*UEFAチャンピオンズリーグ GL第3節
マンチェスター・ユナイテッドvsアタランタB.C.戦の記事です
グループステージの抽選が行われた際には、くせ者揃いとはいえ比較的与しやすいカードに決まった事で昨季の死のグループとは違い比較的余裕をもってトーナメントに進出できるのではないかという期待も高かったユナイテッド。
残念ながらその目論見は足元から崩れ去り、初戦のvヤングボーイズ戦はいきなり黒星スタート、2戦目のビジャレアル戦も後半ATの勝ち越し弾で何とか勝ち点3をもぎ取るという苦しい戦いが続いています。
3試合目はホーム オールド・トラッフォードでのアタランタ戦。
前評判では最も難敵といえる相手ですが、怪我人続出でベストメンバーを組めない事はこちらにとっては有利な要素。
プレビュー
ユナイテッドはマルシャルとヴァラン、アタランタに至ってはレギュラーの半数近くを負傷で欠くなかで開催される今回の1戦。
選手層ではホームチームに分があるので、5人交代を活かしたチーム構成で運動量に優れたガスペリーニのチームにやりたい事をさせない試合運びが要求される。
マンチェスター・ユナイテッド
アントニー・マルシャル
ラファエル・ヴァラン
アタランタ
ハンス・ハテブール
ベラト・ジムシティ
マッテオ・ペッシーナ
ラファエル・トロイ
ロビン・ゴセンス
スタメン
ユナイテッドは現状のベストメンバーと思われる布陣。
両翼の守備という意味では不安要素もありますが、怪我人続出の相手に負けるようでは欧州コンペティションでの成功は期待できません。
アタランタはドゥバン・サパタをベンチに置き、ハテブール、ペッシーナを欠く中盤には今季新加入のトゥーン・コープマイネルスが入りました。
試合内容
前半
まずは3分、ワン=ビサカ→グリーンウッドへの斜めのパスが入ると同時にマクトミネイが走り出し、所謂レイオフの形でユナイテッドのチャンス到来。
マクトミネイのパスを受けたラッシュフォードがGKと1on1になりますがシュートはゴールマウスの左に外れて得点ならず。
序盤はラッシュフォードが中央に入りロナウドが左に流れる形も多かった。
右のグリーンウッドもサイドに開くというよりは中央側に進出するのでこの日は横幅を狭くして攻撃する意図があったのかもしれない。
プレビューで指摘した大外WBのケアに関しては両ウイングともにあまり関心がないようで、McFredが基本的に対応。
いくらカバー範囲の広いこの2人とはいえウインガーの分まで担当するのは厳しく、ユナイテッドは正にこの構造的欠陥から失点を喫します。
15分、FKリスタートから左サイド後方へのロングボールを収められ、オーバーラップしてきたザッパコスタがパスを受けて中に低いボールを入れるとワン=ビサカ-マクトミネイ間から上手く背後を奪ったパシャリッチにニアサイドで合わせられて先制はアウェイのアタランタ。
①ザッパコスタをラッシュフォードが追跡していれば、②グリーンウッドが大外のメーレをケアしてワン=ビサカの意識を中央だけに集中させる事が出来ていれば避けられた失点だったように思います。
勿論、ニアサイドでポジショニングが悪くクロスを処理できなかったマグワイアやそもそもロングボールを容易に収められているリンデロフにも勿論責任はあるでしょうけれど
先制を許したユナイテッド。20分には複数人を絡めたパスワークで右サイドを崩すと最後はフレッジのシュートがゴール上部を捉えますがGKムッソの好反応に阻まれます。
得点チャンスを逃し続けるユナイテッドに追い打ち。
29分、左コーナーからのCKでルーク・ショーがマークを外されてしまいメリフ・デミラルのヘディングシュートがファーサイドのネットに突き刺さり、30分にして赤い悪魔は2点のビハインドを負います。
このプレー、ニアストーンのマクトミネイを壁にして反動をつけたデミラルの動きが上手かったのは確かですが、それにしても同じようなセットプレーの失点が続いているのでこちら側の守り方に問題があるのは火を見るよりも明らか。
その後、42分、44分、AT1分とユナイテッドはビッグチャンスを3度創出しますがラッシュフォードは再び1on1を決められず、3人目の動きでスルスルっとボックス内に進出したフレッジも最後のシュートを枠内におさえられません。
そして極めつけは3つ目。
右後方からブルーノのピンポイントパスが通りボックス内でフリーになったラッシュフォードこの日3度目の決定的チャンスは、GKの上を狙ったボレーシュートがクロスバーに阻まれまたもゴールとはならず……
後半
結果は0-2ながらチャンスをモノに出来ていれば逆転していてもおかしくはなかったユナイテッド。
後半に入ってもゴール前までボールを持ち運ぶことは出来ており、53分にはブルーノの芸術的アウトサイドパスでGKとの1on1機会を作ったラッシュフォードがようやく、汚名返上のゴールを奪って反撃開始。
これまでのチャンスで明らかに一番難易度の高いシーンでしたが、昨季のFAカップリバプール戦でも同様の形で決めているように彼にとっては得意な形なのだろうか。(これが決められるのならば他のチャンスも……)
