はてなブログがサービス10周年を迎え、10に纏わる様々なブログのテーマを募集していたので今回はその中から好きな〇〇10選をやってみようと思います。
お題
好きなプレミアリーガー(引退選手含む)
対象者はプレミアリーグで1シーズン以上プレーした経験を持つ選手。
また、こういった企画で選ばれることの多いスター選手ではなく、普段はスポットが当たりにくいいぶし銀の選手を中心に選出しました。
(五十音順)
アムル・ザキ
初っ端からいぶし銀というより大玉花火のような刹那の輝きを見せた選手でいきなり企画崩れの様相を呈していますが、どうしても彼はリストに加えたかった。
皆さんはプレミアリーグのエジプト人ストライカーと聞かれて誰を思い浮かべますか?
殆どの方はリバプールのエース、モハメド・サラーと回答するでしょう。
あるいは年季の入ったプレミアファンかスパーズサポーターならミド(アーメド・ハッサン)と答えるかもしれません。
インパクトでいえばそんな彼らをも凌ぐ、僅か半シーズンでリーグ戦二桁ゴールを記録しあっという間にフェードアウトしていった点取り屋が存在します。
08/09シーズンの前半戦、プレミアリーグを引っ張っていたのは間違いなくアムル・ザキでした。
がっちりとした身体でプレミアリーグの屈強なDFをものともせずに突き進んだこのブルドーザーはウエストハム戦のリーグ戦初ゴールを歯切りに開幕6試合で5ゴールを奪うロケットスタートに成功しますが、最大のハイライトは10月18日のリバプール戦。
ダニエル・アッガーがビルドアップでもたついた所をすかさずボールハントし先制点を奪うと、1-1で迎えた前半ATには後にマンチェスター・ユナイテッドに引き抜かれるアントニオ・バレンシアのクロスにバイシクルシュートで合わせてこの日2点目。
#GoalOfTheDay is a stunner! 😮
— Premier League (@premierleague) January 12, 2017
Over to you, Amr Zaki... pic.twitter.com/tmy22zWe6B
年明け以降はそれまでのゴールラッシュが嘘であったかのように沈黙を続け、素行の問題で何度も当時の指揮官スティーブ・ブルースから罰金を下されるなどピッチ内外で精彩を欠き、結局エジプトの強豪アル・ザマレクから1シーズンローンで加入していた彼はプレミアリーグに残ることが叶わず。
2010年冬の移籍市場でハル・シティと半年間のローンを結び再びプレミアに帰ってきた際にはまるで別人のようにプレーにキレがなく、その後も所属先とトラブル続きだった彼は2015年、33歳という若さで現役を引退発表しています。
アンドリュー・サーマン
名門サウサンプトンアカデミー出身で、同クラブのトップチームではキャプテンを務めた経験もあるサーマン。
今年の7月まで現役を続けていましたが、正直に言うとウルブス、ノリッジ時代の彼は特別印象に残る選手ではなく、主にLMとして25試合4G2Aを記録した11-12シーズンもアンソニー・ピルキントンかウェズ・フーラハンのどちらかが欠けた際のバックアップといった感じ。
久々にプレミアで彼を見たのはボーンマスでチャンピオンシップから勝ち上がってきた15/16シーズン。
30歳も迫りベテランの域に突入しつつあった彼はポジションを1列下げ、DMとしてリーグ戦にフルタイム出場。
更に総走行距離、1試合平均走行距離でも2位以下を突き放して1位を獲得しており、兎に角全員が良く走ったチェリーズを象徴するような存在でした。
(参照:https://qoly.jp/2016/05/19/2015-16-premier-league-distance-covered-ranking)
また、テクニカルな選手でどちらかといえば献身性という要素は苦手にしていた彼がパスセンスの高さはそのままに豊富な運動量を誇っていたという事実は私の中で非常に大きな衝撃だった。
(確か12月のボーンマスvsマン・ユナイテッドで後者がCKの直接ゴールを含む2-1で敗戦しているので、それもこの年の彼が記憶に残っている大きな要因の1つかもしれない)
エドウィン・ファン・デル・サール
試合単位での好不調の波が非常に少なく、ポジショニングを誤る事も滅多に無かった2000年代のユナイテッドを支えた名守護神。
197㎝の長身からくる相手への圧迫感とボールに対する飛び出しのタイミングの良さも相まって彼に対峙するシューターの選択できるシュートコースは非常に狭く、ピーター・シュマイケル退団後信頼できるGKを見つけられずにいた(ファビアン・バルデズ→ロイ・キャロル→ティム・ハワード)クラブにとっては正に救世主的な存在。
フラムから加入した際の移籍金は僅か400万ユーロとされており、後の世界最高守護神をこの安価で加える事が出来たのは非常に幸運でした。
