マンチェスター・ユナイテッドのファンフォーラムにクラブに携わってから初めて顔を出したジョエル・グレイザー。
アヴラム・グレイザー(左)、ジョエル・グレイザー(右)
M.U.S.Tから先月初旬に発表された書簡への解答通り今回のフォーラムにZOOMではありますが参加し、これは2005年にクラブを買収してからおそらく初めてのファンへの約束を守った極めて歴史的な出来事です()
メディアへの対応が批判の的になったアヴラムは残念ながらこの場に顔を見せる事は無く彼への不信感はより一層増してしまいましたが、それはそれとして取り敢えずジョエル・グレイザーの口から出た今後の目標・改革について羅列していきます。
(Joel Glazer speaks to Man Utd supporters at Fans Forum on 4 June 2021 | Manchester United)
概要
2:オールド・トラッフォードの大規模なアップグレードとキャリントン(練習場)の更なる強化
3:女子チームの強化と発展
4:クラブ幹部やオーナーと協議するためのファンフォーラムと主要なファングループの代表者で構成されるファン諮問委員会の設立
5:グレイザーファミリーの所有する株式と同様の議決権を持つ新たな種類の株式を含むお互いにとって有益なファンシェアスキームを見定める事を目的としたM.U.S.Tとの直接対話を開始
1、2、3については当たり前のことなので今更言及しませんが、今回のフォーラムでジョエルの発した言葉の中で大きな意味を持つのが4と5。
ファン諮問委員会の設立に関しては、これまで我々ユナイテッドサポーターはスタジアム前に集まって抗議の意思を表明するかTwitterなどのSNSで#Glazersoutのタグをトレンド入りさせるくらいしかグレイザーへの意思表示が出来ませんでしたがこれによって少なくとも表面上はグレイザーに対しファンサイドから直接意見を述べる事が出来る場所が確立される事になります。
そしてグレイザーファミリーと同様の議決権を持つ株式の導入は実現すればこれまでのようにサポーターの声をノイズとして無視し続ける事は難しくなるのであの一族がこれを本当に認めるのか、そして認めたとしても実際にはほぼ発行しないのではないかという疑惑もありますがそれでもこれまでの惨状を鑑みれば進展していると断言できるでしょう。
もっとも、根本的な問題として仮にグレイザーがこれらの要素を全て満たしたところで16年間の負の感情を払拭することは到底不可能でサポーターとの仲を取り戻す(そもそも最初からマイナススタートかもしれませんが)個人的には最早手遅れであると考えています。
それほどまでに2005年から2021年までという年月は長いもので、更に言えばグレイザーが最も嫌われている原因である買収時のLBOによってクラブに負わせた負債の返済については何1つとして約束しなかったのでファンベースにおける彼らへの評価は依然として最下層のまま。
唯一彼らから得る教訓があるとすれば一度失った信頼を取り戻すのは一生かかっても難しいという現実。
肝に銘じていきたい。
追記(2021-07-27)
これまでとは違い、ファンフォーラムに顔を出すなどようやく行動に移し始めたグレイザーファミリー。
一過性のものなのではないかと疑っていたのでしばらく状況を見守っていましたが、先述した5つの要素のうち、ジェイドン・サンチョの補強に成功し更にはラファエル・ヴァランに関してもHere We Goのサインが出た"1"に関しては順調な出だしで"5"も継続して話し合いが続けられている模様。
そして、今回は発表されたファンエンゲージメント強化プランとは"4"に関するもので、内容は女性サポーターズクラブの代表者,海外からのメンバー,21歳以下のサポーターを新たに加え入れる既存のファンズフォーラムの拡張(定員11名⇒16名へ)が1つ、もう一方はファン詰問委員会の詳細に関するもので、こちらの定員はファン代表7名+クラブの幹部5名の計12名。
詰問委員会は四半期に1度のペースで開催される予定で、そのうち年に一度はExecutive Co-Chairmen(事実上のクラブのトップ。現在のボードで言えばジョエル・グレイザーとアヴラム・グレイザー)のどちらかが必ず出席するということなので、風通しはこれまでよりも良くなります。
また、今回言及された2組織の強い関係性を確保するために詰問委員会にはフォーラムから2人のメンバーを選出し、M.U.S.Tは両方の議席を保有する事になります。
この両機関への参加者募集は今後数週間のうちに開始され、代表者の基準や応募方法などはその際に発表されるとのこと。
ファンズフォーラムやファン詰問委員会に関して、欧米のみに限らず、日本を含むアジア、アフリカ等世界中のあらゆる場所から応募できる仕組みになっている事を願います。