多いクラブは28試合、遅れのあるクラブでも25試合を消化しシーズンの約3分の2を終えた21/22シーズンのイングランド・プレミアリーグ。
タイトルレースの行方は3位以下とのポイント差からほぼほぼマンチェスター・シティとリバプールの2クラブに絞られてきましたが、一方で降格枠3つを避けるべくしのぎを削る残留争いについては冬のマーケットを挟み大きく順位を上げたクラブ、一方で2022年になって急ブレーキのかかったクラブなどなど頻繁に状況が変化し、現段階ではまだどこのクラブが降格するのか分からないデッドヒートを繰り広げています。
今回は直近の調子や今後の対戦相手、他にも過去のシーズンの結果などを踏まえて今後どのクラブが残留するのか、或いは1つ下のディビジョンに戦いの場を移すのかを予想してみたい。
過去シーズンの結果から見る安全圏
結論としては7~8クラブで今後の残留争いが展開されると考えています。
イングランド・プレミアリーグの入れ替えは1シーズンに3クラブ。
コンペティションを戦うのは20クラブなので18位、19位、20位がチャンピオンシップへ降格します。そこで、まずは過去10シーズンの残留最後の1枠である17位チームの勝ち点を見ていこうと思います。
11/12→QPR 37Pts
12/13→サンダーランド 39Pts
13/14→WBA 36Pts
14/15→アストンヴィラ 38Pts
15/16→サンダーランド 39Pts
16/17→ワトフォード 40Pts
17/18→サウサンプトン 36Pts
18/19→ブライトン 36Pts
19/20→アストンヴィラ 35Pts
20/21→バーンリー 39Pts
18位(降格3枠目)の勝ち点が40を超えたシーズンは過去10年間では1つもありません。
つまり、全クラブが今のペースで勝ち点を伸ばすと仮定した場合は14位ニューカッスルまでが残留濃厚ということに。
更に、マグパイズは直近5試合4勝1分け、後半戦(Matcheday19~)は8試合で18Ptsを稼ぎ、これは同期間内では先述のタイトル争い2クラブに次ぐペース。彼らに関しては補強でスカッドの層が厚くなったことも考慮しほぼ残留出来ると見ていいと思います。
※日本時間3月11日に行われたセインツ戦でも逆転勝利でPL3連勝。快進撃が止まりません
一方、通算ペース的には残留見込みが高いものの、最近の調子や残りカードの面で少し不安なのがブライトン。
ここ2ヶ月は僅か1勝で直近の試合では上述のニューカッスルにセント・ジェームズ・パークで敗戦しリーグ戦4連敗。更に、今後の対戦カードを見るとBIG6との試合を6試合残し、それ以外もウルブスやハマーズといった上位陣との対決ばかりなので残り試合3勝、或いは2勝1分け以上で40Ptsを越えるとはいえ油断は出来ません。彼らに関しては4月初旬のノリッジ戦、下旬のセインツ戦、5月中旬のリーズ戦の3試合が正念場ということになりそう。
今最下位でもまだ諦めるには早い。過去には奇跡的な残留劇も
まずは現時点のプレミアリーグ順位表を確認しましょう。
18バーンリーと17位エバートンの差は1Pts。
最下位ノリッジと16位リーズでも勝ち点差6、この2クラブは丁度今週末に試合を控えているので直接対決でカナリーズが勝てばその差を3に縮める事が可能です。
28節時点の下位3クラブの勝ち点とシーズン終了時の結果がどうなったかをまた10季前まで遡ってみましょう。
※左が28節、右がシーズン終了時
20/21
フラム:18位 26Pts➡18位 28Pts 降格
WBA:19位 18Pts➡19位 26Pts 降格
シェフ・ユナイテッド:20位 11Pts➡20位 23Pts 降格
19/20
ボーンマス:18位 27Pts➡18位 34Pts 降格
アストンヴィラ:19位 26Pts➡17位 35Pts 残留
ノリッジ:20位 21Pts➡20位 21Pts 降格
18/19
カーディフ:18位 25Pts➡18位 34Pts 降格
フラム:19位 17Pts➡19位 26Pts 降格
ハダースフィールド:20位 14Pts➡20位 16Pts 降格
17/18
スウォンジー:18位 27Pts➡18位 33Pts 降格
ストーク:19位 26Pts➡19位 33Pts 降格
WBA:20位 20Pts➡20位 31Pts 降格
16/17
クリスタルパレス:18位 25Pts➡14位 41Pts 残留
ハル:19位 24Pts➡18位 34Pts 降格
サンダーランド:20位 19Pts➡20位 24Pts 降格
15/16
サンダーランド:18位 24Pts➡17位 39Pts 残留
ノリッジ:19位 24Pts➡19位 34Pts 降格
アストンヴィラ:20位 16Pts➡20位 17Pts 降格
14/15
QPR:18位 22Pts➡20位 30Pts 降格
バーンリー:19位 22Pts➡19位 33Pts 降格
レスター:20位 18Pts➡14位 41Pts 残留
13/14
WBA:18位 25Pts➡17位 36Pts 残留
カーディフ:19位 22Pts➡20位 30Pts 降格
フラム:20位 21Pts➡19位 32Pts 降格
12/13
アストンヴィラ:18位 24Pts➡15位 41Pts 残留
レディング:19位 23Pts➡19位 28Pts 降格
QPR:20位 20Pts➡20位 25Pts 降格
11/12
QPR:18位 22Pts➡17位 36Pts 残留
ウルブス:19位 22Pts➡20位 25Pts 降格
ウィガン:20位 21Pts➡15位 43Pts 残留
- 28節時点で降格圏にいたクラブが残留したケースは8/30、およそ26.7%。
- 11/12~16/17までは毎シーズン残留圏内に浮上したクラブがいたが、近年は3クラブ共にそのまま降格するケースが増加⇒クラブ間の格差拡大?
