※25/26 イングリッシュプレミアリーグ
ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
4ゴールでもまだ物足りないというくらいに相手の守備組織が破綻していたウルブス戦。堅守速攻が持ち味だったチームが今や見る影もない状態で未だにリーグ戦の勝利が無いのも納得の内容だった……
"UNITED are the team for me!" 🔊 pic.twitter.com/JxwxOK7h9p
— Manchester United (@ManUtd) December 8, 2025

【Match Review】

Starting lineup

3トップは左からマウント-クーニャ-エンベウモで機動力と即興的なコンビネーションを重視したラインナップ。プレシーズンからこの3人で行くと前線プレスの強度が(ユナイテッドにしては)高いので、敵陣でプレーを完結させて早い内に試合を決めてしまいたいという狙いもあるだろう。
前半

ウルブスを見ていて感じるのは低迷している最中のチームの共通項として、ファーストプレスでは強度を出せても2度追い3度追いが無くひとたびひっくり返されると無抵抗という前線守備、ポゼッションでは細かいポジショニング修正が無くなり足が止まりがちという特徴があると改めて感じるような試合序盤。ざっくりと言えば楽しくなかったり面倒くさい部分で頑張れなくなる、精神的な強度が低下するといった印象。
そんなホームチームに対してユナイテッドはアドリブの連携で中央を打開できるブルーノ-マウント-クーニャ-エンベウモ、右外で個人打開するアマド、マークの薄れる左外からダイアゴナルランでDFライン裏を突くダロトとポゼッションでは良いサイクルが生まれ、コレクティブな動きが苦手なクーニャも即興についてこれる選手を周りに固めた事で弱点を隠しつつ強みを生かしやすい環境に置く事が出来た。
ユナイテッドの最初の得点機会もFKのリスタートから切り替えが遅く集中力を欠いていたウルブスをよそに左外でDFライン背後を突いたダロトのオフボールに対してのブルーノのパスから生まれており、赤い悪魔のアカデミーOBでもあるサム・ジョンストンの素晴らしいセービングもあってモノに出来なかったがGKとの1on1のビッグチャンスを作っている。
比較的容易に主導権を握る事が出来たユナイテッドにとって嫌な要素だったのは相手LWベルガルドの足癖の悪さで、開始から10分少々でマズラウィとカゼミロが彼のつま先から突っ込むルーズボール対応の被害に。
スコアが動いたのは25分。ウルブスのポゼッションでボールホルダーのアンドレに対するサポートが皆無に等しく、バックパスを嫌って後ろ方向に動きながらキープし続ける背番号7に対してカゼミロは緩急を織り交ぜた老獪なプレッシャーでボールを突っつき、無人の空間に転がったボールに真っ先に反応したのはクーニャだった。ペナルティボックス手前でキックフェイントを挟みながら時間を作ると、猛烈に駆け上がってきたブルーノへお膳立てのパスを出し、やや両者の思惑にズレがあったものの最後はキャプテンが泥臭くボールを押し込んでユナイテッドが先制!!
⚽️ @B_Fernandes8 scores goals. pic.twitter.com/9zKqpCbsNY
— Manchester United (@ManUtd) December 10, 2025
ポジティブトランジションでの出足は流石にブルーノといったところで、ここ最近は一番良かった頃に近い水準で得点機会への嗅覚が鋭くなっている印象。その反面守備時にスペースを空けてしまうケースもまた増加傾向にあるが。
試合が再開してしばらくして、中央をコンビネーションプレーで崩した29分の攻撃はこの4人だったからこそ生まれたというアドリブの極致のような内容であり、組織的なプレーと即興を両立できるマウントがキーマンである事を示すものでもある。特に右サイドが大幅に手薄となり個人打開力が低下するAFCON期間中は彼が離脱してしまうとジエンドかもしれない。
得点が生まれるとプレー強度が落ちてプレッシャーが甘くなったり、プレスラインが下がっていって相手のポゼッションが増えていくというチーム全体の傾向が未だに抜けないユナイテッドはやはり今回も同様の流れ。ウルブスの3TOPがターゲットマンのラーセン、テイクオンを好むベルガルド、リンクプレイヤーのアリアスと絶妙に噛み合わないので保っていたが、それでもアディショナルタイムにトティのアーリークロスを起点にした、左右を広く使うような相手の攻撃に全くついていけず、最後はキ=ヤナ・フーフェルのクロスをベルガルドに滑り込みながらのボレーで合わせられて失点。リードを失い同点で前半を折り返すことに。
後半
前半と同等かあるいはそれ以上にウルブスの守備における3CBの間のスペース、いわゆるチャンネルが広く開いていて尚且つ背後への警戒が甘いのでユナイテッドはそこを突き続ける。特に右CBジェルソン・モスケラは完全に集中を切らしているかのようなシーンも少なくない為ダロトの裏抜けが効果てきめん。
51分、ブルーノ-カゼミロが高い位置で2人揃ってCB前のケアを怠るとウルブスはアンドレとベルガルドのコンビネーションでCMデュオを突破したが、スピードに乗ったベルガルドの持ち運びやショーがカットして今度はユナイテッドのカウンターチャンスへ。
ショーからボールを引き継いだブルーノは左外を猛烈に駆け上がるダロトへパスを狙うがクレイチに触られて成立せず。ただ、ディフレクションが運よくクーニャの足元に転がり攻撃が続けられ、再度ダロトへのスルーパスが放たれると今度はDF裏への決定的なボールとなり、完全に抜け出した背番号2は飛び出してくるGKの動きを冷静に見ながら逆サイドで並走するエンベウモへのプレゼントボールを選択。再びユナイテッドがリードを手に!!
更にホームチームにとっての痛手は先述したボールキャリーの際にベルガルドが負傷を負ってプレー続行不可となった点。個で脅威を与えられる唯一の選手だった彼を失いカウンターの威力が弱まった事はその後の展開に影響を与えたと思われる。
最後に追いつかれた前半の反省から、翼を失ったウルブスに対して追撃の手を緩めないユナイテッドはブルーノのロブパスにマウントがダイレクトボレーで応えて3点目。
Mason Mount’s Molineux moment, filmed pitchside 😮💨🤳 pic.twitter.com/lPDA5ncJIP
— Manchester United (@ManUtd) December 10, 2025
得点の少し前にもカウンターでブルーノがボックス内にキャリーしながら侵入するチャンスがあったが、そこでシュートではなく右から走ってくるアマドへのパスを選択していたように、今の彼は自身の得点にこだわらずチームの得点に一番近づく択を冷静に判断できる余裕がある。
一方ウルブス右サイドの2人、モスケラ-フーフェルのラインは目を覆いたくなるレベルでマーク管理がおざなりなので相手目線ですらホームサポーターに同情の念を抱いた。。。

