ポルトガルvsスロベニア、悪い意味でロベルト・マルティネスが何を考えているのか分からな過ぎて怖かった。。。
【Match Review】フランスvsベルギー
フランス
1 B.Samba, 2 Pavard, 3 F.Mendy, 6 Camavinga, 9 Giroud, 11 O.Dembélé, 12 Kolo Muani, 18 Zaïre-Emery, 19 Y.Fofana, 20 Coman, 21 Clauss, 23 Aréola, 24 Konaté, 25 Barcola
ベルギー
2 Debast, 6 Witsel, 8 Tielemans, 9 Trossard, 12 T.Kaminski, 13 Sels, 14 Lukebakio, 16 Vranckx, 17 De Ketelaele, 18 O.Mangala, 19 J.Bakayoko, 23 A.Vermeeren, 25 De Cuyper
前半
フランスはチュアメニをアンカーに置き、両脇にカンテ,ラビオと守備面での不安を取り除いた手堅い中盤構成の4-1-2-3を選び、RWには個の力で打開できるデンベレではなく周りとのリンクで崩していくグリーズマンを起用。これについてはおそらくベルギーの強烈なアタッカー、ジェレミー・ドクにへの守備対応も考慮されたものだと考えられる。
一方のベルギーはこれまでの4-2-3-1ではなくルカクの隣にオペンダを置いたフラット4-4-2で意表を突いてきた。このシステムの利点としては攻守で大きく役割が変わる選手がおらず、それぞれの役割・担当エリアが明確になりやすいというものがあり、RMにカラスコを起用したのは上述のフランスの右サイドと同様にエンバペ対策だろう。
フランスはミドルサードのポゼッションで両フルバックを前に押し上げ、相手のファーストプレス2枚に対して数的優位を確保するためにチュアメニが左に降りて3枚目を形成、ラビオかカンテのどちらかがアンカーに入って横と縦のパスコースを確保出来ていた。恐らく決まり事では無かったと思うが、それぞれのインテリジェンスが高いのでこのような修正をピッチ発信で行えるのが彼らの強み。
また、3:2の関係性になる互いの中盤構成を利用したのはビルドアップだけでなく、フィニッシュワークではアンカーのチュアメニがタイミングよくバイタルエリアに侵入したマイナス方向の折り返しに合わせるというのもパターン攻撃としてよく見られた。
ベルギーはどういう風にフランスから得点を奪おうとしているのか,崩しの形がイマイチはっきりとせず、例えば左サイドのドクvsクンデ,オペンダvsウパメカノは一方的とまではいかないものの1on1である程度の優位を確保出来るように見えたが、積極的に利用する事は無く、ルカクについても彼に楔を入れた後のフォローが相変わらず少なく、尚且つ今の彼にはサリバ相手に単独で得点まで持っていけるほどの身体的な出力は無いのでただただ守備貢献の低さばかり目立ってしまう。
一方でビルドアップにおけるカスターニュ上げ可変バック3は彼の対面のエンバペの守備意識の低さを利用したいい案だった。ただ、こちらもカラスコと縦の位置取り被りになっているケースが少なくなく、風呂敷を広げた後の畳み方に困っている漫画を見させられるような気分に。
前半はスコア変動なしで折り返したが、自分たちの狙いが上手くいった上での結果であるフランスとフラット4-4-2を持て余すような形でほとんど得点機会を作れずに終わったベルギーとでは内容に差があった。
後半
ベルギーはポゼッション時のCMの関係性を前半と入れ替え、オナナがDFライン前に構えてデ・ブライネは遊撃としてある程度動きに幅を持たせる事で彼の推進力やチャンスクリエイト能力をより生かそうと試みる。
カラスコのシュートで最後まで行ききった61分のカウンターなどは正にこの狙いがハマったプレーでキッカケになったオペンダの猛烈なプレッシング含めレッド・デビルズが向かうべき道筋が示されていたと思うのだが……
ただ、相変わらず相手のビルドアップのファーストライン3枚に対してオペンダとルカクの2人、特に守備意識というかそもそも身体が動かない後者を入れた2枚で行う前線守備の為フランスにミドルサードまで簡単にボールを運ばれ、なおかつデ・ブライネも自分のマークを捕まえ続ける事はやや苦手としているのでラビオ,カンテのいずれかが受け手になる事で中央にボールを侵入させてしまう。
試合に少し変化が加わるキッカケになったのは両チームの選手交代。フランスはマルクス・テュラムからコロ・ムアニにCFを入れ替え、ベルギーは前線プレスやウパメカノを苦しめる瞬間的な加速力など効いていたオペンダを下げて中盤のマンガラを投入。
一見すると似たキャラクターにも見えるテュラムとコロ・ムアニ。しかしアジリティーとボールプレーの技術については後者に分があり、ストレングスに優れたテュラムで相手のDFを疲弊させてからコロ・ムアニで勝負を決めると最初からプランを立てていたのかもしれない。また、利他的なプレーで周りを活かせられるベテランのジルーの出番が少ない理由も身体能力重視の選手起用が根底にあると考えれば合点がいく。
