いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【試合レビュー】No DM No Win

 

 

 ポルトガルエスタディオ・ド・ドラゴン-FCポルトのホームスタジアムでもある52,000人収容のスタジアムで行われた今シーズンのCLファイナル。

残念ながらCovid-19の影響で会場を満員にすることは叶いませんでしたがそれでもサポーターの歓声を背に試合を行える日々が再び戻ってきた喜びを噛みしめて両チームには最終戦に臨んでもらいたいです。

 

 

 

 

スタメン

 

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ベンチ入りマンチェスター・シティ6アケ、9ジェズス、10アグエロ、13ステッフェン、14ラポルテ、16ロドリ、21フェラン・トーレス、22B.メンディ、25フェルナンジーニョ、27カンセロ、33カーソン、50E.ガルシア

チェルシー1ケパ、3M.アロンソ、4クリステンセン、10プリシッチ、13カバジェロ、15ズマ、17コバチッチ、18ジルー、20ハドソン=オドイ、22ツィエク、23ギルモア、33エメルソン・パルミエリ

 

まず一番の驚きはマン・シティの中盤以降の構成。

デ・ブライネのフォルスナインはまだ分かるのですがギュンドアンを逆三角形の頂点においた中盤3枚というのは流石に守備強度が下がって逆効果だと外野からは感じるのですがペップに意図を聞いてみたい。

アンカーで試合に臨むことになったギュンドアンですが、ヒートマップを見るとやや左寄りでのプレーを好む傾向にあるので彼のポジショニングは試合の展開に関わる要素になる予感。

個人的にはロドリかフェルナンジーニョを使わない選択は悪策であるように感じていますが。

 

チェルシーはトゥヘル政権になってからはお馴染みの3‐4‐2‐1。

リーグ終盤ではリース・ジェームズをCB、アスピリクエタをWBで起用する事もありましたがそれほど上背のない選手でこうせいされているマン・シティのアタッカー相手ということで元通りの使われ方に。

 

 

試合内容

 

最初にチャンスを作ったのはトゥヘルになってから2戦2戦と優位な試合を続けているチェルシー

右サイドでヴェルナーが抜け出し、最後はハヴァーツのクロスでボックス内に侵入。

マン・シティも7分にエデルソンがロングパス一発でスターリングの前に空いたスペースにドンピシャのボールを送り決定機が生まれますが不調が続く7番は後ろから追いついたリース・ジェームズにいともたやすく吹き飛ばされてしまいこれに応えられず。

Embed from Getty Images  

 

過去3シーズンは安定してリーグ戦20ゴール前後を記録していたスターリングも今季は不振に苦しみ優勝チームかつ最多得点のクラブで僅かに10点。

原因としてはそもそもシュートの数が例年より少ないという要素が大きく、過去3シーズンは1.1を超えていた90分辺りの枠内シュート数も今季は0.99に留まり、この7分のプレーはその変化の象徴ともいうべきシーンでした。(data:Raheem Sterling Stats | FBref.com)

 

対するチェルシーもアンカー不在でCB2人にいつも以上の圧力がかかるマン・シティの守備に何度もチャンスを作りますが最終局面のティモ・ヴェルナーはやはり頼りにはならず、14分には相手のロストで始まったカウンターチャンスにボックス内ゴール正面でマウントからのプレゼントパスでビッグチャンスを得ますがこの好機でも彼のシュートは弱弱しくエデルソンの懐に吸い込まれて行きました。

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マン・シティは予想通りギュンドアンの守備強度、そしてスライドの遅さが仇となって特にメイソン・マウントのいる左サイドを中心に幾度もカウンターの危機を招き、チェルシーのシュート精度に助けられて失点こそないものの内容では完全にチェルシーが勝っている展開。

カンテがまるで分身しているかの如く広範囲をカバーし、ジョルジーニョも安定したパフォーマンスでDFの負担を軽減したチェルシーとの対比は結果的にこの試合の勝敗を左右する要素となってしまいました。

 

 

プレミアNo.1CBユニットでも周りのカバー無しではどうしようもない

 

チェルシーは35分の給水タイムでチアゴ・シウバにアクシデント発生。

鼠径部を気にする素振りを見せ、一度ピッチに戻ったものの続行不可という判断で38分にクリステンセンと交代でピッチを去ります。

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CBの要を欠いた事で試合の様相もマン・シティ有利に変化するのかなどと考える間もなく、42分にその時は訪れました。

