※25/26 イングリッシュプレミアリーグ
マンチェスター・ユナイテッドvsエバートン戦の記事です。
何故うまくいっている箇所を壊して機能しない場所をそのまま放置するのか、単純に疑問なのですが。勿論選手の質も足りていないが、今回に関してはアモリムの采配も意味が分からない所が多かった。
Beaten at home.
— Manchester United (@ManUtd) November 24, 2025

【Match Review】

Starting lineup

リサンドロ・マルティネスが遂にスカッドに戻り、同じく怪我の多いキャリアを送る期待の若手シェア・レイシーもベンチ入りを果たすなど、マラシアも含めてカムバックが1つのテーマになっているようなユナイテッドの構成。
前半

ユナイテッドはいつも通り3-4-2-1だがクーニャが不在の左サイドにはアマドが配置され、エンベウモとのホットラインが消滅している状況でスタート。エバートンはハードワーク出来る中盤3枚とチャンス創出に長けた両ウイングという構成でサイドからの打開がメインになりそうなラインナップ。
さて、試合の流れとしてはパトリック・ドルグの何が問題なのか、キックオフから40秒までを見ればすぐに分かってしまうという場面があり、それはアマドとブルーノの連動したプレスでエバートンのポゼッションを乱した後、開始33秒でルーズボールをドルグが拾った所からのシーン。
ファーストタッチはまずまず良かったが、ガーナーが前に飛び出ている状況でMF-DFラインにスペースが有り、ハーフレーンのアマドに縦パスを付ければ自身は大外へのランで相手RBコールマンの意識を釣りつつアマドに仕掛けられる機会を与えられた。ただ、ドルグは何故か2タッチ目を無駄に斜め外へのドリブルで消費してしまうと、斜め後ろからのガーナーのプレスバックに回答がなく切り返してカウンター機会を潰した。
その直後にもう一度ボールが来たシーンでも彼はエバートンの寄せが来ていないにも関わらず後ろを向き、本来なら敵陣ボックス内に侵入出来ていたはずがハーフウェーライン付近でCBがパスを回しているという状況に……
後から振り返れば、結局マウントが後半開始から出場している点を踏まえると彼のコンディションに特別な問題があったとは考えづらいため、素直にアマド-エンベウモの強力なユニットを右サイドで維持しつつ、マズラウィを左に回してシャドーに背番号7を最初から入れておけばこんな試合になっていなかったのではと思わざるを得ない。
また、先発待望論が高まっていたジルクゼーは前線守備でのコースブロックの緩さやプレス強度の低さに加え、楔のボールもシェシュコと比べて絶対的に優勢とは言えないくらいの収まりかつ、ボックス内での理不尽さは無いのでこれではレギュラーになれるわけがない。折角のチャンスでありながらあの内容だったのは個人的にかなり落胆している部分。
13分、ユナイテッドは右サイドでマズラウィとエンベウモのコンビネーションからエバートンDFラインの背後を突き、前者のスルーパスに反応した後者がボックス内に侵入するチャンスに。ただ、エバートンもターコウスキとミコレンコのダブルチームで対処して左足でのプレーを許さず、後ろを向かせたところで3人目のゲイェがボールを奪取した。しかし、その後のゲイェのプレーはあまりにも不用意な近距離でのパスであり、ルーズボールになったところをブルーノがダイレクトシュート。
波乱が起こったのはその直後。上述の対応に対して叱ったマイケル・キーンと当事者のゲイェが揉めて後者にレッドカードが提示され、なんとアウェイチームは味方同士の衝突で10人になるという最悪すぎる状況に追い込まれた。
数的不利になったエバートンはデューズバリー=ホールを一列下げてDFとMFがフラットな4-4-1に変更。ライン設定はパーク・ザ・バスという程低くは無いがペナルティアーク付近に置き、MF-DFライン間を絶対に使わせないという意識を感じるタイトな2ライン間を維持し、攻撃はティエルノ・バリーに何とか競り勝ってもらうかセットプレーを凌ぎ切った後などのターンオーバーで仕留めるという明確な指針が見られた。
エンディアイェとグリーリッシュというボール保持力に優れた上で単独で攻撃を完結させられるアタッカーを抱えているため、ユナイテッドがドルグの先発起用で1人多い利点をほぼ帳消しにしている事も含めてむしろ全体の目標が統一された失点後の方が戦いやすさを感じたまであるかもしれない。
28分、バリーがハーフレーンで粘ってエンディアイェに繋ぎそこからグリーリッシュにサイドチェンジ、まさにそのままの流れでユナイテッド陣内へ侵入したエバートン。継続的なボール保持の機会を作り、マークを追い続ける意識の低いジルクゼーの守備をガーナーが活かし、そのジルクゼーの余波でDFライン前から釣り出されるカゼミロ、ブルーノの背後を捉えたデューズバリー=ホールへ完璧な縦パスを届けると、ボールホルダーに対しての対応が甘すぎるヨロの若さを見逃さなかった背番号22が狙いすました右足コントロールショットでネットを揺らす。
Morning, Blues. 💙 pic.twitter.com/SYpkR4hpxp
— Everton (@Everton) November 25, 2025
なお、ショットストップに関して、触ってはいるので全く対応出来なかった訳では無いが、ラメンスならこれを弾き飛ばせると思うので不満が残ると言えば残る。とはいえシュートを打たれていること自体の方が遥かに問題であり、特にヨロのパフォーマンスレベルが一向に昨季後半の水準に戻ってこないのは何故なのだろうか……
コンビネーションにマズラウィ有り、33分にはカゼミロ→マズラウィ→ジルクゼー→エンベウモとこの試合初めて3人以上の関与する綺麗なコンビネーションで右サイドを打開したユナイテッド。外に流れてエンベウモからリターンを引き出したジルクゼーのクロスはゴール前を通過する大チャンスになったが、合わせたドルグのシュートは枠内にすら飛ばずにこれを逃す。
ただしまともな攻撃はこれくらいで、基本的に相手の目線・身体の向きを動かすような横の揺さぶりが少なく、それ故にエバートンの守備ブロックをスライドさせて動きの遅れを誘発させるという攻略法が取れない事もあり、4-4+当たりまくるピックフォードという組み合わせの前に無力だった。
後半

