まず初めに
本日2月6日はミュンヘンの悲劇の当日。あれから64年の月日が経過しましたが、現在でも現地ではこの日に慰霊祭が行われています。
犠牲になった方々に祈りをささげると共に、次世代にもこの伝統を受け継いでいかなければならないと改めて思わせるクラブにとっても非常に重要な1日。
Paying tribute to the #FlowersOfManchester 🙏 pic.twitter.com/ubz3Xkej5I
— Manchester United (@ManUtd) February 4, 2022
事故の日に最も近い開催となったこの試合でもキックオフに先立って式典が行われ、両クラブの指揮官は花輪を持って入場。ユナイテッドの選手は腕に黒の喪章をつけてプレーしました。
プレビュー
マンチェスター・ユナイテッド
エリック・バイリー
ヴィクトル・リンデロフ
ジェシー・リンガード
アレックス・テレス
エディンソン・カバーニ
ミドルズブラ
ライアン・マッグリー
サミー・アメオビ
ダーネル・フィッシャー
マーク・ボラ
スタメン
最初の11人はプレビューにて予想したメンバーと完全に一致。
サンチョとラッシュフォードの左右、中盤3枚の構成など不明な部分もありますが、休養明けに快勝してミッドウィークのプレミアリーグに向けて勢いをつけたい。
ボロはラルフが試合前会見で触れた通り3バック+WBのクリス・ワイルダー式3-5-2。
オールド・トラッフォード帰還となったマクネアは左のCB予想。
試合内容
前半
2分、ルーク・ショーのロブパスをボロのGKと6番が交錯してファンブル。
ゴールががら空きの状態で後ろから詰めてきたサンチョがループシュートを放ちますが惜しくもポスト直撃で得点とはならず。
6分にはラッシュフォード→ポグバ→ブルーノ→ショーと1、2タッチでボールを繋ぎ、最後はショーのクロスにロナウドがバイシクルで合わせますがGKラムリーの正面。
ポグバ効果か中盤でのボール回しが非常にスムーズで、ボロの前線からのプレッシャーは強かったのですが、それを苦にせずポゼッションを獲得していた序盤のユナイテッド。15分のカウンターのピンチでもポグバのスライディングにより危機を未然に防ぎ、19分にはショーの縦パスをボックス内で受けたこのフランス代表MFが相手のファウルを誘いPK獲得!!
勿論キッカーはクリスティアーノ・ロナウド。
普段と同じように大きく息を吐いてから助走に入ったこのペナルティーキックは僅かにゴール左外に逸れて痛恨のミスとなってしまいます。
しかし、気を落としたのもつかの間。
25分のレッズは相手右CB、アンファニー・ダイクスティールが前のめりになった隙を見逃さなかったブルーノのロングパスからサンチョがフリーの状態でボックス内に侵入。
小刻みなステップから放たれた左足シュートは足を伸ばしたダイクスティールのつま先に当たってコースが変わり、ファーのサイドネットに刺さって先制点!!
先制後もペースを緩めないホームチームは右サイドパスワークから30分にラッシュフォードが強烈なミドルシュートをゴールネットに到達させますが、これは直前のプレーでオフサイドの判定。
33分にはこちらの左サイドを突破され、ゴール前まで来たボロの攻撃をマグワイアがスライディングで塞き止め、今度はユナイテッドがカウンターから追加点を狙いますがブルーノのパスを受けたロナウドのボックス内からのシュートはまたもGK正面。
その後もダイレクトプレーを多用し幾度もボロのゴール前までボールを進めたユナイテッドでしたが、肝心のフィニッシュでまるで見えない力に阻まれているかのように悉く振るわず、7割近いポゼッションと14本のシュートを記録しながら僅か1ゴールで前半終了。
後半
折り返し直後の47分、スローイン後の対応が悪く左サイドでボールを失うと、ボロ35番アイザック・ジョーンズのパスがDFとGKの間を流れていきますが大外でダロトがクリア成功。そのままカウンターに移りブルーノ→ロナウドへ右から左にパスが出ますが、パスが通る寸前でラムリーが前に出てカット、GKの好判断で防がれます。
54分にはルーク・ショーのスルーパスでボックス内に侵入したサンチョがカットインから右足で低いクロスを上げますが、ラッシュフォードのフィニッシュは枠の上。
その1分後にはラッシュフォードのラストパスにロナウドがダイレクトでゴールを狙ったものの、またしても枠外。今日はロナウドの日では無いのかもしれない。
57分、チャンスをフイにし続け少し気が抜けていたか、前プレスが交わされた後の前線の戻りが遅く左大外がフリーの状態で被カウンター。
マット・クルックスのシュートはヘンダーソンの見事なパンチングで防ぎますが、今思えばこれは警告だったのかもしれない。
64分、上記の危機と同じように左に展開されてカウンターを喰らうユナイテッド。
35番のクロスを待つ右サイドではヴァランまでもが前に出ていて2人の選手がフリーの状態で、ノンプレッシャーでボールを受けた途中出場ダンカン・ワトモアは疑惑のハンドの後ループパスを反対側に送り、先ほど決定機を逃していたクルックスが汚名返上の同点弾。
私の目には何回観ても明らかなハンドにしか見えないのですが、主審アンソニー・テイラーとVAR担当はいずれも偶発的なハンドボールと認定しゴール判定は覆らず。
