いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MUNARS 】Højlundがデビュー。敗北の中にも一筋の光明あり

※23/24 イングリッシュプレミアリーグ

アーセナルvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

 

スコアは3-1、それでもガルナチョの惜しくも幻に終わった勝ち越し弾や普段とは別人のように守備に奔走するラッシュフォードをはじめ、遂に公式戦デビューとなったあのストライカーに至るまで決してネガティブ一辺倒だった90分ではありません。」

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りアーセナル
9 G.Jesus, 10 Smith Rowe, 15 Kiwior, 18 Tomiyasu, 19 Trossard, 20 Jorginho, 21 F.Vieira, 22 Raya, 24 R.Nelson, 

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 5 Maguire, 11 Højlund, 15 Reguilón, 17 Garnacho, 28 Pellistri, 35 J.Evans, 44 Dan Gore, 46 Hannibal, 

 

ユナイテッドは遂にホイルンドがスカッドに入ったが、一方でサンチョは「トレーニングでのパフォーマンスが水準に満たしていない」との理由で招集外となり、この指揮官の発言に対し当人がソーシャルメディアに長文での反論とも見れる意見を投稿するなど新たなチームの火種になり兼ねない問題が噴出している……

Please don't believe everything you read! I will not allow people saying things that is completely untrue, I have conducted myself in training very well this week. I believe there are other reasons for this matter that I won't go into, I've been a scapegoat for a long time which isn't fair!

All I want to do is play football with a smile on my face and contribute to my team. I respect all decisions that are made by the coaching staff, I play with fantastic players and grateful to do so which I know every week is a challenge. I will continue to fight for this badge no matter what!

引用元:Jadon Sancho(@Sanchooo10)

 

 

前半

 

ユナイテッドは4-2-3-1でエリクセンがビルドアップのレシーバー役になる点は前節と同じだが、1-2-1というかなりリスクの高い繋ぎ方でオナナの類いまれなるボールプレー能力でここを機能させた割に、ミドルサード以降の前進手段がほぼアントニーのキャリーのみだった点には大いに不満が残る。

 

アーセナルはジンチェンコが内に入ってライスと2センターになるが、前者は兎に角ボールに触りたくて縦の距離感が近くなり過ぎていて、後者もまだチーム戦術に馴染めていない感が節々に表れていた為に両チーム共にポゼッションの質は高くなかった。

 

ユナイテッドの良かった所はサカにほとんど前を向かせず、横方向へのドリブルやウーデゴールとの狭い空間でのコンビネーションプレーからのボックス内侵入の十八番も悉く身体を先に入れて封じ込めたダロト。試合前の会見で前線の守備貢献に釘を刺された事も効いたのかラッシュフォードがしっかりダロトのカバーに回り、ダブルチーム(バスケットボール用語。ボールを持つ選手に2人で守備を行うこと)が徹底とまではいかないものの高頻度で形成出来たのもサカ封じに一役買っている。

Embed from Getty Images  

 

また、前述のとおりビルドアップのキーマンであるエリクセンは守備でもウーデゴールを見張りながら彼へのパスを要所でインターセプトし、相手のエラー由来だが得点奪取にまで繋げているので戦前の強度不安から考えるとかなり頑張ってくれた。

Embed from Getty Images  

 

26分のユナイテッド、カゼミロ(GKからのボールのレシーバー役)がダイレクトで前を向けるバックスに叩くパス回しでワン=ビサカがボールを持ったが、その位置が相手の圧縮プレスの格好の的であった為に苦しい局面となり、ワン=ビサカにロブパスでそれを突破しろというのも無理な話なので相手にボールを触られるが、ルーズボールエリクセンが最初に反応。

 

その後、ハヴァーツ→ウーデゴールへのパスが半端になった所をエリクセンインターセプトしてカウンターに移行すると、オープンな形の左45度という一番得意な形でラッシュフォードがゴール正面方向に侵入しながらファーサイドへの一撃!!