ギャリー・スピード
皆に愛されたウェールズの鉄人。
プレミアリーグ創設前の1990年から2008年まで20年近くイングランドのトップリーグでプレーし続け、535試合出場(プレミアリーグ通算6位),80ゴール(同53位),44アシスト(同57位)とリーグ史に残る記録を残すスピードは正に選手としての理想像の1つ。
私が知っている彼はキャリア晩年ニューカッスル~ボルトン時代の姿ですが、37~38歳の06/07シーズンに記録したリーグ戦全試合出場,8ゴールという成績には非常に驚かされました。動きを見ても加齢の影響はさほど感じず、タイミングのいい攻撃参加や気の利いたパスなどこのシーズンリーグ戦6位につけたボルトンの中ではGKユッシ・ヤースケライネンやFWケヴィン・デイヴィスと並んで欠かす事が出来ないキープレイヤーの1人でした。
彼に近い世代のフットボーラーと言えば、試合が終わればパブやバーに行って浴びるように酒を飲むといった選手も少なくありませんでした。イギリスでもポール・ガスコインのようにアルコールに呑まれ才能を活かしきれなかったケースがありましたが、そんな中でもスピードのプロ意識は非常に高く、40前まで殆ど欠場することなく試合に出続けられる事が出来たのは食事やフィットネスにたゆまぬ努力を注いだ結果でしょう。
人柄もよく、誰からも愛されるような人間であったスピードですが、残念ながら私たちは彼ともう記憶の中でしか会う事が出来ません。
先日、スピードが在籍したクラブの1つであるニューカッスル・ユナイテッドが殿堂入りを発表しましたが、現役時代を知らない方々にもギャリー・スピードという偉大なフットボーラー,1人の人間がいたことを語り継いでいきたい。
We are honoured to announce the newest inductee into the Newcastle United Hall of Fame...
— Newcastle United FC (@NUFC) November 9, 2021
𝙂𝙖𝙧𝙮 𝙎𝙥𝙚𝙚𝙙 𝙈𝘽𝙀.
A true legend of the game and of our club. Forever in our thoughts, Speedo. 🖤🤍 pic.twitter.com/V1JMYzdz6i
ジョン・オシェイ
類いまれなる得点能力、天賦のパスセンス、屈強なフィジカルやスピードのいずれも持ってはいませんが、どのポジションで起用されても一定の仕事を果たすオシェイは隠れた英雄。
〇〇11人で戦うなら、というテーマはフットボール界で話題になる事が多いですが、そうなった場合私はオシェイ11人を真剣に検討すると思う。
流石に緊急でGKを務め果敢なエリア外への飛び出しでピンチを未然に塞いだ際には驚きを隠せませんでしたが、もしかすると彼はエデルソンやアリソンに代表される現在のスイーパーを兼ねたGKの走りだったかもしれませんね。
(動画:Sheasy in Goal! | Spurs 0-4 Manchester United (06/07) | Premier League Classics - YouTube)
John O'Shea scored this cracker v Arsenal in 2005! 🙌
— Manchester United (@ManUtd) October 13, 2018
His finest #MUFC moment? pic.twitter.com/98WsiAiCkx
また、パク・チソンと並んで大舞台での予想外のゴールが多かった選手なので、劣勢の試合でも何かミラクルを起こしてくれるのではないかという期待感が常にありました。
このアーセナル戦のループシュートとCLでのルイス・フィーゴに対する股抜きは今でもファンの語り草となっています。
デクラン・ライス
ギリギリの場面で正確にボールに足を出せるタックル、90分間攻守に走り続ける事を厭わない献身性の高さ、攻撃のスイッチを入れる縦方向のパス、引いた相手を釣り出す強烈なミドルシュートとディフェンスな中盤に求められる能力を高水準で兼ね備えたデクラン・ライスはウエストハムにとって絶対に手放したくない、他クラブにとっては喉から手が出る程欲しい次世代のコンプリートMF。
ハマーズは非売品である事を繰り返し強調していますが、仮にマーケットに出る事になった場合はジャック・グリーリッシュに続くイングランド人2人目の1億ポンドプレイヤーになる事必至。
マイケル・キャリック
