いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

賢い選手は何人いてもいい。とにかく気が利く毎熊

 

キックオフ直後、自身へのバックパスに対して猛然とプレスをかけてきたラファエル・ストライクをキックフェイントでいなしつつ、ボールを少し運んで中村敬斗への対角線フィードを試みた冨安健洋の器用さと冷静さに感銘を受けながら始まったグループステージ3試合目のインドネシア戦。

 

インドネシア戦のハイライト≫

 

 

冨安は勿論素晴らしかったのだが、今更彼のクオリティについては疑う余地もなく、個人的に一番印象に残ったのは不調の菅原由勢に代わって遂に先発出場のチャンスが舞い込んだ毎熊晟矢のフットボール・インテリジェンスの高さだった。

 

やらされている感のない理知的なプレー選択

 

例えば、タッチライン近くで1on1を試みる味方ウインガーというシチュエーションにおいて、サポートの動きとして強引に外を回るのではなく内側を駆け上がる、いわゆるアンダーラップは一昔前に比べ大分フルバックの基本装備として浸透した感もあるが、個々のプレーを見ているとただそれが良いと言われているからラン二ングしているのか味方の状況を見てそれが相応しいと判断して自分主導で行ったのかという違いが浮かび上がってくる事が多い。唐突に名前を出して申し訳ないが、これがマンチェスター・ユナイテッドにおけるディオゴ・ダロトとアーロン・ワン=ビサカの比較で私が前者を推す理由の1つでもある。

 

後出しで動きを変えられる臨機応変

 

毎熊のオフボールに注目すると、ビルドアップの中で相手のプレスライン及び1stプレスの人数に応じて冨安の横に入って外側の逃げ先を作るか一列上がって中盤として振る舞うかの判断が正確で、恐らくスキャニングの多さがそれを支えている。

 

更にミドルサードアタッキングサードでは堂安がワイドにいれば内側、中に入っている場合は対応して幅を取るといったように味方との連動が的確で、ボールを受けた後の選択肢も豊富で、パスでもキャリーでも内外問わずMF-DFライン間やDF裏といった相手の嫌がる場所にボールを進めることが出来るため、チーム3点目の起点になった伊東純也へのパスのように得点に直結するようなチャンスクリエイト能力も十分な水準で有している。

 

それ以外にも低弾道かつ威力を伴ったミドルシュートを見せたり、守備面でデュエル勝率が地上戦6/7、空中戦1/1と対人における絶対的強さを顕示するなど今回の試合では非の打ちどころなき圧巻の働きぶりを終始一貫して続けた。

 

そんな毎熊に対し、ゲスト解説の小野伸二氏も「先を考えてプレーしている」、「空間認知能力が高い」とべた褒めで、ピッチ内におけるパフォーマンスとピッチ外での評価の両面において彼は日本代表RBのファーストチョイスの座を一気に掴んだと言っても過言ではない。

 

弱みと課題

 

代表に招集され始めた2023年9月以降、安定感のあるプレーを見せて国外のトップリーグ挑戦も期待される毎熊の課題と弱みを敢えて挙げるとすれば、まずは1997年生まれの26歳とフットボーラーとしてはやや年齢を重ねている点。同程度の能力の場合若い選手が優先されるのはスポーツ界における常識だろう。

 

ただ、これに関しては遠藤航や伊東純也のように25歳を越えてからヨーロッパに渡ってキャリアップに成功した先輩たちが間近にいるので、彼らから海外での文化・言語への適応の助言を貰いつつ、驕りではなく誇りを持って自己主張出来ればどうしようもない障壁にはならないと個人的に考えている。

 

もう1つは心肺機能、アジリティ、ジャンプの高さといった身体能力の部分とコンタクトプレーやクロス対応、更に連戦の中でパフォーマンスを落とさずプレーし続けるといういわばストレングスを持っているかどうか。中3日前後で試合が続くアジアカップのノックアウトステージはこれらを測る絶好の機会になるので、是非とも次の試合以降も彼のスタメン起用が見てみたいところだ。