※24/25 UEFAヨーロッパリーグ 準決勝1st-Leg
アトレティック・クラブvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
サー・アレックス時代にヨーロッパリーグで2戦共に敗れたトラウマが強く残っているバスク地方の名門相手にまさかの3ゴールとクリーンシートで完勝。ほぼ決勝への切符を手中に収めたチームに称賛を送りたい。
Advantage United! ✅#MUFC || #UEL
— Manchester United (@ManUtd) May 1, 2025

【Match Review】

Starting lineup

アマドとデ・リフトがスカッドに復帰し、決勝まで行けばダロトもギリギリ間に合うかもしれないという状況。前の2人はまだフル出場できるコンディションではないとの事だが、特にアマドは場合によってはジョーカーとして起用される可能性もある。
前半

ホームのアトレティックはオーソドックスな4-2-3-1で両サイドのフルバックはユーリ・ベルチチェ、オスカル・デ・マルコスの大ベテラン2人が務める。特に後者は後にユナイテッドの一員となるアンデル・エレーラと並び12年前にホーム&アウェーで連敗した際のトラウマ的存在であり、流石にあの頃の圧倒的スピードは陰りを見せているものの今季限りで引退するとは思えないパフォーマンスを続けている。
スペインに遠征した赤い悪魔は特にELで結果を出しているCB前で動きを最小限に抑えるカゼミロ+馬車馬のように広いエリアを担当するウガルテのCMデュオを採用し、マズラウィをWBに持っていく関係上どうしても1枠空くCBにはリンデロフが収まった。
5分、後方からのボールに対して相手ゴールを背にして受けたブルーノは間接視野で周囲の状況を読み取りヒールフリックでウガルテへの絶妙なパスを通す。変則的なレイオフが成立してアトレティックの守備を崩したユナイテッドはウガルテのスルーパスにダイアゴナルランでユーリの前を取ったガルナチョが反応し、そのままボックス内へ侵入するとイェライのスライディングも素軽いフットワークで交わして先制弾、、、かと思われたが抜け出すタイミングが一瞬早くオフサイドで取り消し。形としては悪くなく上々の立ち上がりと言える。
ホームチームは押し込んだ状況ではイニャキ↔ニコのウィリアムズ兄弟間でのクロス→シュートの形を、カウンターではスペースに入って良いタイミングでボールを受けられるベレンゲルを中心とした中央打開でゴールを狙い、CFのサンナディはポストプレーに専念した。全体的に攻撃での脅威が不足していたが、これについてはラ・リーガで15得点をマークするチーム内での絶対的スコアラー、オイアン・サンセ不在があまりにも大きなダメージとなっていたのは間違いない。
破壊力に不安はあったものの、流石はバルベルデ組織的な守備の完成度は非常に高く、中盤のカウンタープレスの早さやCBの押し上げによるコンパクトなブロックの維持などでユナイテッド陣内でのボール奪取から定期的にビッグチャンスを創出した。中でもベレンゲルのインスイングクロスにイニャキが合わせた11分のヘディングは完全にユナイテッドのDF陣の反応が遅れた決定機であり、これをモノに出来なかった事がある意味では後に響いた形。
また、バルベルデを評価したい部分はチーム内で抜けた存在であるニコ・ウィリアムズにも高いプレス意識を植え付けられている点であり、17分にはスキャニングを怠ったリンデロフの緩慢さにつけ込むプレッシングから高い位置でのボール奪取及びショートカウンターを生み出した。
ただ、そのリンデロフも数分後にはイニャキの折り返しを弾き、さらにそのこぼれ球合わせたベレンゲルのゴール正面からのシュートを身体を張ってブロックしており、実質1ゴールを奪ったに等しい守備で失点を阻止する等ただでは終わらなかった点は良かった部分。
30分、FK後のセカンドボールを拾ったユナイテッド。右外に流れていたマグワイアにボールが入ると、緩急とキックフェイントで相手を剥がしていくまるでルイス・フィーゴを彷彿とさせるかのようなドリブルでハウレギサールを翻弄。ゴールライン際からクロスを上げると、ニアでウガルテが逸らしてファーポストに待つカゼミロがこのチャンスボールに応え先制はアウェイチーム!!
Maguire's trickery and finished by Casemiro 💫@ManUtd | #UEL pic.twitter.com/0PxC2grtwF
— UEFA Europa League (@EuropaLeague) May 2, 2025
試合後のインタビューで彼はウインガーとアモリムにいじられていたマグワイアだが、レスター時代から定期的にタッチライン際でのドリブルでチャンスを生み出しているので、彼自身このプレーを好んでいるのかもしれない。
アトレティックボールのキックオフで試合が再開されると、すぐさまデ・ガラレタからボールを奪ってユナイテッドはカウンターチャンスを得る。ガルナチョのサポートでオーバーラップしてきたマズラウィのクロスはGK-DF間を刺す絶妙なパスになったが、ゴール前の駆け引きでホイルンドがヴィヴィアンに引っ張られて体勢を崩しボールに触る事が出来ず。
しかし、明らかな決定機阻止の反則だったのでVARはペナルティキックを支持し、なおかつDOGSOの適用条件を満たしていた為ヴィヴィアンは一発レッドで退場処分。更に判定に抗議したユーリもイエローを提示されるなどたったワンプレーを巡り試合の状況は大きく変化した。
そして巡ってきたPKはブルーノが冷静にGKの逆をつくグラウンダーで決め、キックの前に姑息な手法で集中力を切らそうとしたサンナディの嫌がらせをモノともしない平常心の塊のような得点でユナイテッドはリードを広げる。
不 動 心 pic.twitter.com/nQ6hUOgyg9
— マンチェスター・ユナイテッド (@ManUtd_JP) May 3, 2025
ボーンマス戦では70分からAT含めておよそ30分間の恒常的な数的有利で1ゴールを奪うのが精一杯だったユナイテッドだが、2点差かつ前半のうちに相手に退場者という遥かに恵まれた今回のシチュエーションにおいては試合運びに肉体的にも精神的にも余裕が見られ、要塞サン・マメスもこの日に全くもって問題ではなかった。
45分、カゼミロからのパスをライン間に位置取りしていたウガルテがダイレクトでブルーノへはたきコンビネーションプレーが始まると、ホイルンドが身体を張って50:50のボールを収め更に再度ウガルテを経由してボールはブルーノの足元に入る。相手DFと入れ替わってDFライン背後に抜け出したキャプテンはGKアギレサバラとの1on1を制して自身2ゴール目をマーク!!
Ugarte's assist 🥵
— UEFA Europa League (@EuropaLeague) May 3, 2025
Bruno's finish 🥶@ManUtd | #UEL pic.twitter.com/tbv8X0r5AB
4月以降、ウガルテの狭い空間でのワンタッチでのパスの精度と味方との呼吸の合い方が見違えるように改善しており、前半開始から間もないオフサイドによって取り消されたガルナチョのチャンスでも彼のライン間レシーブ及びダイレクトプレーが決定機に貢献していた。カゼミロがCB前にどっしりと構えるハーフバック的立ち位置でパフォーマンスレベルを取り戻しているのと同様に、彼もまたアモリム政権での自分の輝ける場所を見つけたようだ。
アディショナルタイムにはCKからの2次攻撃でマズラウィのミドルショットがクロスバーを叩くシーンもあったが、さらなる得点は生まれず3点リードで前半終了。
後半
全くもって無理をする必要も無ければ意味もない状況なので、ユナイテッドはゲームスピードを落としながらポゼッションコントロールへ移行。時折アトレティックもウィリアムズ兄弟のスピードでカウンターの機会を作ったが真の意味で得点の脅威にはなり得ず、淡々と時間が過ぎていく。
マグワイアを下げてデ・リフトを投入したタイミングで個人的にはヨロのCB中央を試して欲しかったり、どこかでガルナチョWBを見てもらいたかった気持ちもあるものの、大きな波乱なく90分を戦い切ってくれた事が何より大事なのでそういう意味ではサン・マメス遠征は100点と言っても差し支えない内容だった。
なお、終盤にはアマドも出場。ポゼッションで3-2-5の形を取る際に今まではWBとシャドー間での臨機応変な対応に任せている面もあったが、この試合では完全にWBが大外と固定されているように見えたので、今後もそれを続ける場合は右外で高い貢献度を安定して見込める彼の復帰は非常に心強い。
データ