ビハインドのホームチームはマズラウィに変えてマウントを投入。入れる選手の択は合っていたと思うが、下げるのがマズラウィなのは正直謎が残る。ようやくプレーの質が怪我前の水準まで戻りつつあるように見えたため、プレータイム制限をかけている訳でも無い限りドルグよりも先に彼を交代させたのは悪手では。

55分過ぎになるとカゼミロ、ドルグを下げてメイヌー、ダロトを投入。この頃になるとアウェイチームのブロックは位置が下がり完全にパーク・ザ・バスだったので、前残りのバリーに対して3CBは過剰、3-2-5ではなく2-3-5で攻め続けられる局面だった事から、ヨロかデ・リフトをアンカーに押し上げても良かったのではないかと傍から見えていると感じた。
上記のようになれば相手の中盤2枚に対してこちらは3で優位性を確保しつつ、全局面で枚数不足にならないのでアモリムの哲学を否定はしないが、特殊な状況においてはこれくらいの柔軟性は持っていてもらいたい。
なお、実際にはボールを伴って前進する力が弱い3CBのフォローでブルーノがCBラインまで降りてクウォーターバック的に振る舞っていたため、MF-DFライン間から背後へ走る選手、そしてそのスペースでボールを受けてチャンスを作る選手が居ないという最悪のサイクルとなり、行き詰まった時のバックポスト狙いのクロスも単純に質が低くゴールラインを頻繁に割る有り様。
一番得点に近付いたのはショーのクロスをジルクゼーが頭で合わせた79分のシュートだったが、これも絶好調ピックフォードに阻まれて得点とはいかず、ボックス内まで押し込んでも最後の一手が足りないというもどかしい終盤を過ごす赤い悪魔。
Jordan Pickford = world class. 🔥
— Everton (@Everton) November 25, 2025
End of debate. pic.twitter.com/u0KPYH77MZ
アディショナルタイムに入るとスパーズ戦の奇跡再現を狙ってラメンスを前に上げたCKのパワープレイを行うがそんな事が連続して起こる筈もなく、開始10分そこらで内紛で1人少なくなった相手に敗れるというあまりにも屈辱的な試合になってしまった。
データ

Standard

※エバートンのコーナーは1です。
走行距離は人数差があったので参考記録。スタッツは流石にユナイテッドが圧倒しているのだが、オンターゲットが6に留まっている点に現れているようにエバートンのゴール前をこじ開けるような得点機会は少なく、更にハイパフォーマンスのピックフォードという状況もあってノーゴールに終わってしまった。また、ポゼッション率の高い試合の方が苦戦するという継続的な現象も相変わらずであり、その場に留まり続けてボールを受けようとする選手が多すぎる点も気がかり。

Manchester United 0 - 1 Everton (November 24 2025) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com
ゴール期待値もエバートンはシュート数自体が3本だった事もあり0.16に留まっているが、一方のユナイテッドもゴールエリア内のチャンスが0だったので25本シュートを放ちながら2.27、ビッグチャンスも3回しか無く、これこそまさに相手の守備ブロックを揺さぶるような縦横に大きく動かす展開が乏しく正面で対応可能だった事、そしてインスイングクロスでバックポストを狙う際の精度不足という課題を証明している。Timing Chartを確認するとドルグを下げた後はxGの伸びがそれまでに比べて3倍程度上がっているので正直大分しんどい状況。
Man Utd 0 : 1 Everton
— markstats bot (@markstatsbot) November 24, 2025
▪ xG: 2.38 - 0.16
▪ xThreat: 2.23 - 0.78
▪ Possession: 68.8% - 31.2%
▪ Field Tilt: 77.8% - 22.2%
▪ Def Action Height: 50.6 - 34.9
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PASSING NETWORKではジルクゼーの位置がCMのラインまで下がっている点が特徴的で、ミドルサードでは確かに彼の降りる動きが機能する場面もあったのだが、代わりに前線に上がる選手が不在がちな事や10人少なく4-4-1でファーストプレスがバリー1枚だったエバートンに対しては後ろの枚数が過剰だった点など全体を通すとあまり効果的だったとも言い難い。そして、バック3が全員後ろに残っているのではなく、1枚を中盤に組み込ませるべきだった。
あとがき

何故マズラウィやダロトを差し置いて、アマドを右WBから除けてまでもドルグを左WBで使うのか、何か現場でしか分からない魅力でもあるのだろうか。構造上ただでさえ利き足サイドのWBはボールプレーの選択肢が狭まりやすい中、更に不器用なタイプを使えばそれはこうなるのも当然でしょう。