プレミアリーグ設立から30年、一度も降格を経験した事のないクラブは21/22シーズン開幕時点で8クラブ存在します。
(五十音順)
このうち、ブライトンは17/18、ブレントフォードは今季(21/22)からの参戦なので、リーグ創設時から在籍している中で降格未経験のクラブはアーセナル、エバートン、チェルシー、トッテナム、マン・ユナイテッド、リバプールの6クラブとなります。
今やリーグで最も安定してタイトルを獲得するチームとなったマンチェスター・シティは2度降格を経験、アストンヴィラ、ウエストハム、ニューカッスルといったリーグの中でも人気・知名度の高いクラブでも下部ディヴィジョンへの転落を既に経験しており、この競争力の高いリーグで常に生き残り続けるという事はそう容易い事ではありません。
マン・シティを除くBIG6の面々と共にこの栄誉あるメンバーの一員となっているエバートンですが、今シーズンはそれがと絶えてしまうかもしれない絶体絶命の危機に晒されています。
得点力不足解消のメドは立たない
8月にはラファ・ベニテスが月間最優秀監督の候補にノミネート、シーズンが始まって最初の公式戦10試合は5勝3分け2敗(引き分けの内1試合はカップ戦のPK戦負け)とスロースタートがお馴染みになっていたトフィーズにしては順調な滑り出しを見せましたが、10月、11月と2ヶ月連続でプレミア3連敗を喫するなどその後は急速に成績が下降。
ベニテスは年明け1月16日付で監督を解任され、後任には昨季途中までチェルシーを率いていたフランク・ランパードが就任。
得点力不足が目立つチームの立て直しを図るべく前任者よりも攻撃的スタイルを好むランパードが選ばれたのだと推測していますが、新指揮官になってからも得点はおろかその機会すらままならないというチームの傾向は続いており、understat.comによればランパードの下で戦ったリーグ戦7試合のうちゴール期待値が1.0を超えたのは3-0で勝利した2月13日のリーズ戦(H)1試合のみ。ランパード初采配の日から3月21日までの期間で区切るとxGはノリッジに次いでリーグ19番目の低水準で、ついでにxGAもワースト4番目と厳しいデータが並びます。
チーム内トップスコアラーもデマレイ・グレイの5ゴールに留まり、前シーズンPK無しで16ゴールのドミニク・キャルバート=ルーウィンをつま先の負傷で長らく欠いたダメージは大きい。また、チームの中で供給役だったギルフィ・シグルズソン、ハメス・ロドリゲス、ルカ・ディーニュを1人目は名前を明言する事は出来ませんが性的暴行の疑惑、残り2名はそれぞれ夏の市場と冬の市場で放出した事もあり、今のエバートンにはチャンスメイカーも不足しています。
特に前指揮官との不和が一因でチームを離れたとも伝えられるディーニュに関しては彼のヴィラへの移籍が決まってすぐにベニテスの方も解任されたという顛末を見てもチームの混乱がよく現れており、加入からの3季でリーグ戦22得点に直接関与した一流のLBをこのような形で失ったのは率直に言ってフロントの大ポカと言わざるを得ない。
穴埋めとしてマン・ユナイテッドからドニー・ファン・デ・ベークをローン、トッテナムからデレ・アリを完全移籍で獲得しましたが、加入直後に個でチームを一変させたブルーノ・フェルナンデスようなケースはごく稀。現状アリはバックアップ止まり、VDBは継続的に出場していますが未だ得点関与は無し。
残り対戦相手
FAカップ準々決勝でクリスタルパレスに4失点の大敗をしたので残りはリーグ戦のみ。
内訳はホーム5試合アウェイ6試合で、順位の近いクラブとの対戦はワトフォード、バーンリー、ブレントフォードの3試合を残しています。
リーグ再開後1ヶ月の試合日程
30節 ワトフォード(A)
31節 ウエストハム(A)
19節 バーンリー(A)※
32節 マンチェスター・ユナイテッド(H)
33節 クリスタルパレス(H)
18節 レスター(H)※
34節 リバプール(A)
35節 チェルシー(H)
・・・
※:新型コロナによる延期分
30節のワトフォード戦、33節のクリスタルパレス戦はカップ戦との兼ね合いでスケジュール調整が入るので開催時期未定。
{前者は恐らく4月9日(vs Man Utd)~20日(vs Leicester)の間に入り、後者は4月最終週以降の可能性が高い}
まずはターフ・ムーアでのバーンリー戦が最初の山場。
同地における過去5シーズンの戦績は1勝1分け3敗と負け越していますが、降格枠3つ目を争うであろうクラレッツとの試合はいわば6ポインターズであり、この試合で勝った方が残留すると言っても過言ではない重要な1戦。
そして、34節のマージーサイド・ダービーはそこから続く強敵続きの最終盤の入り口でもあり、昨季に続いてアンフィールドで勝利を奪えればチームの士気も最高潮に達する事はまず間違いない。ただ、2022年に入り1敗しかしていないユルゲン・クロップのチームに土を突けるのはそう容易いミッションではありません。
少し前の記事で私はエバートンを今季の降格3枠の1つとして予想しましたが、彼らがこのまま浮上の気配を見せずに降格するとなると何だか少し寂しい気持ちになります。
もしかすると、同じ街のライバルが大成功を収める一方で様々なゴタゴタに足を引っ張られ続けるというクラブ事情にマンチェスター・ユナイテッドのファンとして親近感を抱いているのかもしれない。