ベルギーの選手交代については、デ・ブライネとルカクを同時起用する以上、例え4-2-3-1にしても相手の中盤3枚を完全にマークし続ける事は難しく、どうせボールを持てないのならばボール保持での気の利かなさに目をつぶって守備でのデュエルに強いマンガラを投入しようというのが意図だったのだろう。
確かに彼のプレーだけ見れば自分たちがボールを持つ展開だった大会初戦に比べ明らかにいい所が目立ったと思うが、やはりビルドアップでオナナと縦関係を作る事が出来ずボールに近づいていってしまってスペースを潰す傾向も変わっていない為、総合的に判断すればティーレマンスを起用するのがベターだったのは間違いない。
85分、フランスはルカクへの楔をインターセプトして反撃に転じ、テアテをDFラインから引きづり出しながらグリーズマンが後ろ向きでパスを受けると、その背後の空間にカンテが走り込んでアタッキングサードでのポゼッションに移行。
その後左右にボールを振ってベルギーの守備ブロックを揺さぶると、ボックス内でボールを受けたクンデからのバックパスをカンテが鋭いダイレクトキックでコロ・ムアニへ渡し、途中出場の背番号12は小さい動作で反転してシュート。これがフェルトンゲンにディフレクトして遂にこの試合最初の得点が生まれる。
🇫🇷 フランスの決勝ゴール!⚽#EURO2024 ラウンド16 フランス×ベルギーは終盤の85分に #フランス代表 が先制!
— GOAL Japan (@GoalJP_Official) July 1, 2024
PA内でコロ・ムアニが反転し折り返すと、ボールはDFに当たってコースが変わりネットを揺らした。
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注目の対決を制したのはレ・ブルー。ディディエ・デシャンは史上初となる選手・監督両方でのワールドカップ&EUROのトロフィー獲得へ向けて一歩前進、不可能に思われていた快挙まで残り3勝となった。
【Match Review】ポルトガルvsスロベニア
ポルトガル
1 Rui Patrício, 2 N.Semedo, 5 Dalot, 9 G.Ramos, 11 J.Félix, 12 José Sá, 13 D.Pereira, 14 Inácio, 15 J.Neves, 16 M.Nunes, 18 R.Neves, 21 D.Jota, 24 A.Silva, 25 P.Neto, 26 F.Conceição
スロベニア
4 Blažič, 5 J.G.Stanković, 7 Verbič, 8 Lovrić, 12 Belec, 14 Kurtić, 15 Horvat, 16 Vekić, 18 Vipotnik, 19 Celar, 23 Brekalo, 24 Žugelj, 25 Zeljković, 26 Iličić
前半
ポルトガルはグループステージ第2節、トルコ戦と全く同じ構成を選び、スロベニアもコンパクトな4-4-2で堅守速攻からチャンスを伺うお馴染みの戦い方で始まった一戦。ポルトガルはパリーニャのカウンターを未然に防ぐ潰しやパスコースを読んだインターセプトで中盤のルーズボールを多く収め、ヴィチーニャがポゼッションのリズムを作り中盤の2枚がチームの心臓として八面六臂の活躍を見せていく。
決して悪い内容ではなく、むしろ左はレオンの個人解決力と彼の守備貢献の低さを1人でカバーするヌーノ・メンデスの圧倒的な身体能力の高さ、右ではベルナルドやカンセロからの質の高いクロスでロナウドをターゲットに安定してボールが供給されるためいつでも得点が決まりそうな気配もあったが、それだけに普段ならあり得ないようなボールロストを頻発するブルーノについてはかなり悪目立ちしていた。
スロベニアの4-4-2ミドルブロックは最後方を3でビルドアップするポルトガルに対しボールサイドのサイドアタッカーが前に出てスムーズに4-3-3に変化するのも特徴で、ファーストプレスは中を切りながら外へ相手を追い込み、その後ろの2ラインは非常に縦の幅を圧縮して布陣するので彼ら相手にライン間にパスを入れて崩すのはそう容易ではなかった。
なお、ロナウドに関しては以前ならば追いついていたであろうボールに半歩遅れたり、以前ならば上から叩きつけていたであろうクロスに下から当たっていたり、どうしても瞬間的な馬力が要求される場面では衰えを隠せないが、それ以上に何か思い詰めているかのような表情・仕草が目立つように、メンタルの問題がゴール前での冷静さを損なわせ今大会の深刻なゴール欠乏に繋がっているのではないかと思う。
後半
後半もポルトガルがアタッキングサードでボールを持つ時間が長くなるのは変わらず、レオンやカンセロのドリブルでゴールに程近い位置からのフリーキックを何度か得ていたが、FKの感覚が良さそうなロナウド以上にスロベニアの守護神オブラクのセービングが冴えている為ゴールを奪えずジワジワと時計の針を進められていく。
