毎年1月の第二月曜日、今年は1月10日に開催された成人の日。
2022年の日本では120万人が対象となるそうですが、今回はその新成人の範囲のフットボーラーの中で市場価値の高い10人をランキング形式で紹介しようと思います。
●算出方法
対象は2022年の日本の成人式と同様、【2001年4月2日~2002年4月1日生まれの選手】
(漏れがあったらごめんなさい)
●参考にしたデータベース
- 同率10位:Danilo,Michael Olise,Noni Madueke
- 同率7位:Thiago Almada,Nino González,Kamaldeen Sulemana
- 6位:Josko Gvaldiol
- 5位:Gabriel Martinelli
- 4位:Jurrien Timber
- 3位:Karim Adeyemi
- 2位:Mason Greenwood
- 1位:Bukayo Saka
- 振り返り
同率10位:Danilo,Michael Olise,Noni Madueke
10位は€18Mで3名。
1人目はブラジルの名門パルメイラスの新進気鋭の中盤 ダニーロ。
主に中盤の低めのポジションを仕事場とする彼はDMに求められる守備強度だけでなく自身でボールを前に運ぶ推進力と一定水準のロングパスの精度を兼ね備えた需要と重要度の高い選手です。正にプレミア向きともいえるその特性をイングランドの各クラブが放っておくわけもなく、今冬はアーセナルのターゲットとして名前が取り沙汰されています。
2人目はパレスで7番を背負う攻撃的MFのマイケル・オリーズ。
昨季レディングでチャンピオンシップ44試合7ゴール12アシストと10代ながらベストⅪ級の大活躍を見せ、クリスタルパレスに引き抜かれた今季はリーグ戦321分の出場とレギュラーポジション獲得には至っていないものの、2G3Aと得点貢献の高さはトップリーグでも通用しています。特にチャンスメイクでは90分辺りのxAでチーム断トツ1位の0.39をマークしており、今後の出場機会増加にも大いに期待ができるでしょう。
3人目はロンドン生まれながらユース年代でオランダに渡り、プロキャリアはPSV一筋のイングランド人アタッカー ノニ・マドゥエケ。
まるでジェイドン・サンチョの後を追うかのように10代で海外挑戦を決め、PSVのトップチームに定着したことでその決断が正しかったと証明しているマドゥエケ。
プレースタイルとしては典型的な左利きの右サイドアタッカーでドリブルを好み、強烈なロングショットも備えているので好調ならば1人で点を奪えてしまう選手。
今季は怪我による離脱が多く成績が伸び悩んでいますが、Tranfermarktでは依然として高評価で今回の括りでは10位にランクイン。
同率7位:Thiago Almada,Nino González,Kamaldeen Sulemana
7位も€20Mで3名が名を連ねています。
数年前から同年代でもトップの才能と評価され続け、ヨーロッパの名だたるクラブも引き抜きを狙っていたなか、彼を射止めたのはMLSのアトランタ・ユナイテッド。
🇦🇷🤝🇺🇸 Se arribó a un entendimiento con la Mayor League Soccer (MLS) por la cesión definitiva de los derechos federativos de Thiago Almada a favor del Atlanta United FC. El monto de la operación es de U$S16.000.000. El convenio entraría en vigencia a principios de febrero de 2022 pic.twitter.com/dLi6U1wR3Y
— Vélez Sarsfield (@Velez) December 3, 2021
キャリアの晩年を過ごすリーグと皮肉られた頃とは打って変わり、近年は現ユベントスのウェストン・マッケニーや現ライプツィヒのタイラー・アダムスなど有望株を世界に送り出す立場になったMLS。その中でアトランタはアルゼンチンのワンダーキッドを続々チームに加えており、2019年のエセキエル・バルコ、2021年のサンティアゴ・ソサに次ぐ強力な補強に成功。また、1600万$という高額な移籍金で加わるアルマダはアトランタだけでなく、リーグ全体の期待も一身に背負っているのかもしれない。
2人目は既にキープレイヤ―のペドリ、17歳で代表デビューを果たしたガビらと共にシャビ体制のバルセロナで着実に序列を上げているニコ・ゴンザレス。
FBrefによれば1月11日時点でリーグ戦のパス成功率は89.2%。プレス耐性も高くフレンキー・デ・ヨングのお株を奪ってしまいそうな勢い。(財政難+IHのクラブ事情で高額移籍金を見込めるデ・ヨングには放出の噂も付きまとう)
改善が必要な要素は左足のキックとインターセプトですが、守備難という訳ではなくタックルのスタッツは優秀なので、致命傷というわけではない。
3人目はネイマールとも比較されるガーナのドリブラー カマルディーン・スレマナ。
昨年夏、マンチェスター・ユナイテッドとリバプールのライバル2クラブが共にターゲットにした事でも知られているスレマナ。移籍先に選んだのはフランス リーグアンのスタッド・レンヌで、推定移籍金€20Mはデンマークリーグからの移籍としてはアレクサンダー・セルロートを抜いて過去最高額。
今季ここまでリーグアンで彼の記録するスタッツを確認すると、前評判通りの高いドリブル能力を発揮しています。90分辺りのドリブル成功数4.55回は5試合分以上の出場時間を得ている選手の中ではネイマールに次ぐ第2位。(1月11日時点)
パス精度やシュート精度にはまだまだムラがありピーキーな選手ですが、まだ19歳、今後の成長を加味すれば将来個人タイトルを争うようなクラックになっていても不思議ではない。
