2023-03-30 更新
どうも皆さんこんにちは、いろ覇です。
主にサイドバック(フルバック)がボールを保持しているプレイヤー(ウイングやサイドハーフの場合が多い)を外側から追い越す動きをオーバーラップと呼びます。
今回はその反対、内側のスペースに向けて追い越す動きについて。
アンダー派vsインナー派
(ボード:TACTICALista)
まず結論から申し上げるとインナーラップは誤りでアンダーラップが正確な表現だと考えられます。
これは至ってシンプルな理由でoverの対義語はunderであってinnerではないからです。
インナーラップ派の方々がサイドバックが外を駆け上げる動きをアウターラップと呼称しているならばある意味芯が通っているのでアリかもしれませんが"アウターラップ"で検索をしても私と同じような疑問を投げかけている方がぼちぼち出てくるだけで所謂オーバーラップ的用法でこのワードを使用しているケースは全く出てきませんでした。
日本のフットボール界には他にも偽SBのようにその言葉だけでは具体的な中身が分からない謎用語が溢れていますが、インナーラップに関しては完全に誤用だと思うので今からでもいいのでアンダーラップに統一しません?
例えば、オリンピックのニュースなどで
アンダー23日本代表のオーバーエイジには○○選手が選出されました
という文章をフットボールファンの方なら一度は見たことがあると思います。
このように他の場面では正しい使い方が出来ているにも関わらずどうしてここだけインナーラップという不思議な言葉が市民権を得たのかが本当に謎。
このブログを見て下さった方は"アンダーラップ"を広めて欲しい
先日マンチェスター・ユナイテッドのトップチームでデビューを果たした"Shola Shoretire"のケースでは当初カタカナ表記はショラ・ショアタイアで現地実況もこれに近い発音をしていましたが、本人側からの訂正で現在はショラ・ショレティレに変更されています。
今のままインナー派閥アンダー派閥が両方存在する状況が長引くと本当にインナーラップが1つの言葉として定着してしまう危険がある(というか既にそうなりかけている現状)なのでダメージが少ない内に変えていきましょう。
プレーの中身云々を語る前に一番の基本である『言葉』にもっと注意を払って欲しいなというのがメディアや解説者などの方々に対していの一番に感じる事です。
湧き水のように新用語を作っていくのも別に止めはしませんが、一般には意味が伝わらない暗号のようなものになってしまっては仲間内で勝手に盛り上がるだけで終わっていまいますし既存の言葉で代用できるならばそちらを使うべきだと改めて主張しておきます。
〇〇lapの語源
lapという単語は元々衣服の裾、そしてそれが被さっている部分を表す言葉だったそうで、主に大腿部から膝までの部分を表すワードとして使われています。
持ち運び可能な折り畳み式のパソコンの事をラップトップと呼びますが、このラップはまさに膝上に置いて使用できるという意味でlapがあてがわれています。
立体的に考えるとlapはぐるりと1周回るような筒状のエリアを指すのでそこから転じて(何かで)囲む、包み込むという意味も持つようになり、陸上トラック競技やレースなどで使われるラップはここから派生した使われ方のようです。
(参考:lap | Origin and meaning of lap by Online Etymology Dictionary)
因みにサランラップのラップはwrapでこちらも包むという意味があるのですが違う単語なので注意。
オーバーラップ(overlap)という言葉もこのlapから枝分かれした単語で〈重ねる、覆うように伸ばす〉といった使われ方をするようになり、現在では〈あるものが別のものの上に重なる事、重なっている部分や物そのもの〉を指す言葉にもなっています。
【追記】"インナーラップ" は破廉恥な意味に捉えられかねない?
記事を最初に投稿してから丁度2年が経過したようですが、残念ながらアンダーラップは定着する気配が無く地上波の実況・解説ですらインナーラップという謎の言葉を連呼し続ける日々が続いています。
フットボール解説者のベン・メイブリ―氏曰く、インナーラップという言葉を無理やり英語で表現すると"inner lap" 。lapというのはラップトップのlapで「座った時の腰からひざ頭までのももの上の部分」という意味を訳の1つとして持っていますから、『(座った状態における)ももの内側、または両脚太ももの間』という何だか変態性のある意味が出来上がってしまうらしい。
尚、インナーラップという英語があるとしたらinner lapと2単語になり、
— Ben Mabley(ベン・メイブリー) (@BenMabley) March 28, 2023
人の座った状態での、太ももの内側やその両足の太ももの間、という意味になります(笑)
ふと思いついた事ですが、日本ではピッチを想像する際に縦向きの俯瞰を思い浮かべる事が多く、一方英語圏では横向きで考える、この差もinnerという言葉が市民権を得ている現状に繋がっているのかも。
確かに縦向きで見ていくとセンターサークルやペナルティーアークを挟む2本の脚、或いは人間の身体全体を連想出来るような気もしなくはない。深堀りしていくと信仰や価値観の違いという所から起因する間違いである可能性もあるのだろうか?
あとがき
カタカナ表記でラップと一括りにされる中身はlap、rap、wrapと思いつくだけでも3つの言葉に分かれていて、更に1つ1つの言葉が持つ意味を数えるととても大きな数になりそうなのでなんだか開けてはいけない箱の封印を解いたような気分。
他にも不思議な使われ方をしている用語があるかもしれませんがどうやら私はスタミナ切れらしいので、ここからは皆さんに任せます😇。