 アーセナルとしてはベン・ホワイト-サリバの守備対応が被ってしまった悔まれる失点だろう。

 

しかし喜びもつかの間、瞬間的なダッシュでマルティネッリがワン=ビサカと距離を作りマガリャンイスからの縦パスを引き出すと、対応が後手に回ったワン=ビサカをあざ笑うかのような足裏フリックでジンチェンコへボールを渡して一気にペナルティボックス内を陥れる。

 

交わされた後のトランジションが気怠いワン=ビサカのカバーで外にリンデロフが釣り出され、更にそのフォロー役としてリチャがエリクセンに自分のマークを任せて入った結果、ゴール正面のウーデゴールが完全にフリーとなってしまった。

 マルティネッリに対し3.5人の(リチャはエンケティアも気にしていた)守備が就いていながら中央へパスを許してしまった事が直接的な要因だが、スライディングタックルで全てを解決できると過信していてそれ以外の守備対応が雑なワン=ビサカへの不満を強める失点でもある。

 

この場面以外にもファーストタッチに対しての寄せが緩慢で簡単にマルティネッリに全身を許しており、突破される事こそ殆ど無かったが彼のとの1on1だけで5回以上のCKを与えるなどハッキリ言って強みとされる”守備面”ですら評価できず、いつまで経っても並外れた柔軟性と身体能力という誰もが羨む長所を「スライディングが上手い」以外に活かせていないため、私の目には彼が成長しているように見えない。

 

エリクセンとは対照的にトップ下としての限界が見えているように映るのがブルーノ。彼自体に疑いを持っている訳では全くもって無いのだが、4-2-3-1の3の中央で起用するとポジションごとの役割に関するを自己解釈かなり強く意識しているのか、速攻重視の思考から離れられない。いわゆるDeep-Lying PlaymakerやNo.8でもそのチャンスクリエイト能力に全く陰りが無い事はこれまでの試合で分かっているので、こちらも繰り返しになるがテン・ハフには役割を1つ後ろに下げる決心をなるべく早くしてもらいたい。

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他は良くも悪くもこれまで通り。マルシャルのプレー毎の切り替えの遅さは残念ながら治りそうにない。怪我人多発のチャンスを本気で掴みに行ってもらいたかったのでがっかりしている。

 

 

後半

 

選手の入れ替え無く始まった折り返しの45分。ユナイテッドの攻撃では53:30~のゴールキック始動のチャンスが大小の3角形を上手く使い続けながらボックス内まで失う事無くシュートに至る良い内容だったと思う。

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 エリクセンやリチャは後ろ向きの選手に楔を入れる際も周りの状況をしっかり確認し、レシーバーの要求する場所やその後のプレーに移りやすいスペースへ高精度のパスを入れられるので、彼らが関与すると不用意なボールロストが起きにくい。

 

59分、ライスのアウトサイドでの縦パスをアクセントにアーセナルが一気にギアを上げ、ボックス内でハヴァーツをカゼミロとワン=ビサカが挟み込んだシーンでは一度PKの判定が下されたが、VARによってこれが覆る。リプレイを見ると予想よりも遥かにクリーンな対応でこれは流石の一言。

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この試合では先発CBユニットが両方とも途中交代で退くのだが、リチャはウーデゴールに対しスライディングタックルで潰しに行った際に右足を痛めた事が理由で、リンデロフは元々体調不良気味でコンディションが良くなかったらしい。彼らがどのくらい復帰までに時間を要するか次第では何時ぞやのリバプールのナット・フィリップス-リーズ・ウィリアムズのペアを越える緊急事態に突入する恐れもある。

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リチャが続行不可能という事でユナイテッドは交代策に出て、CBにマグワイア、マルシャルに替えてCFには遂にホイルンド登場。

 

 現在のマルシャルに出来てホイルンドに出来ない事はどうやら何も無さそう、そう結論づけるに10分とかからなかった期待の新エースストライカー候補はロングフィードの収め位置として相手CBと競り合って勝利するというずっと求めていたCFの姿をすぐさま具現してみせた。

また、カゼミロが底に入る形を減らしてブルーノとエリクセンが流動的に中央でボールを散らし始めた事で10分間程度だったがユナイテッド優勢の時間が続いたが、アーセナルも直ぐに交代策で流れを取り戻す。

 

81分にはアーセナルの素早いパス交換からユナイテッドの守備陣が背走させられ、ゴール正面でサカがフリーの状態になる危機があった。オナナのセービングにより何とか凌いだものの、体勢の作り替えが全く間に合っていないマグワイアや最も危険な位置にいる相手をマークしておらず、パスが出た後にその場に留まっているワン=ビサカの対応には既視感を覚えずにはいられない。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

なお、試合終盤にあった幾つかの疑惑のプレーについて、個人的にガルナチョのゴールはオフサイドであったと考えている。こちらに関しては相手の咄嗟の判断が優秀だったと褒めるしかない。

 

ただ、その1分ほど前にあったカゼミロのスルーパスに抜け出したホイルンドがボックス内でマガリャンイスと接触したプレーについてはPKが与えられるべきだろう。ホールディングのファウルでホイルンドを妨害しているように見えたのだが……