70分を迎える前にウルブスは3名、ユナイテッドも2枚の交代カードを切り両チームに大幅な変更が加わった。
前節は全くもって上手くいかなかったヘヴンもこの試合では相手のプレッシャーが連続性に欠けていてなおかつポゼッションでの貢献を要求されず主にストランド・ラーセンへのハイボールを弾き返せばいいというシンプルなミッションだった事もあってまずまずの内容で出番を終えた。なんと空中戦は4/4で全勝と身体能力の高さを見せつけるようなスタッツを残している。
更にストレート性のボールをアマドがボレーという今季度々見られるCKのサインプレーからモスケラのハンドを誘い、ブルーノがPKでこの日2ゴール目となるダメ押しの一点を奪い勝敗は決した。
なお、リチャの3CB中央についてはやはり抜群に合っていて両サイドを身体能力型の選手で固めればハイボールの不安もカバー出来るのでヘヴンの抜擢はそれも一部見越している可能性も。
データ

Standard

スタッツ的には完勝といっても差し支えない内容で、苦手なコーナーキック守備の回数を1回に抑えられた点も称賛したい部分。ポゼッションで上回りつつ走行距離も相手よえい1km以上多いのでまさにアモリムの要求するような内容を実現出来たのではないか。
また、ここしばらくの課題であったオンターゲット率の悪化に関しても10/27で37%と数字を戻してきて今回に関しては及第点。選手個人ではビッグチャンスクリエイトが4、実際の得点関与も2ゴール1アシストで3と圧巻の内容だったブルーノがMVPである事に異論の余地はないが、チームに与える影響力という意味ではマウントもそれに劣らないレベルで大きいのでいかに彼のフォームを保つかが肝心になってくる。

ゴール期待値は実際のスコア以上にワンサイドでホームチームは0.26、対してアウェイチームが4.05と完全に赤い悪魔のゲームだった。それもそのはずでユナイテッドのビッグチャンスは7~8回あり、その多くがチャンネル(CB間)を突くスルーパスおよび裏抜けからのものだった為、3-4-3のミラーマッチであった点を考えると反面教師としてそこを守り切る事の重要性を思い知らされる内容でもある。
Wolves 1 : 4 Man Utd
— markstats bot (@markstatsbot) December 8, 2025
▪ xG: 0.35 - 3.82
▪ xThreat: 1.21 - 1.9
▪ Possession: 36.7% - 63.3%
▪ Field Tilt: 42.0% - 58.0%
▪ Def Action Height: 47.3 - 51.2
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PASSING NETWORKではヘヴンが前節とは異なりチーム内の網に絡めており、なおかつ左右差無く両サイドで綿密なユニット単位での関係性も構築出来ている。右サイドのアマド-エンベウモがそれぞれ守備での献身性、状況判断の速度で気になる部分はあるが、どちらにせよ彼らはAFCONで離脱するのでパフォーマンス低下そのものよりも代替選手の確保の方が優先度の高い問題。
あとがき

年内の対戦予定はボーンマス→アストン・ヴィラ→ニューカッスルときて最後にまたウルブスとのリーグ戦が組み込まれているので、この状態のままならば折り返しの一戦も大勝がノルマという事になる。