チェルシーはGKメンディから左サイドタッチライン際に張るチルウェルに完璧なパスが届き、このイングランド代表LBは斜め前のマウントへダイレクトパス。

マン・シティの中盤が逆サイドに寄ったままでDFの間に広大なポケットが空いている事を瞬時に見抜いたマウントはその位置に走るハヴァーツへ見事なスルーパス

最後はハヴァーツがエリア外まで飛び出してきたエデルソンを交わして無人のゴールに蹴り込んで先制はチェルシー

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失点シーンだけを見ればルベン・ディアスとジンチェンコに責任が追求れてしまいますが、メンディのパスがチルウェルに向けて放たれた時点でそちら側に広大なポケットが生じているのと、普段は1つ前で起用されているギュンドアンのポジショニングの曖昧さもあってそもそも守備の人数が足りていないので彼ら2人、特にジンチェンコに全ての原因を求めるのはかなり酷。

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連続性のある競技において一つの場面を切りとる事はあまり効果的な分析ではありませんが、この試合のマン・シティの守備を語るには一番相応しいシーンであった事も確か。

 

 

DM(フェルナンジーニョ)投入後は内容改善。しかしチェルシーの強固なブロックはこれを凌ぎ切って栄冠を手にする

 

世界でも3本に指に入るプレイメーカーのケビン・デ・ブライネ。

ペップのフットボールを語る上でこの”プレイメーカー”は欠かせないカギの1つで2000年代後半からのバルサ黄金期はメッシ、シャビ、イニエスタブスケツ、ダニ・アウベスと5人ものクリエイターがチームに存在した事が成功の理由だと私は考えていますが、マン・シティのキングは56分にチェルシーCBアントニオ・リュディガーのショルダーアタックで眼窩底骨折と鼻骨骨折の怪我を負い悔いの残る形でガブリエル・ジェズスに後を託します。

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ペップが中盤にメスを入れ、ベルナルド・シウバに替えてフェルナンジーニョを投入したのが64分。

これ以降のスタッツを見るとマン・シティは7割超のポゼッションを記録しており、人間離れしたカンテはパフォーマンスを維持していたもののジョルジーニョには疲労が色濃く出ていたチェルシーに対しデブライネがプレーしていれば試合の結果は違っていたかもしれない。

 

ただ、そんなリーグ王者に決定機があったのかと言えばそうではなく、寧ろ次の1点のチャンスが多かったのはチェルシー

ヴェルナーに替わって66分から投入されたプリシッチにマウントからプレゼントパスが渡されますがモノに出来ず。

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試合終盤は全てをかなぐり捨てて同点ゴールを奪いにいったシティが印象的で、カイル・ウォーカーのロングスローなどパワープレイに出ましたが残念ながらこのチームにターゲットマンはおらず、AT7分にはゴール正面からマフレズの右足のシュートも枠の上に消えてそのまま0vs1でチェルシー勝利。

 

動画ハイライト

 

ゴール⚽42分:カイ・ハヴァーツ(👟メイソン・マウント)

 

交代選手

マンチェスター・シティ

60分 in:ジェズス out:デ・ブライネ

64分 in:フェルナンジーニョ out:ベルナルド・シウバ

77分 in:アグエロ out:スターリン

 

チェルシー

39分 in:クリステンセン out:チアゴ・シウバ

66分 in:プリシッチ out:ヴェルナー

80分 in:コバチッチ out:マウント

 

 

データ

 

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決勝という事もありかなり締まった内容になりましたが勝負を分けたのはチャンスの中身。

シティはビッグチャンス0、チェルシーはビッグチャンス3つを記録し、xGではシティ0.7-チェルシー1.7とシュート数で下回ったトゥヘルのチームが圧倒的に優位でした。

(data:https://fbref.com/en/matches/74010cc4/Manchester-City-Chelsea-May-29-2021-Champions-League)

 

決勝ゴールのカイ・ハヴァーツ、ビッグチャンスクリエイト2回のメイソン・マウント、対面するスターリングにほぼ仕事をさせなかったリース・ジェームズ、そして本当に2人いるのではないかと思わせるほどに広範囲をカバーし続けたエンゴロ・カンテは思わず称賛の拍手を送りたくなるほどのパフォーマンスでした。

 

スコア以上にチェルシーの充実っぷりを感じざるを得ない試合で、少し脱線しますが来季のプレミアリーグの事を考えると今から頭が痛くなります。

守備的MFと右サイドのプレイメーカーを加えられればユナイテッドも彼らと戦えるレベルになると思うので特に昨年から噂になり続けているサンチョは今すぐに獲得合意のニュースが聞きたい……

この試合を見ても分かるようにディアス-ストーンズのペアでも中盤のフォローが皆無だと呆気なく突破されるので逆に言えばマグワイア-リンデロフは見た目以上にようやっとる。

アンカータイプのエンディディやデクラン・ライスを獲得して彼らのストレスを軽減出来ればそれこそリオ-ヴィダの領域に足を踏み入れる可能性もあるのではないでしょうか。