いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #FULMUN 】ATに決勝弾も劇的な勝ち方「しか」出来ないのは問題

※23/24 イングリッシュプレミアリーグ

フラムvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

よく言えば興行が分かっている、現実的に捉えると劇的な勝ち方しか出来ない不安定さという感想が第一に浮かんでくるクレイヴン・コテージでのフラム戦。決勝ゴールはブルーノでしたが、いつになったらアタッカーが得点を決めてくれるのか……

 

 

 

 

【Match Review】

 

11月の初旬は戦没者の追悼式典が行われるRemembrance Dayに合わせて各クラブのユニフォームにポピーの花をあしらったバッジがプリントされている。

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Starting lineup

 

ベンチ入りフラム
1 Rodák, 6 H.Reed, 7 R.Jiménez, 10 Cairney, 12 Ballo-Touré, 14 Decordova-Reid, 28 Lukić, 30 C.Vinícius, 44 De Fougerolles

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 4 S.Amrabat, 7 Mount, 9 Martial, 15 Reguilón, 19 Varane, 28 Pellistri, 37 Mainoo, 46 Hannibal 

 

 

前半

 

ユナイテッドの中盤構成はポゼッション時にエリクセンがアンカーに入り、その前に左ブルーノ右マクトミネイの4-1-2-3。守備に回る際はボールロストのシチュエーションにもよるがマクトミネイとエリクセンのダブルピボットに。

 

パス能力があまり高くなく、レシーブの体勢も完全な後ろ向きである事の多いマクトミネイをビルドアップの要職から解放した事は評価するが、スタメン自体の選出を考えた時にマウントやアムラバトが控えにいる理由は分かりかねる。ミッドウィークのチャンピオンズリーグに向けたローテーションだと言うならばそれ以上言及はしないが、そうでないパターンの可能性の方が高いように個人的には見えてしまう。

 

フラムは古巣対決のペレイラがトップ下に入るお馴染みの4-2-3-1で、DMでパリーニャの相方に入るイウォビは中央に留まるというよりも右ハーフスペースを中心に時には逆サイドまで、広範囲にボールを呼びに動き回る。今思えば、これはフラムの右CBが左利きの選手で、パスレンジと選択肢があまり多くない所をフォローしていたのだろう。

 そんなイウォビの本領が発揮されるのはロングカウンターで、ドリブルの推進力とトップスピードの持続性はプレミアリーグの中でもトップクラスではないか。

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また、守備時はペレイラがムニスと1stプレス隊になる4-4-2のコンパクトな陣形で中央の密度を高めるフラムに対し、ユナイテッドは両ウイングが幅を取って均一されたラインに歪みを生み出そうとするが、攻めあがりたい気持ちを抑えバック3の左として戻しのパスのコースを作るダロトに対し、ワン=ビサカはアントニーがタメを作って後ろの警戒が緩み落としのボールにダイレクトで対角クロスを入れられるという絶好の機会でもアントニーの前方に走り込んでしまい意図が合わない所かボールロストに繋がるようなシーンが見られた。

 

華麗なスライディングや狭いスペースでのボール保持といった派手なプレーで上回っているとしても、私が彼を信用していない理由は正にこういった戦術理解の問題であり、離脱中に何か変化があると期待したのだが現状ではその兆候はない。

 

攻撃面の苦戦の理由として、ここ最近のユナイテッドは少々雑なロングボールでもホイルンドの見事なキープ力&単騎での陣地回復という個の質でカバーしている箇所が多かったのだが、今回はその彼に対し、身体の厚みが尋常ではなく、見た目通り対人プレーに圧倒的な強みを持つカルヴィン・バッシーが付く事が思うようにボールを収められなかった点も忘れてはならない。逆にCBユニットを組むティム・リーム相手のコンタクトプレーでは優位性があったので、比較してもらうと分かりやすいかもしれない。

