日本時間9月1日午前1時より、2023/2024UEFAチャンピオンズリーグのグループステージの抽選会が執り行われた。
欧州主要リーグの移籍市場最終日を前日に控える中、今回はジョー・コールとエリック・アビダルが抽選のドロー役を務め、32クラブが以下のようにA~Hまでの8グループに割り振られている。
The 2023/24 group stage draw ✅#UCLdraw pic.twitter.com/kCTj9JfBFM
— UEFA Champions League (@ChampionsLeague) August 31, 2023
各グループの雑感
グループA
98/99シーズンのチャンピオンズリーグ決勝、マリオ・バスラ―のFKでバイエルンが早々にリードを奪う展開。苦境に追いやられたマン・ユナイテッドが後半アディショナルタイムにテディ・シェリンガムとオーレ・グンナー・スールシャールの立て続けの2得点で試合をひっくり返した伝説の一戦は、多くのユナイテッドサポーターにとって恐らく生涯でも最も興奮したゲームの1つだったはず。
A legendary moment by Ole Gunnar Solskjær to mark his birthday 🏆🔴#HBD || #UCL pic.twitter.com/ZuNT5emY8x
— UEFA Champions League (@ChampionsLeague) February 26, 2023
どうしてもこの両雄に注目が集まるグループAだが、個人的にカギを握るのはガラタサライのホーム ラムズ・パークでの3試合になるかと予想。
マンチェスターからイスタンブールは陸路だと3,000km超、飛行機でも4時間かかる距離でミュンヘンからイスタンブールでも3時間弱は要し、更にサポーターの熱さは精神的にも物理的にも世界屈指。
数字上、ユナイテッド,バイエルン共に直接対決の結果が芳しくなかったとしても残り2チームとの4戦に全て勝利すればGS突破は堅いものの、果たして遠征+過酷なアウェイ環境の中で普段の力を発揮できるのかどうか。特にユナイテッドに関しては……
グループB
顔ぶれだけ見るとチーム力の関係性や移動距離の点でもアーセナルが恵まれたなと感じるグループB。
ヨーロッパリーグにおいて絶対的な強さを長年見せつけているセビージャはそろそろCLのノックアウトステージへ活躍の場を変えたいと思っているだろうが、PSVとRCランスも侮れる相手では無い。
PSVの中盤ユニット、特にイスマエル・サイバリとヨエイ・フェールマンは今季ここまでのパフォーマンスレベルが非常に高い水準で推移しており、もしかすると半年後にはメガクラブの主要ターゲットの1人として評価されているかもしれない。
グループC
加入初年度とは思えないチームへの馴染み方とパフォーマンスでスクデット獲得に貢献したキム・ミンジェこそバイエルンへ移籍したが、オシムヘン,クヴァラツヘリアを始めとするそれ以外のコアメンバーの慰留に現時点では成功しているナポリをこの舞台で見られる事に非常にワクワクしている。
マドリーもベリンガムが牽引する形で今季のラ・リーガ唯一の3戦3勝と既にエンジン全開であり、プレーオフを勝ち上がってきたブラガや戦力層においてリーグ戦と欧州コンペティションの両立が難しそうなウニオン・ベルリンは厳しいという見立てをせざるを得ない。
グループD
昨シーズンの準優勝チームであるインテルは相対的に見て運のいい組み合わせを引き寄せる事に成功した。全体的な感想としてはここからワールドクラスに成長するかもしれないポテンシャルを有した優秀な若手選手達の大舞台でのパフォーマンスに注目するというグループになるのではないか。
勿論、そのなかの1人に久保建英が名を連ねている事はまず間違いなく、ダビド・シルバの無念の引退やオヤルサバル,サディクの怪我後のパフォーマンスが芳しくない点などからこれまで以上にこの日本代表MFへの依存が増す可能性が高い。
グループE
4クラブ中3クラブに所属する日本人対決が楽しみなグループEは全グループの中でも1,2を争う混戦模様が繰り広げられるのではないかと予想。
ポイントリーダーに立つのは順当に行けばリーグ戦7ゴール圧勝劇に湧くコルチョネロスだと思うが、昨季のヨーロッパリーグでベスト4まで進出したフェイエノールトもオルクン・コクチュ退団のダメージは避けられないとはいえ実績の点では十分。サッリのラツィオはここまでの戦いぶりを見るに苦戦必至で、下馬評では最も不利と見られるセルティックにもチャンスは広がっている。
グループF
いわゆる死のグループが誕生したグループFは全てのカードがビッグゲームになるので放映権を持つメディアとしては願ったりかなったりの最高の組みあわせ。現段階でどのクラブが優位に立っているのかを予想するのは困難だが、欧州コンペティションの経験値という点ではややマグパイズが不利。
しかしながらプレミアリーグフリークとしてはイングランド勢4クラブの全突破を見たい(カップ戦を早々に敗退されてしまうとリーグ間ポイントが稼げず,更に当該クラブのコンディション調整が楽になる事も頭をよぎっている)側としては白黒の縦じまが旋風を起こしてもらいたいとも思う。
もう1つの注目はPSGの新たな神童ザイール=エメリがこのまま一気にスターダムを駆け上がっていくのかどうか。
グループG
マン・シティこれはズルくないか?本音としては真っ先にそう思ったグループG。
昨年度王者は明らかに余裕をもってグループリーグに臨むことが可能で、(コール・パルマーはチェルシーへ移籍したらしいが)ジェームズ・マカティーのような〈追記:どうやら彼もローン移籍でシェフ・ユナイテッドへ〉アカデミー出身の俊英に実戦経験を与えるまたとない機会を手にした。
ブレイクスルーしそうな選手はツルヴェナ・ズヴィズダのマルコ・スタメニッチ。ニュージーランド生まれですが名前を見て分かるようにセルビアにルーツを持ち、マン・シティを相手にするのはこれで2年連続。ボールを受ける際の身体の使い方や迫る相手を往なすキープが秀逸で、アンカー適性も有しているように見える。
グループH
アビダルのドロー運にバルセロナのファンが感謝したグループH。ただ、よく見るとポルト,シャフタールと毎年のように大物喰いを達成するくせ者が集まっており、一時は完全にマン・ユナイテッドの傘下クラブという印象しか無かったが、近年の躍進が目覚ましいアントワープも久々の欧州の舞台へのモチベーションは高い。
番狂わせが起こるとすればここかグループAだと思っているので果たして3か月後にどのような結果が待っているのか、楽しみでもあり恐怖でもあるがその時が来れば答え合わせをしたい。