55分~57分にかけて短い間で3つのイエローカードを提示されるなど、後半のアタランタは非常に苦しい展開でした。
2点目を挙げて守備でも決定機阻止を記録したデミラルの負傷交代も痛かったですね。
58分にはグリーンウッドの折り返しにマクトミネイのシュートがポスト直撃。
59分のアタランタはピッチに入って間もないドゥバン・サパタのボールキープからボックス内にグラウンダーのボールが入るもフレッジがカバーリングでこれを阻止。
その後も試合は落ち着きなく進み、複数得点の欲しいユナイテッドは66分にラッシュフォード🔁カバーニ、マクトミネイ🔁ポグバの交代で、よりオフェンシブなメンバー構成にシフト。
後から振り返るとターニングポイントになったのは71分のプレーでした。
右サイドハーフフェーライン付近からボックス手前のハーフスペース、サパタを目標にしたザッパコスタのロブパスの対応をリンデロフが誤り、サパタはPKスポット手前でほぼGKとの1on1の状況からシュートを。
しかし、我々のゴール前にはDDGが君臨していました。
このシュートを足でクリアすると、こぼれ球を拾ったマリノフスキ(途中出場)のドライブ回転のかかった厄介なミドルもパンチングでクリア、ビッグセーブ連発で失点を許しません。
ピンチの後にはチャンスあり。
75分のユナイテッドはCKのこぼれ球、カバーニを狙ったブルーノの低弾道クロスをエル・マタドールは華麗にスルー。
ファーサイドでフリーになっていたキャプテン ハリー・マグワイアが難しいボレシュートを難なくゴールマウスに流し込んで遂に試合は同点に。
このシーンはカバーニの余裕がもたらしたものかもしれません。
ボールをリカバリーしたサンチョがブルーノにパスを入れる前、まだボックスにボールが来るまで少し猶予のあったタイミングで大きく首を振って周りの状況を確認しており、恐らくこの段階でスルーを決めていたのではないかと考えられます。
こうなればこの試合はオールド・トラッフォードの大歓声をバックに戦うレッズのものになったも同然。81分には再びCKのこぼれ球、ルーク・ショーのアーリークロスにここまで沈黙していたクリスティアーノが代名詞の高打点ヘディングシュートで勝ち越し弾を奪いユナイテッドは2点ビハインドを逆転!!
VIVA RONALDO! 🤩🇵🇹 pic.twitter.com/XN4oQusxtk
— Manchester United (@ManUtd) October 21, 2021
その後は88分にフレッジが負傷交代?するトラブルはあったもののロナウド含めピッチ上の全員が守備に参加しアタランタの最後の攻撃を凌いでタイムアップ。
守備貢献、特にプレスの少なさが批判の対象になるロナウドですが、能力自体はチームの中でも高い方で、79分に見せた全速力でタッチライン際にザッパコスタを追い込んだチェイスはラッシュフォードやグリーンウッドにお手本を提示するかのような素晴らしいプレーでした。
ハイライト
(URL:https://www.youtube.com/watch?v=WT7fqunE4Vk)
選手交代
66分 マクトミネイ🔁ポグバ
67分 ラッシュフォード🔁カバーニ
73分 グリーンウッド🔁サンチョ
88分 フレッジ🔁マティッチ
46分 デミラル🔁ロヴァート
56分 ムリエル🔁サパタ
68分 イリチッチ🔁ミランチュク
68分 パシャリッチ🔁マリノフスキ
80分 コープマイネルス🔁ペッツェッラ
データ
最終的なスタッツはユナイテッドが優勢。
xGもThe xG Philosophy算出のデータでは概ねスコア通りの結果が出ており、攻撃面では合格点を与えられる内容だったと思います。
Man Utd (3.12) 3-2 (1.72) Atalanta
— The xG Philosophy (@xGPhilosophy) October 20, 2021
個人では1アシスト、キーパス9、ビッグチャンスクリエイトとチームの得点機会の大半に絡んだブルーノ・フェルナンデスがMVPでしょう。
アタランタはチームスタイルでいえばビエルサのリーズのようにリードを奪っていても守備ブロックを固めてこないタイプなので、疲労が色濃く出た後半、特にポグバ投入後警戒すべき相手が増えた後はブルーノの独壇場でした。
あとがき
失点の形はこれまでと同じような形だったので課題は多く、前半のパフォーマンスは厳しい言葉で表現せざるを得ないものでしたが、何はともあれ勝ち点3を得た事実は消える事無く、裏のカードの結果によってユナイテッドはグループF首位に躍り出ました。
ヤングボーイズ戦を経た後のウエストハム戦のように、前の試合でミスを犯した選手(今回はマグワイア)がそれを取り返すゴールを決めたのはメンタル面でプラスに作用する気がします。
そして、改めて気づかされましたがLWにラッシュフォードがいるのとそうではないのではカウンターの威力が大きく変わり、この試合では決定機を外すシーンが多かったものの抜け出すところまでは複数回成功しています。
オーレ曰くまだ60分しか持たない状況とのことなので、週末は途中出場になるかもしれませんがいずれにしてもリバプール戦は彼の得点に期待!!