当初はマッチレビューの方に追記しようとしたのですが、ページが重くなりそうなのとスマホで見た際にかなり縦長になってしまうのではないかという懸念から単独の記事にしました。
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【The Theatre of Dreams~ロナウド復帰戦は見事なゴールラッシュ】
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①マティッチのスタミナ
持ち前のボールキープや楔のパスを前半から連発しており攻撃面では重要な働きをみせたネマニャ・マティッチ。
現実のゲームでスタミナというものを可視化するのは難しいですが、やはりプレミアリーグのタフな環境で90分間通すのは難しくなっているなというのが正直な感想。
特に1プレーの中でのランの繰り返しという面で今の彼はセントラルハーフとして信頼を置ける水準ではないと言わざるを得ません。
ユナイテッドの試合分析を行っているUtdArena氏(@utdarena)のスレッドを参考にしましょう。
一番分かりやすいのが被カウンター時のディフェンス。
例えば23分のロナウドのシュートをブロックされてから始まったサン=マクシマンのカウンター。
ここでマティッチはバック3の一員として中央からマクシマンをスローダウンさせつつサイドに追い込むのが理想的な動き。
兎に角速度を低下させて少しでも時間を稼ぐリトリートが求められる場面ですが、走力不安からなのかカバー無しの状況でボールに飛び込んでしまいロナウドチョップで交わされるというオマケ付きでマクシマンの中央進出を許してしまいます。
Diving in:
— UtdArena (@utdarena) September 12, 2021
Nemanja's defensively transitioning but instead of running alongside ASM, he chooses to dive in front of him which gives ASM an easy opportunity to skip past. Shaw does excellently to recover and read his intention.
Nevertheless, this needs to stop. pic.twitter.com/4djYn6u9CZ
この傾向は単にマティッチ1人だけの話ではありません。スピードに自信のあるラファエル・ヴァランは数的不利の場面で冷静にリトリートを選択しますが、失点シーンではマティッチ、ショー、マグワイア、の3名がギャンブル性の高いタックルを敢行した結果全員が交わされ失点。誰か1人でもリトリートで味方の帰陣を待つ事が出来ていれば防げた失点だったかもしれない。
Their goal:
— UtdArena (@utdarena) September 12, 2021
1: Luke gambles on the ball going left and leaves off the direct route
2: Maguire ends up diving in unnecessarily
If Luke stays home and guards the direct route—a principle—and Maguire delays then this attack is solved much sooner.
Principles! pic.twitter.com/GI7Z4hry76
②ロナウドと既存選手の相性
マンチェスター・ユナイテッド第1次時代のクリスティアーノ・ロナウドは左サイドからロングドリブルでボックスに侵入しそのままゴールを奪うドリブラーの延長戦線上にある選手で、どちらかと言えば球離れの悪いプレイヤーでした。
第一次ロナウドの全ゴール
ただ、年齢を重ねる毎にプレーの無駄(遊びとも表現できるかもしれません)を削ぎ落し今のCR7は完全な得点マシーンに変貌を遂げています。
それに伴い自陣~ミドルサードまでの彼のボール保持はワンタッチで味方にはたく事が増加し、周りの選手は勿論ロナウド目掛けて多くのボールを配球して敵も彼に意識が傾いて一瞬彼に気を取られてしまいます。
結果としてダイレクトプレーが増加し、クリスティアーノ自身が囮になる形で周りの選手にスぺ―スが生まれる場面も多かった。
立っているだけでプレッシャーを与える選手というのが今のユナイテッドではロナウド、ブルーノ、ポグバと3人いるので、相手クラブからすれば個の力という意味でこれ以上に厄介なチームもそうそう存在しないでしょう。
また、彼のプロ意識の高さは相変わらずのようで、エヴラが自宅に招待された際のエピソードと同じような話がグラントの口から語られています。
🤤 “On Friday’s you finish your dinner & you have a few cheat food out.”
— talkSPORT (@talkSPORT) September 12, 2021
🤣 “Not one player touched the crumble & custard because everyone was looking at Cristiano’s plate!”
Lee Grant tells the story of how Cristiano Ronaldo’s presence put #MUFC players off of dessert pic.twitter.com/NGciSvzuVP
③ワン=ビサカ
個人的にはこの③を一番深刻に捉えています。オーレ体制で迎えた1季目、19/20シーズンにハリー・マグワイアと共にレッズに加入して抜群の対人守備で右サイドをほぼ1人で封殺してきたアーロン・ワン=ビサカ。
そんな彼も今季で3年目を迎えるシーズンですが、確固たる地位を築くと共に相手クラブの分析も進み、今ではシンプルにサイドラインで幅を取って彼に1on1を仕掛けてくる意思を見せる相手はウルブスのアダマ・トラオレかニューカッスルのサン=マクシマンくらい。彼の一番の特徴といえばその柔軟な四肢からもたらされる予想を超えるスライディングタックルですが、逆に言えばタックルされる前にワンツーやレイオフで2人目3人目を利用すればその脅威は大きく減衰してしまいます。
単純なパフォーマンスを見てもこの頃より今は低下している感も否めませんが……
また、仮にAWBにパスを奪われたとしても彼が攻撃の起点になるケースは殆どない事が既にバレているので相手のフルバックも躊躇なく攻撃参加してくる機会が増加しているように思えてならない。
攻撃は最大の守備とはよく言ったもので、ワン=ビサカ自身もそれを察知しているのかニューカッスル戦では50分に珍しくサイドチェンジを試みるシーンがあったり(パスが弱くて奪われましたが)、オーバーラップだけでなくショーをお手本にしたかのようなアンダーラップも時折見せるようになっています。ただ、大前提として彼のボール保持はいつも窮屈で何か怖いものにでも追いかけられながらプレーしているように感じるので、ルックアップの回数を増やしたりチームメイトとの会話でプレーの先読みを更に向上させるなどして余裕をもってプレー出来る機会を1つでも多く増やして欲しい。
チーム内に最高の手本がいるので、是非ともショーの手ほどきを受けて欲しいと切望しています。
LBとRBならライバル意識もそう高くは無いはずですから色々と有効なアドバイスを貰えるのではなかろうか。。。(時折見せる軽い守備だけはマネしないで……)
少し具体的な話をするとすれば、ボックス手前でボールを受けた際に1つ飛ばして逆サイドのスペースを狙うような鋭い斜め回転のクロス(ライバルクラブの選手ですが、アレクサンダー=アーノルドやリース・ジェームズが得意とする形)を入れられるようになるとコンプリートRBの座がかなり近づく。