ユナイテッドに加入してしばらくは"存在感が希薄"、"ポール・スコールズに横パスを出すだけの仕事"とかなり厳しい声もありましたが、彼を一言で表現するならば「失ってからその偉大さに気付かされる選手」であり、派手なタックルでファンを沸かせる事はありませんが、知識と経験に裏打ちされたポジションニングや受け手に優しいパスでチームの動きを活性化させる彼は恐らくどんなスタイルのフットボールクラブにも適応できる最高の中盤でした。
実際、キャリックが引退してからのマンチェスター・ユナイテッドはセントラルミッドフィルダーの核が不在。現在のスカッドでもフレッジやマクトミネイはパス能力、ポグバやマティッチは継続性に難があっていずれも絶対的な選手ではなく、冬以降の移籍市場では最大の補強ポイントと見られています。
マシュー・テイラー
個人的にロングシューターといえばマシュー・テイラーです。
このゴール以外にも信じられないゴールを幾つも決めており、前にスペースが空いている状態で浮き球が彼の前に来るとどんなに距離が合ってもGKは安心出来ません。
恐らく、現在のように期待値で見るならば彼はメリットの少ないシュートばかり打っていると批判対象になっていたかもしれませんが、見ている側からするとこういったロマン砲が少なくなっていくのはすこし物悲しい。
'What a 𝕊𝕋𝕌ℕℕ𝕀ℕ𝔾 goal from Matty Taylor' ☄️#GoalOfTheDay pic.twitter.com/gFsFuQ6RNv
— Premier League (@premierleague) March 8, 2021
Is there a #PL player in history with a better collection of belters than Matty Taylor? 🤔#GoalOfTheDay @officialpompey pic.twitter.com/EfytJUtKNU
— Premier League (@premierleague) April 19, 2018
マティ・キャッシュ
ウインガーとしてプロデビューを飾った事を思い出させる攻撃貢献の高さとボールの予測に優れた堅実な守備で早くもアストンヴィラ不動のRBとなったキャッシュ。
プレミアリーグ2シーズン目もパフォーマンス低下の兆候は見られず、寧ろ思い切りの良さがプラスに出たエバートン戦のゴールなどますます評価を上げるこのフルバックにはポーランドの血が流れており、遂に11月のインターナショナルブレイクでポーランド代表に招集されています。
ガーディアン誌の出したキャッシュの母方の家族に関する経歴に関する記事にはポーランドの激動の歴史の一部が正に反映されており、今彼という選手が存在するのは本当に奇跡的なことなのだと実感させられます。
モアテン・ガムスト・ペデルセン
選出理由はマシュー・テイラーと近いものがありますが、左利き、高精度のキックという共通点からライアン・ギグスの後継者候補にも挙がったペデルセンは40歳になった今もまだ現役。
マンチェスター・ユナイテッドへの憧れを公言している選手だったので赤いシャツを身にまとった姿を見たくなかったかと言えばウソになりますが、その一方でユナイテッドキラーとしてのトラウマも強く記憶に残っている。
因みに、あの芸術的なFKのセンスは健在のようで、昨年8月にはロングFKを1試合2本決めています。
選外にせざるを得なかった選手
10人に入らなかった選手を含めこうしてリスト化してみると、
- 左利きロングシューター
- 黒子としてチームを支えるポリバレントな選手
- 衰えを感じさせないベテラン
と見事に好みの傾向が出ています。
自分でもここまで顕著な結果になるとは思っていなかったので驚きを隠せない。
イアン・ハートはご存じの通りロベルト・カルロスに比類するパワーFKの名手で、グジョンセンはキャリアを重ねる毎にポジションの幅が増え、元々はFWながらCMでも問題なく試合に溶け込める戦術理解の深さが大きな魅力。
グレアム・アレクサンダーはキャリアの殆どを下部ディヴィジョンで過ごした為、あまり馴染みのない選手かもしれませんが、09-10シーズンのバーンリーで38歳ながら中盤の汗かき役としてピッチを駆け抜け、更にPKの名手としても話題となりプレミアでのプレーは1シーズンながら大きなインパクトを残しています。
ケヴィン・ドイルはヤクブ・アイェグベニとの2択でどちらかにするか迷いましたが、ヤクブは10代の頃から頭角を現すワンダーキッドであったのに対し、こちらはアイルランドのプレミアリーグからEFLチャンピオンシップ、そしてプレミアリーグと成り上がった点を評価。
パスカル・グロスは現役のPL選手なので既に周知されていると思いますが、加入から複数シーズンに渡ってチャンスメイクの部門で秀でたスタッツを残し続けている継続性に惹かれます。
好きな○○10選、結構面白いテーマでした。
機会があれば、今後もランキング形式の記事をやっていきたい。