いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

グレアム・ポッターのチェルシー監督就任について占う

UEFAチャンピオンズリーグ グループステージ初戦のディナモ・ザグレブとのアウェイマッチを落とした翌日、電撃発表されたトーマス・トゥヘルの解任。就任半年でチェルシーを欧州王者に導いたこのドイツ出身の戦術家は唐突にチェルシーでの時間が終わってしまった事への衝撃やクラブに強い愛着を抱いている事をソーシャルメディアで明らかにし、Twitterの唯一のフォローがチェルシー公式アカウントという事実には思わず心を打たれます。

 

しかし、そんな前指揮官の想いとは裏腹にブルーズは複雑多岐な戦術をチームに植え付け、イングランド人若手指揮官の中ではトップクラスの評価を受けているブライトンのグレアム・ポッターを次のボスに任命。

 

今回はこの人事についてポッター、チェルシーの両面からどのような結果になるのかどうかを過去の例などから予測してみようと思います

 

 

 

 

【Chelsea’s Chapter】15年で14回目の新監督招聘、長期政権は期待薄

 

丁度15年前の2007年9月、チェルシーを欧州屈指のメガクラブという地位まで引き上げたジョゼ・モウリーニョの第1次政権が終わりを告げ、アヴラム・グラントが後任としてチームを暫定指揮し始めます。

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これ以降、ただ1人として3年以上チームを率いる事無く此度のグレアム・ポッターに至るまで15年間で総勢14人のマネージャーをチームに迎え入れる事になるチェルシー

参照:Transfermarkt.com

 

モウリーニョ第一次、その前代クラウディオ・ラニエリ時代は就任期間3年を越える中期政権でしたが、年々前オーナーロマン・アブラモビッチの堪忍袋の緒は許容量が小さくなり、過去15年で試合数で100を越えたのはアンチェロッティ,モウリーニョ第2次,コンテの3代のみ。

 

1例としてマンチェスター・ユナイテッドで同じように13代前まで監督を遡る場合、一桁試合の短期暫定を除けばあのサー・マット・バスビーに到達するという事でもチェルシーの周期の短さがよく分かるかもしれません。

参照:Transfermarkt.com

 

先程のチェルシー歴代指揮官の表を1試合辺りに獲得した勝ち点(勝利:3,引き分け:1,敗戦:0で換算する)で並び変えると、

 2.00を超えているのがヒディンク1次~アンチェロッティまでの6代で、サポーターに比較的良い印象を持たれているのがこのラインだと思います。ポッターの参考になりそうな若い指揮官としてチームを率いたランパード,ビラス=ボアスの2名は1.75と非常に苦しんだ事も伺える。特に当時の中心選手ドログバ,ランパード辺りとほぼ年齢が同じでチームの信頼を掴み切れなかった後者に関しては、後述する要素にも話が繋がってくるかもしれない。

 

次に過去15シーズンのプレミアリーグ戦績をまとめると、チェルシーは所謂監督解任ブーストの恩恵を良く受けていたのか交代後に顕著な成績良化のケースも多く、オーナーが変わったとはいえこの経験が今回の早期決断を後押しする一つの要素になった可能性も否定は出来ない。

 

更に、得失点差で並べ替えるとシーズン単位で+40以上の成績を収めたシーズンは5/6で現任の指揮官が続投しており、ポッターもこの得失点差40の壁を突破する事が成功への1つの指標になりそう。

(守備的なチーム作りの印象が強いモウリーニョが第2次でもこれを2度突破しているというのも面白い結果。)

 

 

【Potter's Chapter】エリート選手との関係性構築が最初の任務

 

これはチェルシー番記者から報じられるトゥヘル解任の理由にも通ずるものがありますが、ポッターにとって最初の壁は戦術の浸透やカップ戦の成績等ではなく選手との円滑なコミュニケーションが取れるかどうかという部分。

 

シーガルズでは選手との大きな衝突も(私の知る限りでは)なく、2019年3月,The Coaches' VoiceのYoutubeチャンネルに投稿されたインタビュー動画では、〈リーダーシップの概念や人間関係の構築といったメンタリティの部分を理解し、フットボールコーチングに応用する事の重要さ〉を説いている事からも新天地でも指揮官としての資質を十分に発揮できる下地はあると思っています。

 

 

ただ、既にキャリアで一定の成功を収めている選手が大半である事が多いメガクラブにおける人心掌握は数多の名監督ですら苦戦しているケースが多く、例えば00年代のチェルシー発展のアイコンでもあるジョゼ・モウリーニョマンチェスター・ユナイテッド時代、ポール・ポグバとの軋轢を筆頭に一部選手との不和が解任の一因になったとも言われており、あれ程の実績を持つモウリーニョでも時に失敗する事があるという事実はチャレンジャーとしてブルーズにやってくるポッターにとって不安な要素。

 

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特にチャンピオンズ優勝からまだ1年半も経過しておらず、その主軸であったメンバーの大半が現在もチームに在籍中というのが今回のミッションを更に困難なものにするような気がしてならない。

 

戦術面においてはトゥヘルのチェルシーも3-4-2-1をベースとし、時に4バックや5バックの使い分けをこなしていたというポッターのブライトン時代にも似た部分を持っているので、求められるタスクの微妙な違いで多少時間がかかったとしても大きく混乱するような事は無いと考えられる。個人的にはフルバック本職で3CBの両翼もこなすマルク・ククレジャとリース・ジェームズをどういう風に起用していくのかについて、シーガルズではCB本職2人+FB1人パターンが多かった事もあって注目している。

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彼の獲得を第3者目線でみると、シーズンが始まる前の段階で既にポッターを指揮官に据えようと現オーナーでフットボールディレクターも兼務するトッド・ボーリーが水面下で動いていたのではという推測もあながち間違って無さそうに思えるが……