いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #Euro2024 】これぞスターというBellinghamの勝負強さ

持っている男とは彼のような人間を指す言葉なのだと思う。

 

 

 

 

【Match Review】イングランドvsスロバキア

ベンチ入り

イングランド
3 Shaw, 8 Alexander-Arnold, 13 Ramsdale, 14 Konsa, 15 Dunk, 16 Gallagher, 17 Toney, 18 A.Gordon, 19 Watkins, 20 Bowen, 21 Eze, 22 J.Gomez, 23 D.Henderson, 24 Palmer, 25 Wharton, 

スロバキア
4 Obert, 5 Rigo, 6 Gyömbér, 7 Suslov, 9 Boženík 10 Tupta, 11 Bénes, 12 Rodák, 13 Hrošovský, 15 De Marco, 20 Ďuriš, 21 Bero, 23 Ravas, 24 Sauer, 25 Kóša

 

前半

 

 

イングランドは3戦目で後半からチームに良い変化をもたらしたメイヌーを先発に抜擢。他はそれまでと同じ4-2-3-1で臨み、スロバキアもイタリアの指揮官らしいコレクティブな守備をベースにした可変ありきの4-3-3でゲームに入る。

 

ハラスリン、ロボツカといったグループステージから素晴らしい活躍を続ける選手たちの他に、スロバキアで非常に目立っていたのが9番を背負うボジェニクに代わりスタメンの機会を得た18番のストレレツ。守備では1度相手にプレスをかけて交わされたらハイ終わりではなくしっかりと2度追い3度追いをする献身性とCBに圧をかけながら背中でメイヌーやライスへの縦パスを切り続ける賢さを見せ、攻撃でもグエイやストーンズを背負ってロングボールを収めてカウンターの起点になるなど控えだったとは思えないプレーでチームを牽引。

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一方、イングランドはビルドアップが機能不全のままであり、4-4-2のスロバキア前線プレスに対してウォーカー,トリッピアーが低い位置でタッチライン際に張るかバック3を作っても少し位置取りが前なので相手のウインガーに丁度ハマるポジショニングなっている点、ライスが相手の1stプレスの水平から前方まで降りてしまうのでただ無駄に距離感が近くなるだけで前進する為の有用な経由地点にならない点、そして素晴らしい技術を持つメイヌーも細かなポジショニングはまだ年長者たちをカバーできるほどの次元には到底及ばないのでバックス~ダブルピボットが全て消されているような状況。

 

よって序盤から多くチャンスを作るのは整った守備からカウンターという矛を出せるスロバキアであり、ハラスリンのキャリー・テイクオンにおけるコース選択の巧さや先述したストレレツの気の利き方、何より中盤のロボツカや大ベテランのペカリーク含めて全員がトランジションで手を抜かないハードワークを続けてイングランドゴールを脅かし続ける。

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イングランドのチャンスはライスのインターセプトや相手のパスのズレなど自分たちがポゼッションしていない状況下で発生する事の方が多く、これまでの試合同様に開き直って堅守速攻に切り替えた方が戦いやすいのではないかという意見は変わらない。

 

25分のスロバキアはヴァヴロのクリアボールで生まれた競り合いにクツカが勝ち、真っ先にボールの落下地点に入ったストレレツが自分での仕掛けや逆サイドへのパスを意識させて自然にタメを作りつつボールサイドのスペースに走り込んできた味方にラストパス。パスを受けたシュランツはバランスを崩されながらもつま先で押し込んで先制。

 (ここでもストレレツのプレーに無駄がなさすぎて一体なぜこの選手がクラブレベルで目立った成績を残していないのか逆に不安になる。)

 

この失点シーンにはイングランド守備陣が秘かに抱える課題を明確に表れており、グループステージからストーンズとグエイは連携面がまだ深まっていないのかハイボールに対してダブルコミットしてしまうケースが散見されており、もしこれが無ければ失点までは行っていなかった可能性が高い。

 

ビルドアップの上手くいかなさに業を煮やしてベリンガムが低い位置まで降りるようになると、その推進力やメイヌーとのコンビネーションなど瞬間的な個の力で何度かチャンスに繋げる場面が見られるようになるが、この際勿体ないのがボールに関与していない左サイドでトリッピアー-フォーデンが外外の関係性になってしまっている事。ベリンガムが空けたスペースを使う選手が誰もいない為、位置取りゲームの観点からすれば勝手に後ろ重心になっているだけというケースが多い。

 

ベリンガムがオープンな状況で力を発揮する一方、狭いスペースで輝きを放ったのはメイヌー。AT2分にはFKからの2次攻撃でバイタルエリアに侵入しシュートまで完結させ、彼のドリブルスキルは後半に更に目立つ事に。

 

 

後半

 