Standard

退場者が出たのが30分と早い時間帯だった為スタッツはユナイテッドのワンサイドになり唯一アトレティックが勝っているのはファウル数。あまりデータ的な意味の薄いゲームなので参考になる部分は多くないが、ポゼッション率7割ながらコーナーキックが5回という事でかなり慎重にボールを運んでシュートやクロスを控える傾向にあった事が伺える。
Athletic 0 : 3 Man Utd
— markstats bot (@markstatsbot) May 1, 2025
▪ xG: 0.93 - 2.31
▪ xThreat: 0.85 - 1.47
▪ Possession: 27.9% - 72.1%
▪ Field Tilt: 39.1% - 60.9%
▪ Def Action Height: 51.4 - 44.1
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markstats算出のゴール期待値はアトレティック0.93、マン・ユナイテッド2.31とやはりアウェイチームに軍配が上がった。Def Action Heightを見ていくとホームチームが51.4に対し赤い悪魔は44.1と1人多い時間が長かった割に相手よりも低いが、これはカゼミロにジャンプ(前方へのスライド)をさせないようにとアモリムが言及しているように意図的にミドル~ローブロックで構えて迎え撃つようにしているからだろう。
PASSING NETWORKでもCB前になるべく動かずにそびえるカゼミロと衛星のように動いて特にブルーノとのコンビネーションからの打開を図ったウガルテの2者の動きが分かりやすく反映されている。アトレティックとしてはヴィヴィアンの退場は勿論、ダブルピボットが想定より中盤のルーズボール争いに勝てなかった点も手痛かったかもしれない。
あとがき

仮にセカンドレグにサンセが間に合ったと仮定して背水の陣で猛烈なプレッシングをかけられた場合、3点差は完全に安心しきれるほどのリードでは無いので慎重かつ時に大胆にゴールを狙って早めに得点が欲しい。