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このような圧倒的なフィジカルを有する相手にどう立ち向かっていくかというホイルンド視点での向上と、ロングキック後のファーストプレーでボールを手中に収められなかったとしても、その後のルーズボールや相手の1タッチ目に奪い返すようなチームとしての明確なルールの確立と浸透が課題。

 

とはいえ、僅かにオフサイドの位置にいたマグワイアがムニスのプレーに影響を与えたとしてかなり厳しめのジャッジによって取り消されたマクトミネイの幻の先制点が認められていれば、以後は全く異なる試合展開でこれらの問題も顔を出していなかった可能性も十分にあると思うが……

 

勿体ないと感じるプレーは32:46~のガルナチョ。まず、チーム事情で左利きながら右CBとしてプレーしているバッシーのパスコースを完全に読み、ボールを奪った所までは満点だった。だが、その後のショートカウンターでのプレー選択が完全に自ら難しい方に進んでしまい、最終的にブルーノのシュートで一通り攻撃を完結したとはいえ、やりようによってはオープンゴールに出来たようなビッグチャンスなので評価は出来ない。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

後半

 

ハーフタイムでの選手交代は両クラブ共に行わず、良くも悪くも前半の流れを踏襲するような形で進んでいくクレイヴン・コテージでのリーグ第11節。

 

ユナイテッドは相手のパス回しを右サイドに誘導していき、バッシーからのボールを奪いどころとする意図をより強調しているように見え、実際に上手く行ったケースも何度かあったのはこれは効果的だったと考えている。しかし、左CBのリームのボールキャリーを起点にイウォビや降りてくるウィリアンへのパスでスイッチが入った際には高い確率でディフェンシブサードまで侵入を許してしまう。

 

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 救いだったのは昨季の有力な得点源であったペレイラのセットプレーの質が低下している事で、全体的なキック精度も今シーズンはずっと良くない。元ユナイテッドの選手は常に動向を注目している身としては少し心配な部分もある。

 

LBで起用されたダロトについて、深い位置からのマイナスクロスに関しては左足の方がシンプルに味方の選手に届けようとするので寧ろチャンスに繋がりやすい側面もあり、タイミングよくガルナチョのボール保持にオーバーラップを仕掛けてからのチャンスメイクは最も得点の匂いを感じるコンビネーションだった。

 

また、起用の是非という観点から疑問の声の多かったエヴァンスについても、53:20~のブルーノへ通した2ラインブレイクの縦パスのように、恐らく左サイドで左足からある程度の質を伴ったボールを配球できるか否かという部分を指揮官は重視しているのだろう。個人的にはカウンターへの弱さや味方とのマークの受け渡しのズレが気になってしまうが、確かにほぼ両利きで左で起用しても自然と外誘導で中央側から近づく相手に対し遠い方の左足でボールタッチをする彼は非常に使い勝手がいいのかもしれない。

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50分台後半から60分前半にかけては何度も指摘してきた中盤の空洞化による高難度のロングパスからのロストや、守備のスライドの遅れ、球際での対応が後手に回る等々緩みが目立つ時間帯で、フラム側からすればこの間に得点を決めきれなかったのは回顧した際の最大の反省点という事になりそうだ。

 

特に、CK後の二次攻撃から相手のエアポケットを突いてボックス内にてパリーニャに訪れたフリーのシュート機会は完全なるゴールシチュエーション。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

先に動いたのはユナイテッド。アントニーを下げてペリストリ投入。それが彼1人の責任とは思わないが、確かに右サイドは全くと言っていい程機能していなかった。

 

エリクセンの対角線のロブパスをペリストリが収めた71分のチャンスでは、悪い意味での見本になってしまうようなオフボールの動きをするワン=ビサカが確認できる。これは彼だけの話ではなく、味方の状況やピッチ全体の配置などからその都度相応しいポジショニングを取れるようになってもらわないと困る。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