50分のイングランド、メイヌーがCB横に降りてウォーカーの攻撃参加を促すと、彼からサカへボールが渡り、更にケインへの斜めのパスが入って一気にスピードアップ。ケインはスペースのある左サイドでボールを呼ぶトリッピアーへ展開すると、最後はトリッピアーの折り返しを中央へ位置取りしていたフォーデンが詰めて同点ゴール……かに思えたがフォーデンのオフサイドで幻に。

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このプレーをきっかけにイングランドが攻勢を強め、一時は同点も時間の問題かと思われたがFKからのリスタートでウォーカーとストーンズのコミュニケーションエラーが出て完全にGKが無警戒の状況でボールを失い、ストレレツに超長距離のロングショットを決められそうになった後はトーンダウン。

 

固定メンバーで戦うスロバキアも時間と共に守備強度に陰りが見え始め、アタッキングサードまではボールを運べるようになったが、そこからボックス内に侵入する手段は59分に見せたテイクオンのようにメイヌーの個くらいしか見当たらず。それならば開き直ってサイドからクロス爆撃を続けていけばと思わなくも無いが、コントロール型のクラブチームで主力を張っている選手が多いという状況がそれを許さないのかもしれない。

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スロバキアが消耗したパーツを入れ替えるが如く前線プレスの負荷が高かった所から選手を入れ替える中、イングランドはよりにもよって層の薄いLBのトリッピアーを負傷交代という形で失ってしまう。

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この危機的状況にガレス・サウスゲートの出した答えはサカのLB起用だった。

 

トリッピアーをLBで起用していた背景にある左利きフルバックを実戦に復帰していないルーク・ショーただ1人しか招集していない問題について、サカのLBを前提に考えていたのかとしばらく彼と周囲のプレーぶりを観察していたが、ウォーカーを右のCBにして左上がりの可変にするといった雰囲気は特になく、相変わらず相手のプレスがハマる立ち位置のままだったので完全にスクランブルなのだろう。サカLBは詰めていけばチームの強みになり得ると思うが、今から、それも悪い意味での実績があるイングランドのコーチ陣にそれを期待するのは酷な話。

 

80分台に入ると疲労が目に見えて分かるようになっていたメイヌーを下げてエゼ投入、フォーデンをライスの隣に置いてパルマーとのマン・シティ下部組織勢同士のコンビネーションを促すが終盤になってもスロバキアの集中力は高くボックス内に人数がいるので崩しきる事は容易ではない。

 

いよいよもってここまでかと諦めかけたアディショナルタイム5分、イングランドは相手陣内右サイドコーナーフラッグ付近でスローインを得ると、ウォーカーのロングスローでボックス内に良質なボールが供給され、グエイが後ろにそらしてベリンガムがこの土壇場でバイシクル!!

 

スロバキアからすればあと2分弱耐えていれば初の準々決勝進出が見えていただけに落胆の色を隠せない一撃となったが、一発勝負のトーナメントの、それも負けている状態のエクストラタイムでこのようなアクロバットを決めるベリンガムの主人公性には恐れ入った。 

 

 

延長戦

 

延長始まって間もない91分、イングランドは右サイドで得たFKから始まるチャンスから一度相手にクリアされたセカンドボールをエゼがダイレクトでゴール前へ蹴り返し、後半ATから出場していたトニーが上手くボールをファーサイドへ頭で折り返すと、ここまで決定機を逃していたエースストライカーが遂にゴールネットを揺らした。

 

同点弾も勝ち越し弾もセットプレー関連で生まれたとあって無駄に足元で繋ごうとせずクロスやロブパスで早めに前線の選手にボールを集めろという世論?では無いがスリーライオンズサポーターに根強く支持される論調が正しかった事も証明された。

 

イングランドはケイン,トニーの2トップにMF3枚の5-3-2、追いつかなければならないスロバキアはDFラインの前をロボツカ1人で何とかする3-1-5-1で前線の枚数を増やして機会があれば積極的にボックス内にクロスを入れていく。

 

イングランドウイングバックの経験値に乏しい選手を両サイドに入れている事もあってシンプルにペナルティボックス角付近からファーポスト向かって上げるクロスは有効であり、105分にはペカリークに決定的なチャンスが訪れるもタイミングを合わせられず。

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スロバキアは延長後半にもボジェニクのシュートがサイドネットに突き刺さるなどいくつか見せ場はあったものの、同点ゴールのショックが癒えないまま入ってしまった延長前半最初のプレーが尾を引いて惜しくもラウンド16で大会を去る事に。

 

 

【Match Review】スペインvsジョージア

ベンチ入り

スペイン
1 Raya, 4 Nacho, 5 Vivian, 6 Merino, 9 Joselu, 10 Dani Olmo, 11 Ferran Torres, 12 Grimaldo, 13 Remiro, 15 A.Baena, 18 Zubimendi, 21 Oyarzabal, 22 J.Navas, 25 F.López, 26 Ayoze Pérez