有利な展開でありながらゴールを奪えない事で血迷ったか、ポルトガルの指揮官ロベルト・マルティネスは65分という早いタイミングでポゼッションのキーマンであったヴィチーニャを下げてしまう。
ジョタ投入自体を否定するつもりはない。ただ、それならば明らかにパフォーマンスレベルの低いブルーノかボールに関与していない時の貢献に乏しいレオンにするべきで、FWを増やしてもその前段階でボールの循環が滞るようになったセレソン・ダス・キナスは試合をコントロール出来なくなってしまった。
更にマルティネスの理解に苦しむ交代策は続く。レオンに変えてほとんどRWでの経験しかないフランシスコ・コンセイソンをLWで投入した事でアタッキングサードで左サイド深い位置を侵攻する手立てが無くなり、ただでさえヴィチーニャがいなくなってポゼッションの質が低下していた所に追い打ちをかけてチャンスはカウンターのみという状況が生まれる。
仮にRWでの起用だとしても、似たタイプのアタッカーにネトというより強力な個人打開能力を持ったレフティーを抱えている中でのコンセイソンという選択自体が指揮官への信用を損なわせるには十分であり、ハッキリ言ってしまえばこのゲームでポルトガルが延長・PKまでもつれ込んだ原因はほぼほぼマルティネスの無駄な交代策にあるといっても過言ではない。
延長・PK
ヌーノ・メンデス、パリーニャとトランジション局面の水際で素晴らしい対処をし続けていた選手が疲労で強度が低下し、元々危うさを孕んでいるフルバック起用のカンセロも突発的なエラーでピンチを作るなど終始一貫カウンターに徹するスロベニアに運が向いてくるような延長戦。
しかし、103分にはジョタがミドルサードからドリブルで4,5人の固まるスロベニアの中央のブロックに突っ込んでいき、延長戦でなければ無謀な意思決定であると批判するような決断ではあったが結果としてこの強引さがPK獲得をもたらした。彼の得点に対してのエゴイズムはポルトガル代表にとって常に有用なスパイス。
PKテイカーはもちろんロナウド。中央から左にステップを踏んで斜めにボールに向かう普段通りの助走でインパクトの瞬間を迎えたが、彼にしては珍しく置きにいったような利き足方向へのキックで何度も対戦してきたオブラクにコースを読まれストップされた。
🇵🇹 #C・ロナウド が試合中に涙…
— GOAL Japan (@GoalJP_Official) July 1, 2024
延長戦で訪れたPKのチャンスにキッカーはロナウド。ゴール右を狙うも、#スロベニア代表 GK #オブラク が見事にストップ。
延長前半終了直後にはロナウドが涙を流す姿も。
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延長前半から後半までの僅かなクールタイムの間、円陣を組むポルトガル代表にカメラが入るとロナウドが若き頃、クライベイビーと言われていた頃のように感情のまま涙を流している姿が映ったが、後輩たちは白けるのではなくダロトに代表されるように連帯を示して彼に「もう一度奮起しよう」と心に灯を再点火させるようなアクションをしていたのが印象的。ダロトのリーダーシップと味方に寄りそう優しさがこのような形で世界に知れ渡ったのは複雑ではあるが。
最後の15分、スロベニアはビヨル-ドルクシッチが獅子奮迅の動きで厳しく球際に寄せていく姿に呼応するように全員が残りの力を出し切るかの如くハードワークを続ける。彼らにとってもEUROが特別な大会である事を証明しているが、そんな姿勢が実ったか115分には前線プレスでペペのボーンヘッドを誘発させて決定機を迎える。
しかし、将来性を高く評価されるベンジャミン・シェシュコはゴールマウスから大きく飛び出していたディオゴ・コスタとの1on1を決めきる事が出来ず、ポルトガルは九死に一生、スロベニアにとっては掌の中にあった勝利への光が零れ落ちる結果に。
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— Peter not Drury (@PeterNotDrury) July 2, 2024
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120分でも勝敗決まらず準々決勝への1つの椅子を争う戦いはPK戦に委ねられる。
PK戦では、上述のショットストップでの成功体験でゾーンに入ったコスタがスロベニアのキックを3回連続でストップする大活躍。
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— Peter not Drury (@PeterNotDrury) July 2, 2024
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セレソン・ダス・キナスはロナウドが一番手のキッカーとして先程の悪夢を払拭し、更にブルーノ→ベルナルドと3者連続でネットを揺らして何とかフランスが待つ次のラウンドへ駒を進めた。