イタリアの実業家一族、ポッツォファミリーがオーナーを務めるワトフォード。
2012年6月の買収以来、同じく経営権を持つウディネーゼのように世界各地にスカウト網を配置し、時には姉妹クラブ間で選手の行き来を行うなど独自の手法でクラブをプレミアリーグの常連と言ってもいい位置まで引き上げてきました。
その一方、ポッツォ体制になってからは指揮官交代が凄まじい頻度で行われてきた事でも知られ、9年と数か月で15代総勢13名の監督がクラブを指揮しています(暫定含む)
因みに、マンチェスター・ユナイテッドを比較対象にすると15代前の監督がクラブを指揮していたのは1930年代まで遡ることになるので,その異常さがよく分かると思います。
(source:Man Utd Manager History | Past & Present | Soccer Base)
そんなホーネッツは今季のプレミアリーグで7試合2勝1分け4敗勝ち点7と前評判を考えれば決して悪くないスタートを切っており、BIG6との対戦はまだ1つしか消化していない事は差し引いて考える必要がありますが正直この段階で監督人事にテコ入れをしたのは驚きました。
取締役会曰く、シスコ解任の理由は最近のパフォーマンスの悪化
ℹ Watford FC confirms Xisco Muñoz has left his post as the club's Head Coach.
— Watford Football Club (@WatfordFC) October 3, 2021
7試合の戦績を振り返ると
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期待値を見るとxPTS:6.09(19位)
確かにスタッツ的には降格水準ではありますが、戦力を見比べても20クラブで最も市場価値の低い(Transfermarkt.com)スカッドという事を考慮すれば取り立てて騒ぐほどの事ではないと思ったのが正直な感想。
ただ、ファンベースの評価はまた異なっており、特に9月25日の第6節ニューカッスル戦のドローは内容完敗のうえ、相手指揮官は無戦術と揶揄されがちなスティーブ・ブルースのチームということもあってシスコ解任はやむを得ないという声も大きいようです。
そして、上述のように指揮官を短いスパンで替える今の体制においては50試合と100試合が2つの壁となっており、最長でもジャンフランコ・ゾラの75試合,日数にして526日という事で2年以上ボスの座に就き続けた人物はいません。
後任は老練の修理屋クラウディオ・ラニエリ
🤝 Watford FC is delighted to confirm the appointment of Claudio Ranieri as the club’s new Head Coach.
— Watford Football Club (@WatfordFC) October 4, 2021
Welcome to Watford, Claudio! 💛
この時期に彼のような実績のある監督を招聘出来たのは非常に幸運。
プレミアリーグではこれまでに3つのクラブを指揮しており、中でも15/16シーズンのミラクルレスターはおそらく半世紀経っても語り継がれるであろう偉業です。
昨季まではイタリア セリエAのサンプドリアを率いていたラニエリですが、彼はフラット4-4-2を非常に高い頻度で使用する監督としても知られており、実際にレスターではこのような構成でプレミアリーグを勝利しました。
4-1-4-1や4-2-3-1をベースにしていたシスコ体制からは大幅な変更となり、新たにポジションを掴む選手、逆に居場所を失う選手も出てきそうなのでワトフォードの冬の移籍は非常に騒がしいものになりそう。
ラニエリがシーズン終了時まで解任されずにいるかどうかという点については今のところ自信をもってYesとは言えませんが、守備構築という意味では非常に計算できる人材なので得点力不足からの低空飛行はあっても失点大幅増は考えにくい。
いずれにしても、このクラブはそろそろ1人の指揮官に長期プロジェクトを任せるべきだと思うので新政権が長続きする事を祈ります。