残り時間10分あまりという終盤に入りフラム、ユナイテッド共に積極的に交代を行う。

 

84分、ガルナチョが複数枚の相手の視線を集め、これに呼応してオーバーラップしたダロトのクロスはゴール前への絶好のボールになったが、マルシャルは千載一遇のチャンスを活かせずにスコアは変動しない。

 

最後のひと踏ん張りとばかりに高い位置から積極的にユナイテッドのボール保持にプレッシングするようになったフラム。ダロトをタッチライン際に追い込んでボールを奪う寸前まで行くが、サポートに入っていたマウントとのコンビネーションで交わされ、一瞬時間が出来た隙にダロトは右サイドのペリストリへロングフィード

 

やや長めのボールは寄せてきたアントニー・ロビンソンの背中を越え、一足先に反応していたペリストリが縦にドリブルすると、執念の粘りで何度も相手のクリア狙いのキックを自身の身体に当ててピッチ内に残し、バッシーのクリアが甘くなった所をブルーノが収める。そして、一度パスを狙った後ディフレクションしてきたボールに対し冷静にキックフェイントから間合いを確保し、狙いすました右足のグラウンダーシュートがGKレノの手をかすめてゴール下隅へ吸い込まれていった!!

 

アディショナルタイムの劇的な先取点を守り切ったユナイテッドが試合を制し、公式戦連敗は2でストップ。

 

 

データ

 

Standard

 

シュート数はフラムの方が6本も多かったが、まるでマン・ユナイテッドの日常風景を相手目線から眺めさせられているが如くことごとく決定的な得点機会を逸し続けたためにノーゴール。この試合を落としたホームチームは大きく後悔しているに違いない。

 

両チーム共にパス成功率が8割を切っている点からも分かるように、全体を通して精度を欠いたキックが非常に目立っていたが、ユナイテッドの中ではブルーノ,エリクセン,マクトミネイの先発中盤トライアングルが全員70%台の成功率に留まっている事がとりわけ残念でならない。

 

勿論、決勝ゴールを決めた事で文句なしにこの試合のMotMである事に変わりはないのだが、ブルーノのミドルレンジのパスが弱く相手に掻っ攫わられてカウンターを受けるというシーンが過去一番に多く感じるのは勤続疲労の影響なのか、或いはプレー選択の悪い方向への変化なのか。

 

 

xG

 

参照:

Fulham 0 - 1 Manchester United (November 04 2023) | EPL | 2023/2024 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値は1.18 - 0.70とロースコア決着ながらリードしたのはシュート数で上回っているフラム。彼らは敵陣ボックス内から計9本のシュートを放っており、中でも16分のウィリアンと61分のパリーニャのチャンスは期待値の上では得点にしたかった内容である。

 

一方のユナイテッドはほぼ全てのシュートがピッチを縦に2分割した場合の左側に偏っており、特にアントニーが先発している間は一度たりとも右を終点にするフィニッシュシーンが無かったというのは懸念材料だ。

 

 PASSING NETWORKを見ると4-4-2のブロックに対し両ワイドを広く取って何とかして空間を作り出そうというユナイテッドの意図するところが伝わってくる。フルバックの位置にダロトのワン=ビサカのポゼッション時の気の利き方の差がある意味で現れているのだが、後者はバック3の振る舞いが出来るようにならないと正直かなり使い勝手の悪い選手という評価で固まってしまう。

 

あとがき


順位表上はCL圏から5ポイント差の8位と最低限の体裁は保たれているように見えるものの、トップハーフの中で唯一得失点差がマイナスに振れている事からも実情としてはボトムハーフ相当と考える方が自然だろう。

 

対フラム戦は上手く行っていない状態でも何故か勝利するというのが昨年から続いているが、これはコテイジャーズの慢性的なゴール欠乏症による部分が大きい。今季はミトロヴィッチもチームを去ってより一層その深刻度が増しているようだ。