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上述の通り、88分のユナイテッドは中盤に降りたジェズスから鋭いタックルでブルーノがボールを蹴り出し、ルーズボールを拾ったエリクセン始動で中央の狭いスペースをコンビネーションプレーで突破。ホイルンドのヒールフリックでサリバを無力化すると、リターンを受けたカゼミロからオフサイドラインギリギリで駆け引きするガルナチョへスルーパスが通り、新たに17番を背負う若きウインガーのシュートがゴールネットを揺らした。

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オフサイドという結果を抜きに判断すれば、終盤にこの威力のショートカウンターを繰り出せた事を高く評価できる。ホイルンドの器用な一面も見れたので長期的に見ると非常に有意義なシーンであった事は間違いないはず。

 

エバンス-マグワイアのCBコンビは地上戦においてかなり苦しいというのが実情であり、アディショナルタイムに入るとひたすら相手の攻撃を自陣深い位置で凌ぎ続けるという展開に。

 

そして左からのCKでサカのボールがゴールマウスを通り越してファーに備えるライスへ渡ると、エバンスはマガリャンイスのファウル紛いのプレーでボールへアプローチ出来ず、マグワイアも手を挙げるのみでニアのシュートコースを潰せず。

 ライスのシュートはディフレクトしていたのでオナナにとっては対処の難しいボールであったものの、反応自体は間に合っているのでフィールドプレイヤーがもっとコースを制限出来ていれば防げたようにも思う。

 

ガブリエル・ジェズスのダメ押しゴールについては見た目でド派手だったのでダロトへの責任を求める意見もあるようだが、完全にパワープレーでバランスを崩していた中でのカウンターなのでこのようなリスクは当然ある。むしろ、100分以上戦ってきた後にこれだけのロングスプリントが出来るスタミナと実行する精神力の強さを賞賛したい。

 

 

データ

 

Standard

 

シュート数17:10、オンターゲット5:2、エミレーツでのアーセナル戦にしては相手の攻撃を抑えられている。拮抗した試合で差が付いたスタッツはコーナーキックの数。直接突破する事は困難でも、ジワジワとボールを深い位置に進めCKを獲得するのはそれほど難しくないという対ワン=ビサカに対するマルティネッリの割り切りが生んだ結果に見える。

 

決勝点のライスはエアバトル全勝,全体2位のボールタッチ85回に加えfbref.com算出のTotal Carrying Distanceで最長の337ヤードを記録するなど、とカバーエリアの広さやストレングスの面では文句ない活躍だったが、スタッツには表れにくいアンカーとしてのポゼッション時の位置取りは相手の1stプレスの手前に居るので有効ではないというケースも多かった。

 

 

xG

 

参照:

Arsenal 3 - 1 Manchester United (September 03 2023) | EPL | 2023/2024 | xG | Understat.com

 

両チームのゴール期待値はアーセナル1.91,ユナイテッド0.97とホーム側が1点強上回ったが、パワープレーからのボールロストで失った3失点目の分がxG0.62と3分の1程に上る為に見た目ほど内容に差があった訳ではない。

 

ユナイテッドの得点機会は見事に左半分に集中しており、守備面でもサカ-ウーデゴールのホットラインを殆どの時間で消しきるなど攻守において高い機能性を見せた左サイドは良い意味でのサプライズであった。

 

なお、アーセナルDF陣の一瞬の判断のブレからくるダブルコミットを見逃さなかったラッシュフォードの先制点はxG:0.11。

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 PASSING NETWORKを見るとユナイテッドはラッシュフォードにボールを供給するラインを上手く作れていなかった事が分かるが、①基本的に相手の警戒がリチャ>リンデロフで右サイドにコースを限定される機会が多かった、②オナナのパスの出し先になったエリクセンのプレーエリアが前節よりも中央寄りに、③ブルーノがあまり左サイドのフォローに回らないといった複合的な要因が推察できる。

 

 

 

あとがき

 緑色のユニフォームで未だ勝ちが無い気がします。

 

CB怪我人多発、控えに居て欲しいマクトミネイも体調不良、そしてサンチョ造反やアントニーのプライベートでのとある疑惑など身体も心もトラブルばかりのユナイテッドは果たしてインターナショナルブレイクの間にチーム状況を改善できるのでしょうか。

 

仮にクラブの幹が腐っているのだとすれば、最大の原因はトップに座る者たちの無関心さと傲慢さにあると思う。やはりグレ○ザーズアウトが実現しなければ真の意味でマンチェスター・ユナイテッドが強さを取り戻す事は無いのかもしれない。