オーレ・グンナー・スールシャールからラルフ・ラングニックにトップチームのボスが変わってはや1ヶ月が経つマンチェスター・ユナイテッド。
前体制でオーレのアシスタントを務め、暫定指揮の3試合を2勝1分けで乗り切ったマイケル・キャリックは15年以上在籍したレッズを離れ、同じくアシスタントマネージャーを務めていたキーラン・マッケンナもEFL League One(イングランド3部相当)のイプスウィッチの監督に就任しユナイテッドを退団。更にマッケンナについていく形でアシスタントのマーティン・パートもクラブを離れました。
オーレ政権の中心メンバーのうち、マイク・フェランを残して全員が入れ替わる形となったコーチ陣の組閣ですが、退団する人がいれば加わる人もいるという事で、続々とレッドブルグループの流れを汲む人材がクラブに加入しています。
クリス・アーマス(Chris Armas)
現役時代はMF(主にDM)としてLAギャラクシーやシカゴ・ファイヤーFCなどMLSのクラブでプレーし、アメリカ代表としても66キャップを誇るアーマス。
引退後はシカゴ・ファイヤーでのアシスタントコーチ、アデルファイ大学女子サッカーチームの監督を務めた後、2015年からジェシー・マーシュの右腕としてニューヨーク・レッドブルズを支え、2018年夏,マーシュが同じレッドブルグループのRBザルツブルクへ引き抜かれた事を機にシーズン途中に監督へ昇格。そして就任後初シーズンでアーマスはチームをレギュラーシーズン1位に導く好スタートを切りましたが、その後の監督業では苦戦が続き、連敗の責任から2021年7月にD.C.ユナイテッドを解雇後、フリーだったところをユナイテッドがアシスタントコーチとして引き入れています。
In Chris Armas's only full season as a head coach in MLS, the New York Red Bulls had the fastest ball recoveries in the league, with the highest press, and played the most direct attacking style. Armas may have boosted their attacking output as much as 0.24 xG per game. Profile: pic.twitter.com/fDQL62UxXD
— smarterscout (@smarterscout) December 6, 2021
smarterscoutは、アーマスが監督として唯一フルシーズン(MLSは3月開幕~10月閉幕の春秋制)を指揮した2019年のスタッツでアーマスのチームはリーグ最速のボールリカバリー、プレス回数を記録、そして最もゴールに対しダイレクトな攻撃スタイルでプレーしていたとしています。ラングニック流を見事体現しているこのスタッツを赤い悪魔でも引き出す事が出来れば、プレミアリーグという世界で最も資金が集まるタフな舞台でもリーグタイトルをもたらす事が出来るはず。
月日が経って、彼がサー・アレックス時代のブライアン・キッド、スティーブ・マクラーレン、カルロス・ケイロスらに引けを取らない優秀なNo.2と評されている未来もあるかもしれない?
ユアン・シャープ(Ewan Sharp)
スコットランドがまだ英国に加わる前、スコットランド王国時代の首都であるスターリングで育ったシャープ。米ペンシルベニア州の大学でスポーツビジネスを学ぶと、卒業後は同大学サッカーチームのアシスタントコーチに就任し、ビデオ編集の導入や分析スキームの整備を担当していたそう。
この経験の後、ニューヨーク・レッドブルズにPlayer Development Coachという役職で入団し、ここが現ユナイテッド指揮官ラルフ・ラングニックとの邂逅。この時は数か月でレッドブルズを去りますが、4年後、今度はパフォーマンス・アナリストとしてクラブに帰還。ここでは上述のアーマスと共に仕事をすることになり、その後の遍歴を辿るとアーマスに付き従って移籍もしているので、2人には強い信頼関係があった事が推測されます。
以前、シャープはインタビューで"明確で一目でそれと分かるようなプレースタイル"がいかに重要であるかを語っており、トップチームの選手・コーチからひいてはアカデミーに至るまで、新時代に適応できるユナイテッドの哲学の再構成を彼には期待。