いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #ARSMUN 】最終盤に勝ち越しを許す。点差以上に開きがある完成度の差

※22/23 イングリッシュプレミアリーグ

アーセナルvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。


万全のスカッドで臨む事が出来なかった事に対する言い訳をしたい気持ちもありますが、それでも復調,或いは変化の兆しがあると期待をした何人かの選手に関して本質的な部分が全く変わっていなかったのだと思い知らされた90分。

 

 

 

 

【Match Review】

 

カゼミロがイエローカード累積5枚で出場停止、更にマルシャルとダロトも間に合わず主力メンバーを複数欠く中で挑む事に。

 

Starting lineup

 

ベンチ入りアーセナル
3 Tierney, 10 Smith Rowe, 16 R.Holding, 18 冨安健洋, 19 Trossard, 21 F.Vieira, 23 Lokonga, 27 Marquinhos, 30 M.Turner

マンチェスター・ユナイテッド
2 Lindelöf, 5 Maguire, 12 Malacia, 17 Fred, 22 Heaton, 28 Pellistri, 36 Elanga, 49 Garnacho, 73 Mainoo

 

 

前半


本来はポゼッションを標榜するマンチェスター・ユナイテッドですが、成熟度の差や起用したラインナップなどから必然的に守りから入る展開となり、奪った後は過去の直接対決からも1on1で優勢なラッシュフォードvsベン・ホワイトの所に早めにボールを入れてカウンター。

 

アーセナルはエンケティアがヴァラン、サカがリチャを見ながらユナイテッドのビルドアップにプレッシャーをかけ、以前より良くなったとは言えデヘアが1つ飛ばしてフルバックセントラルMFに質の高いボールを供給出来ず、更に出しどころが限定されてしまうファーストタッチの悪さもあって前進に苦労する展開が続く。

 

アントニーとワン=ビサカの内と外の関係、組み立て時のマクトミネイのポジショニング等右サイドがユニットとして機能せず。比較的守備の柔さがあるジンチェンコ対面という事もあってアントニーのドリブルは普段より通用していたものの、相変わらず1人で2人3人を抜いてゴールして見せろと言わんばかりの環境なのでやはり苦しい。

Embed from Getty Images  

 

ただ、先制したのはユナイテッドでした。

相手のパスをカットしたラッシュフォードはブルーノにボールを預け(もしかすると跳ね返りが偶然そうなったのかもしれないが)、リターンを貰うと疑似エラシコのような鋭い切り返しでトーマスを突破。そのままゴールまで25m以上ある場所からニアへパンチショットをお見舞いし球足の速さでGKもお手上げ状態。

 ただただ驚くしかない、シンプルに凄い。

 

リードを奪った後の試合運びですが、結論から言えばお粗末なミスで自らの首を絞めてしまう事に。 

 

右はサカのドリブル、左は3,4人の絡むコンビネーションからハーフスペースに走り込むジャカと両サイドからボックス内に侵入されるユナイテッド。しばらくは最後の所でシュートコースを制限し、直接身体に当ててブロックもしながら耐えていたものの、ジャカの精密なクロスボールにエンケティアがDFの前を取ってノンプレッシャーでヘディングシュートを打ちアーセナルが得点。

 

クロスが放たれる前の時点でワン=ビサカは完全にエンケティアを見失っており、更にその前、ウーデゴールがボールを保持するシーンで斜め後ろに相手がいる事を確認したにもかかわらず、ポジション修正を怠ったディフェンダーとして犯してはならない致命的な失敗。このようなインテリジェンスの面において彼は求められる水準を下回っており、いくら特筆すべき対ドリブルの強さやスライディングを持っていても評価できない最大の理由と言える。

 

連続スタメンとなったヴェフホルスト、役割上楔を受けて起点になるプレーが多く、ゴール前のシーンが少ない事から点取り屋としての評価はまだ保留だが、チームプレイヤーとして見た時にはこの試合でも十分に合格点。何より守備面で計算が立つことが個人的に最も嬉しい要素。

Embed from Getty Images  

 

後半

 

明らかに修正が必要であったラッシュフォード対策としてアルテタはベン・ホワイトを下げて冨安投入。対人の強さ、スピード面でより優れている選手が出てきた事で前半程個で違いを生み出せなくなったが、それでも最も可能性のある選手である事に変わりは無かった。

 

アーセナルの変更点は選手交代だけではなく、ワイドの選手がボールを受けた際に縦ではなく横にボールを持ち運ぶ回数が増加。横方向にドリブルしてから中央のトーマスに戻し、彼がダイレクトで反対側のサイドに展開するという手法はある程度の再現性を伴った崩し。

 また、マンツーマンベースのユナイテッドとしては、サイドから剥がされて空いたスペースを使われやすくなるのでその面においても嫌な変化です。

 

なお、53分のホームチームはサカの突き刺さるようなファーへのシュートで勝ち越しますが、この失点シーンに関してはラッシュフォードの時と同じく打った方を褒めるしかない。

 

ここまで殆どユナイテッドの批判ばかりなのですが、何とも不思議な力に守られているかのような試合展開で59分にはエリクセンのゴールに向かう軌道のCKに対しラムズデールと冨安が被ってクリア出来ず、こぼれ球をリチャが飛び込みながらボールの上ではなく下にミートし、ヘディングながらチップキックのような弾道でゴールに吸い込まれる技ありのシュートで同点!