- 最下位から大きく勝ち点を積み重ねて残留を達成したクラブも2つあり、特にミラクルレスターと言われた15/16フォクシーズの大躍進劇はここから始まっているとも言える。
- 不思議なジンクスがあり、降格3クラブの組み合わせは守備崩壊2クラブ+それなりに無失点はあるものの得点力不足1クラブのパターンが多い
これらのデータも踏まえ、私の予想するシーズン終了時のボトム3は以下のようになりました。
18位:ワトフォード
19位:エバートン
20位:ノリッジ
エバートンはピッチ外でもチェルシーと並んでクラブ自体が危機に陥りかけているのでこの負の雰囲気に呑まれてしまいそうに感じています。悩んだのはリーズ、バーンリーワトフォードの3クラブで、正直ここはどう転ぶか全くもって見当が付きません。ノリッジはxG,xGA共に新年以降リーグワースト。正直今の状態では残留は厳しいと言わざるを得ないのが正直なところで、誰かヒーローになるような選手の登場が待ち望まれる。
追記:『残り1ヶ月、ラストスパートは三つ巴の戦い』
この記事を出してから約1ヶ月半、シーズン通算32~34試合を各クラブが消化し、いよいよ残留争いの行方もハッキリと分かるようになってきました。
結果として11/12シーズンのウィガン、14/15シーズンのレスターのような奇跡的な浮上は起こらず、近年の傾向通りの推移を続けています。
指標的には今後浮上すると予想していたリーズに関しても直近5試合無敗、3勝2分けと一気に勝ち点を伸ばし、依然として降格圏と5差とはいえ主導権を握る形。小数点以下まで含めれば9位ニューカッスルまで一応可能性が残っているとはいえ、ノリッジ、ワトフォードの降格がほぼ決まっている状況である事を踏まえれば、最後の残留1枠をかけたデッドヒートは以下の3クラブに絞られるでしょう。
- リーズ
- バーンリー
- エバートン
残りゲームの純粋な難易度はリーズ>エバートン>バーンリーの順。
そして前回、不調が続けば万が一もあると危惧したブライトンはアーセナル、トッテナムのノースロンドン勢に連勝し安全圏の勝ち点40に到達。ブレントフォードは心臓の問題を越えて遂にピッチに戻ってきたクリスティアン・エリクセンの獲得、迅速にチームの中心になったこのプレイメーカーの力もあって6試合で勝ち点13を稼ぎ出しトップハーフが見える位置まで浮上。
エリクセン、クルゼフスキ、コウチーニョが21/22冬のウィンドウの成功した移籍TOP3に挙げられる事はほぼ満場一致になりそう。(あるとすればコウチーニョとベンタンクールで議論が起こるくらい)
FiveThirtyEightは4月25日時点でリーズが18%、バーンリーが29%、エバートンが54%で降格するというデータを出していますが、これはあくまで過去シーズンの結果、当該クラブのこれまでの戦いぶり,勝ち点推移などからシミュレートした結果なので絶対的なものではありません。
とはいえ、同じように絶不調のシーズンを送り空中分解寸前のマンチェスター・ユナイテッド以外の相手にはまるで勝てておらず、プレミアリーグにおいて一度も降格経験の無かったトフィーズのチャンピオンシップ行きは大きく近づいている。