2第3の矢は残念ながらこのチームには存在せず、グループステージで1度勝利したメキシコに2回目の対戦で完敗を喫したのはそれも要素の1つ。
例えば、田中碧選手が気を利かせてスペースでボールを受けてそのままボックス内に進出するようなプレーでもあれば理想ではありますが、中盤2枚の疲労度はそれを実現させられそうにない程に酷かったのでそれは難しかったのかもしれない。
或いは、CBのボールキャリ―からの数的優位やSBから1つ飛ばしで最前線の選手にチャンスメイクのパスを出せればもう少し戦えたのではないかとも。
個の力という意味では大分トップレベルとも戦える水準になってきましたが、組織vs組織という面ではビッグデータ分析や陣取りゲームとしてのフットボールの探求が一昔前とは比較にならないスピードで進み、この面において日本は置いていかれてしまっているのではないかと危機感を募らせてしまう。(改めて思えば、フットボールだけではなくバレーや野球でもこの傾向は顕著。未だに序盤のノーアウト1塁でノータイム送りバントを決行する侍JAPANはその象徴的存在)
中盤(セントラルMF)の酷使
この試合の日本のCM2枚は精彩を欠いたパフォーマンスで身体のキレも伴っていないように見えましたがこれはある意味なるべくしてなった結果でしょう。
メキシコと日本はお互いに4-2-3-1や4-3-3といった中央のMFが3枚のシステムを使ってきたチームなので出場時間を比較してみます。
日本
OA遠藤航⇒572分
田中碧⇒539分
久保建英⇒525分
三好康児⇒159分
メキシコ
OAルイス・ロモ⇒570分
カルロス・ロドリゲス⇒373分
ホセ・エスキベル⇒209分
フェルナンド・ベルトラン⇒29分
両チーム共にオーバーエイジの選手が最多の出場時間を記録しているのは共通しているものの、それ以外の選手を見ていくとメキシコは今大会4ゴールと大ブレイクを果たしたセバスティアン・コルドバでも463分。バックアップのベルトランを除けば上手く時間を分散している事が伺える内容。
日本は3枚を4人で回すかなり負担の激しい内訳となっていて上位3名はいずれも500分越えなのでこの辺りの管理能力の差が試合における動きの明暗を分けてしまったのではないかと考えています。
更に言えばメキシコのロモは4-3-3のアンカーで起用された試合が半分あり、エンゴロ・カンテのようなプレーを求められた遠藤航選手とは試合単位での負担が明らかに違う事も頭の片隅に入れておきたい。