ジョージア
1 Loria, 5 Kvirkvelia, 8 Zivzivadze 9 Davitashvili, 11 Kvilitaia, 12 Gugeshashvili, 13 Gocholeishvili, 14 Lochoshvili, 16 Kvekveskiri, 18 Altunashvili, 19 Shengelia, 23 Lobjanidze, 24 Tabidze, 26 Sigua

 

 

前半

 

 

大会中のベストメンバーを固められていて戦い方も明確な両チームの対決。序盤からスペインがジョージア陣内を制圧するような展開となり、ハーフコートマッチの様相を呈したため、自陣側のゴール裏にいるスペインサポーターは常に遠くを見続けるような状況だった。

 

ジョージアはミカウタゼ以外の全選手が自陣ペナルティボックス内に入ってとにかくゴール前に空間を与えさせないという徹底した姿勢を見せるが、それでもスペイン両ウイングの個の力やカルバハル,ククレジャの巧みなサポートでサイドから打開され鋭いクロスをゴール前へ入れられ続けていつ失点しても不思議ではない状況が続く。

 

ただ、そんな状況ですら何とかしてしまいそうに思えるほどに圧倒的なショットストップ能力を見せるママルダシュヴィリが彼らの最終防衛ラインには待ち構えているため、スペインも簡単にはゴールネットを揺らす事が出来なかった。

 

フィニッシュワークのパターン練習が行われているのかという位に一方的なスペインのポゼッションが続いた試合に転機が訪れたのは18分のこと。

 

自陣左サイドでボールを持つジョージアはスペインの前線プレスをクヴァラツヘリアの瞬間的な往なしの技術で回避し、そこから斜めのパスを受けたミカウタゼが力強いキャリーでピッチを横断しながら右サイド大外に待つカカバーゼに絶妙なパスを送る。カカバーゼは少し早めのタイミングでゴール前に低弾道の高速クロスを蹴り込み、戻りながらの対応で上手くクリアする為の体勢を作れなかったル・ノルマンのオウンゴールという形で押し込まれていたチャレンジャーがワンチャンスを活かし先制。

 

スペインにとって不幸中の幸いだったのは失点した時間帯が比較的早く、いくらでもチャンスを生み出せるというポジティブな切り替えをしやすかった事だろう。実際に失点の前後でプレーの精度に変化は無く、ビハインドになっても淡々とサイドから打開してゴール前にボールを送り続ける事を徹底していた。

 

一方のジョージアはゴールエリアにさえ侵入されなければママルダシュヴィリが何とかしてくれるという思い切りの良さでスペインのクロスやDFラインを前に釣り出す為のミドルシュートを凌ぎ続け、ゴールキックや低い位置のFKからのリスタートでは丁寧にボールを繋ぎながら更なる成果を狙ったが、39分のロドリの左足の正確なミドルで遂に追いつかれてしまう。

 

 

後半

 

開始しばらくは相手のパスのズレやディフェンシブサードで奪ってからのミカウタゼ,クヴァラツヘリアの推進力でカウンターチャンスを作るジョージアペース。自陣ゴールマウスから大きく飛び出していたウナイ・シモンに冷や汗をかかせた48分のクヴァラツヘリアのロングショットが決まっていればその後の展開も違ったかもしれない。

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序盤の波を乗り越えたスペイン。ヤマルがダイアゴナルのテイクオンでゴール正面の位置でFKを獲得すると、直接ゴールを狙った左足のキックはママルダシュヴィリの好セーブに阻まれるが、セカンドボールを回収して攻撃続行。右サイドに戻っていたヤマルはファーポストに向かうような左足のカーブクロスを蹴り、相手CBカシアの背後から抜け出したファビアン・ルイスがノンプレッシャーでヘディングシュートを放ち勝ち越し弾が生まれた。

 

こうなってしまえばラ・ロハのターンであり、ジョージアもカウンター対応にツッコミどころのあるスペイン両CBの隙を突きたいところだがククレジャ,カルバハルの献身性と非常に身体が動いているファビアン・ルイスカバーリングなどで常に複数人の選手に囲まれる状況のためにゴール前が見た目以上に遠いという状況。

 

スペインのゴールがオフサイドで取り消された事で更なる失点は避けてきたが、それもファビアンのロングパスで抜け出したニコ・ウィリアムズの圧倒的な個の前に崩れ去り、75分の追加点でビハインドは2点に広がる。

 

とどめは途中出場のダニ・オルモが軽快な身のこなしとタイミングを外したコントロールショットで心を折り、スペインは4-1でドイツが待つ次のラウンドへ駒を進めた。

 

高い得点力を見せてきたドイツ,スペインの直接対決は準々決勝の目玉になること間違いなしで、キーマンはムシアラとニコのウインガーになるだろう。オンボールのみならずオフボールでも違いを生み出せる彼らが共に不安定な箇所を抱える相手のバックラインの急所を突けるかどうかで試合の難易度は大きく変わってくる。