6位:Josko Gvaldiol
EURO2020ではクロアチア代表の一員として4試合に出場し、昨夏加入したRBライプツィヒでもGKのペテル・グラーチ、アタッカーのクリストファー・エンクンクといった主力中の主力に次ぐチーム3位の出場時間を記録し早くも欠かせない戦力なっているヨシュコ・グヴァルディオル。
ブンデスリーガ公式サイトのデータによれば、185㎝80㎏と体格に恵まれ、更にトップスピードもリーグ40番目の34.57kmと身体的な部分では欠点は見当たりません。
更に、技術面に移行してもロングパスに若干の不安を抱えている事を除けば、守備のみならず攻撃面でも高い貢献が見込めるでしょう。左利きCBの希少性も相まってその評価はうなぎ登り。数年後にはCBでトップを争う選手になっていても何ら不思議ではない。
5位:Gabriel Martinelli
€28Mで5位にランクインしたのはアーセナルのブラジル人アタッカー ガブリエウ・マルティネッリ。
直線的なスピードでマークを振り切る様は時として母国のレジェンド ロナウドのようにも見えます。その走力を守備面でも遺憾なく発揮するのでアーセナルではサイドで使われる事が多いですが、その真価が発揮されるのはCFだと思っています。
因みに、彼はアーセナルに加入する前、イトゥアーノ時代にマンチェスター・ユナイテッドのトライアルを数年にわたって受けており、この時逃した魚は予想以上に大物だったのかもしれない。
4位:Jurrien Timber
CBとして小柄な部類に入る身長ながら、広いカバーエリアとMF顔負けのチャンスメイク能力で現代版リベロのようなプレーを見せるユリエン・ティンバーが€30Mで第4位にランクイン。
欧州の舞台でも強烈なインパクトを残すエリック・テン・ハーグのアヤックスを最終ラインで支えるティンバー。先述のように時にはストッパーとして中盤の位置まで上がってボール奪取を試み、またある時は自らボールを持ち運んでFWにスルーパスを出すなど自由奔放にもみえるプレースタイルですが、そのボールスキルの高さからかパス成功率は全てのコンペティションで90%を優に超える数字。
全体のスタッツや試合のデータを見る限り、フルバックは勿論守備的MFへの適性もあるので、仮に空中戦の問題が大きくなった場合にはコンバートしても十分活躍を見込めるでしょう。
3位:Karim Adeyemi
3位はレッドブル・ザルツブルクの最新エース、カリム・アデイェミ。
アーリング・ハーランド、パトソン・ダカと過去2人のエースはそれぞれ5大リーグへ旅立ち、次代のエースと期待されたセク・コイタも十字靱帯断裂の大怪我で戦線を離脱するなか、点取り屋としてブレイクスルーを果たしたのがアデイェミ。
かつて、彼の家族との問題や彼自陣の素行の悪化という理由でこのティーンエイジャーを手放したバイエルンや、フロント3の世代交代を視野に入れるリバプールらがその動向を注意深く見守っているとされています。オーストリアのレベルを考慮する必要はあるとはいえ、今季ここまで記録している枠内シュート率55.6%という数字は特筆すべきものであり、代名詞のドリブルに加えフィニッシュ精度も向上した彼は今後も移籍シーズンになる度に市場を賑わせる選手になるでしょう。
2位:Mason Greenwood
アカデミー出身のプロ選手の多さは世界屈指、マンチェスター・ユナイテッドからは両足で精度の高いシュートを蹴り込む メイソン・グリーンウッドが€50Mで第2位につけています。
トップチームに昇格してからの彼はサイドに起用されたストライカーという印象が非常に強いですが、ユース時代はトップ下でのプレー経験も多く、時折見せるサイドチェンジやカウンター時のスルーパスはチャンスメイクの才能にも恵まれている事を証明しています。今季はやや強引にシュートを撃つシーンが目立ち、周りとの意思疎通がうまくいかない場面も散見されますが、1ユナイテッドのファンとして生え抜きでこのレベルのスコアラーが現れてきてくれた事には希望と感謝しかありません。
また、過去2シーズンを見るとスロースターターの傾向があるので今季も年明け以降の爆発で3期連続の公式戦10ゴール越えを期待したいところ。
1位:Bukayo Saka
グリーンウッドに€15Mの差をつけ、Tranfermarktの市場価格では新成人の範囲で断トツ1位の€65M。
EURO2020では決勝のPK戦で非常に悔しい思いを味わいましたが、それを糧にするかのように21/22はリーグ戦半分を消化した段階で既にキャリアハイの6ゴール。
ドリブル突破でファイナルサードを攻略するというよりはワンツーや3人目の動きで味方を使って打開する事が得意なタイプなのでもしかするとハイライト映えはしないかもしれませんが、攻撃面においては全てが高レベルで纏まっている優秀な選手。
ヘディングやタックルの技術はやや弱い点ですが、フルバックもこなせるポリバレント性や早くもレギュラー3季目、来シーズン序盤にはリーグ戦100試合出場も視野に入る実績など総合的に見るとその価格も妥当か。
振り返り
リーグ別ではイングランド・プレミアリーグ所属のプレイヤーが4名で最多。
(サカ、グリーンウッド、マルティネッリ、オリーズ)
また、上位3名はいずれも左利きの選手で、人類の10人に1人とされるレフティーの希少性は現在のプロフットボール界でも高く評価されるようです。特に、右ウイングからゴール方向に進出するカットインや、後方からショートパスを繋ぐスタイルを志向するチームにとっては左利きCBを左サイドに配置するメリットが(パスの回転やボールを持つ際の身体の向きなど)非常に強く、今後もこの傾向が続くことが予想されます。
現実の移籍金よりセンターラインの選手が低く算出されているような気もしますが、今回の結果はあくまでも参考程度なので話のつまみにでもなれば幸い。