審判へのフラストレーションは溜まる一方ですが、プレイヤーサイドからこれを振り返ると当事者ワトモアは敢えて自分でシュートを撃たず、味方に後を託したのは非常に賢い判断でした。というのも、偶発的ハンドの後、その選手が直接ゴールを奪った場合にはそれが認められず、ワトモアがあの一瞬でそれを考慮したかは不明ですが所謂マリーシアの一種かもしれない。
71分のユナイテッドはポグバのスルーパスでペナルティボックスに入ったラッシュフォードが直接シュートを試みますが、この場面はファーサイドにパスを流していればサンチョのオープンゴールが成立していたので非常に勿体ない攻撃でした。
72分、後ろからボールを繋ぐボロはロナウドのプレスでGKラムリーがパスミス。
カットしたブルーノはラムリーが大きくゴールラインから飛び出している状況で実質無人のゴールにボールを届けるだけで良かったのですが、右足で放ったグラウンダーのシュートは左のポストに当たって跳ね返りまさかのノーゴール……
その後もフィニッシュとその1つ前でミスを続けるユナイテッド。
ポグバとの交代で入ったフレッジのクロスにラッシュフォードに替わって登場のエランガがヘディングシュートで後半ATにチャンスを作ったものの、試合は1-1で延長へ
延長・PK
このタイミングでユナイテッドは3枚目のカードを切り、ヴァランに替わってジョーンズがピッチに入ります。
延長戦は90分以上にユナイテッドが一方的にボールを支配し、ポゼッションは8:2に迫る勢い。しかし、延長前半の主だったチャンスはAT1分にフレッジのシュートがあったくらいで、右足で撃ったミドルシュートは枠外。
そして、94分にはサンチョが足を気にしながらピッチに座り込み、一度は戻りますが100分を迎える所でマタに後を託して交代。試合後のラルフの談話によればそれほど大きな怪我ではないと推測されますが、火曜日のバーンリー戦に間に合うかは不明。
延長後半、107分のユナイテッドはダロトのクロスにブルーノが後ろ向きのヘディングシュートでゴールを狙いますがGKの手が僅かに届いて枠の上へ。
なお、このプレーに対してアンソニー・テイラーは何故かゴールキックを指定。
審判団への不信がますます高まる。。。
ただボールを持たされているような時間が続いたラスト15分のホームチーム。
115分、ミドルズブラはセットプレーのワンチャンスから26番、途中出場のアーロン・コノリーがゴールエリア内でシュートチャンスを得ますがこれはヘンダーソンの範囲内。
試合の行く末はPK戦に委ねられます。
コイントスの結果、
先攻ミドルズブラ 後攻マンチェスター・ユナイテッドに
ボロの1人目は元ユナイテッドのマクネア。
ヘンダーソンの動き出しが早かったのを冷静に見ながら彼の動きとは逆側にインサイドキックを決め、対するユナイテッド1人目のマタも当たっていたラムリーとの駆け引きに完全に勝利して1人目は両者成功。
その後、ボロの2人目マルティン・パイエロ、ユナイテッドの3人目フレッジはそれぞれ運に助けられながらも最初の5人×2は全員成功でサドンデス突入。
先攻ボロの8人目、リー・ペルティアはキックの直前でやや後ろ重心かつ大きく足を開いたのでこれは貰ったと直感的に思いましたが、浮いたボールはゴールネットの天井に突き刺さる軌道でゴールイン。
ユナイテッドの8人目はこれがトップチームでの初PKとなったエランガ。
緊張から来るものなのか助走距離を殆ど取らず、足元で2,3歩ステップを踏んでから始動していました。キックは大きくクロスバーの上を越え、非情にもこれでユナイテッドの敗退が決定。
エランガにとっては苦い思い出になってしまったかもしれない。
ですが、彼がPKを蹴るに至ったのはそこに至るまでのチーム全体のゴール欠乏症が最大の要因であり、敗戦のストレスを全てぶつけるような個人攻撃が無い事を祈ります。
ハイライト
データ
一言で言えば100回やって一度あるかないかという敗戦。
ビルドアップからアタッキングサードまではいい形も多く、本来であれば前半のうちに3-0,4-0になっていても不思議では無かった筈。
実際にユナイテッドは前後半の90分で6度のビッグチャンスを創出しており、何故これ程にもチャンスを決めきれなかったかは永遠の謎。
1試合単位のシュート精度がどこまで前後の試合に響くものなのかは分かりませんが、悪いものに当たってしまったという事で早く切り替えて次の試合を考えた方が身のためかもしれない。
これが準決勝や決勝戦ならば悔やんでも悔やみきれませんが、内容はラルフ指揮でも1,2を争う良質なものだったので、この敗戦をそれほど深刻には捉えてはいません。
あとがき
昨季、EL決勝でダビド・デヘアをそのままPK戦に持って行った事が批判対象の1つになっていましたが、ヘンダーソンもあまりPK戦が得意ではなさそうという事が判明したミドルズブラ戦。
ベンチ入りの多いカップ戦では3人目までGKが選択肢に入るので、トム・ヒートンやリー・グラントもスポット需要でチャンスが巡ってくるかもしれない。
(もっとも、残るカップ戦はCLのみ。流れの中で勝ち上がりを決めてしまうのが理想なのでこれ以上のPK戦があるとは考えたくありません)
EFLカップ、FAカップ共に早期敗退が決まってしまった事で、控え選手の出場機会はかなり少ないものになると考えられます。
そうなると、後付けですが冬マーケットで放出のみに留まったチーム編成は正しかったという事になりそう。