  オープンプレー以外の所でゴールを期待できるようになると、不利な状況でもこのように強引に流れを持って来られるようになります。年末から得点が増えているセットプレーの改善は良い傾向。

 

エリクセンに関しては、次のような推測を立てています。

基本的に我慢が効かずアンカーポジションに入って攻守のバランスを取る事が苦手なマクトミネイやフレッジとのユニットを組む場合、気が利くエリクセンがその分野まで行わざるを得ないがために運動量と脳処理の両面でオーバーワークになりがち。66分のゴール前でのウーデゴールの決定機までの展開が正にその典型例ではないでしょうか。

Embed from Getty Images  

それ以外にもウーデゴールを見なければいけないシーンが多く、エリクセン自身のコンディションが万全で無いにしろそもそも彼が本領発揮し辛い環境になってしまっていた

 

そして試合後に多くの波紋を生んでいるこのパンチング。

もしかすると真上に上がりながら複雑な回転がかかっていて見た目以上にキャッチし辛いボールだったのかもしれませんが、クリアするにしろせめてボックス外までは飛ばして貰わなければどうにもなりません。 最初の失点も彼のパスが明らかに相手に限定されている所に正直に出したところから始まっており、90分を通し誤った判断を下すケースが目についた。

 

アディショナルタイム直前の失点に関してはマクトミネイが楽をしようとした分のしっぺ返し。ゴール前ならまだしもミドルゾーンで安易に滑ってギャンブルを行い、ボールに届かなかった結果アーセナルに左サイドでトロサール-ジンチェンコvsワン=ビサカ 2on1のチャンスが舞い込むと、最後は折り返しに合わせたウーデゴールのキックに対し直前でワンタッチを入れたエンケティア。

 (スライディングするなら、触れる可能性が若干ありそうなマイナスのクロスの所で飛び込んで欲しかった)

 

 

データ

 

Standard

 

今思えば、25本も相手のシュートを許しよく3失点で済んだものだと感心します。連勝中はフィフティフィフティの局面で幸運も多かったりと実力以上に結果が伴っていたのかもしれません。

 

実際には右サイドの縦関係やペースを落として攻める際のバリエーションの無さ、そしてゲーム終盤の守備といった課題をそのまま放置していたので、ここでお灸を据えられた事でより付け入る隙の無いチームに成長する機会が与えられたと捉えたい。

 

唯一ポジティブに捉える事が出来る要素はオンターゲット/シュート数が優秀なところくらいでしょうか。

 

 

xG

 

参照:

Arsenal 3 - 2 Manchester United (January 22 2023) | EPL | 2022/2023 | xG | Understat.com

 

これでよく2点奪う事が出来たなと感心したくもなる圧倒的な期待値の差。ハッキリ言ってお話にならない位頻繁にボックス内まで侵入されており、カゼミロの圧倒的な守備範囲をそのままマクトミネイに求めたのが失敗だった。

 

更にエリクセンもW杯後の試合では早い時間に交代されるケースが多くなっているように90分戦い切るスタミナで不安を抱えていて、元より守備強度はDMとしては低い方に相当する事から、ラッシュフォードの前残り(戦略的だと思います)から始まる守備のズレを含めこれではアーセナルを止めるに十分では無かったという事でしょう。

 

 

あとがき

 

サー・アレックス・ファーガソンアーセン・ヴェンゲル、共に長い年月チームを率いた名伯楽が去った後に長いトンネルの中にあったライバルチームの1つがこのようにプレミアの優勝争いに戻ってきた事に関し、歯がゆい悔しさの一方でユナイテッドもテン・ハフの元で改善を続けていけばそう遠くない未来に栄冠に手が届くのではないかと希望を抱く部分もあります。

 

そんな中で挑む次の試合はノッティンガム・フォレストとのリーグカップ準決勝。

既にBIG6が全て敗退しており、16/17シーズン以来のタイトル獲得となればチームの大きな財産になる事は間違いありません。メンバー起用に関してはある程度コンディションを考慮してもらいたい所ですが、自信と誇りを取り戻す為にも全力で行くはず。

Embed from Getty Images  

前回優勝した2016-2017シーズンの画像