いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #LIVMUN 】Anfieldで勝ち点獲得。今後もこのパフォーマンスを継続出来るか

※24/25 イングリッシュプレミアリーグ

リバプールvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

結果を見ると敵地アンフィールドで最大のライバル相手にシーソーゲームで勝ち点1を獲得したので大きな前進。ただ、あえて厳しい言葉をかけるが、これで満足しているようではユナイテッドが真に強いクラブに返り咲く事は無いだろう。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りリバプール
3 Endo, 9 D.Núñez, 14 F.Chiesa, 19 H.Elliott, 20 D.Jota, 21 Tsimikas, 62 Kelleher, 78 Quansah, 84 C.Bradley

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 14 Eriksen, 15 Yoro, 17 Garnacho, 18 Casemiro, 21 Antony, 43 Collyer

 

 

前半

 

首位独走中のリバプールはフラーフェンベルフ-マック・アリスターのダブルピボットにトップ下カーティス・ジョーンズのやや重めな中盤構成、アタッカーは左にガクポ右にサラーで中央にルイス・ディアスと機動力と器用さを重視したラインナップ。一方のユナイテッドは出場停止明けのブルーノをLWに起用しCMは核のウガルテとその相方にメイヌーを選び、対強豪用の本職フルバックを両ウイングバックに充てる守備面を意識した編成でスタート。

 

試合始まってすぐにわかった事はアレクサンダー=アーノルドにまつわる移籍関連の噂が概ね事実であろうという点で、ボールが来るまでの首振りや守備時の帰陣など細かな動作をとにかく怠りがちで心ここに在らず。ただでさえオンボール以外の貢献度に課題のあるタイプな上にチームへのコミットメントも低い状態なので正直敵目線からするとかなり助かった。

Embed from Getty Images  

 

更に、サラーは全くチェイスしない訳ではないものの基本的に前残りで、アーノルドはブルーノを警戒するという相手右サイドの守備の関係上、ユナイテッドはポゼッション時にダロトがフリーになりやすく、彼を上手く使えたシーンでは高確率でチャンスに繋がっていた。

 

また、WB起用がハマって大外でのウイングプレイが板につきすぎた事で却って混乱しているように見えたシャドーでのアマドについては、ハーフスペースを中心によりフレキシブルにピッチを横断しながら、時にはブルーノと入れ替わりつつより多くのボールプレーに関与して一列前での起用にも適応。

 

ボトルネックになっていたマグワイアとデリフトに関しては依然として簡単に相手を背後に入れてしまう場面が多かったものの、ボールプレーにおいて相手のベクトルを自分に向けて味方の為に時間と空間を作ろうという個人戦術の部分やライン間で起点になろうとする相手選手に対して前に出て潰す守備時の上下のフットワークなどでは指揮官の要求に応えようとする努力を感じた。

 

一方、ミドルサードでの守備では相変わらずボールとは反対側のシャドーやCMの絞りが甘く、簡単にリバプールの中盤をフリーにしてそこを起点にされるケースが目立っており、全体としてはまだ修正しなければいけない要素が多いのも確か。

 

上述したように左サイドでは比較的苦労せずにボールを前進させられたので定期的にボックス内に侵入するような攻撃に繋がり、ブルーノとダロトのコンビネーションで生み出した20分のシュートチャンスではあと数フレーム違えばアマドが頭で先制弾を決めていたかもという所までリバプールゴールに迫っている。

 

リバプールが主導権を握る展開ながら前方向への守備強度が高かった事もあってユナイテッド側もディフェンシブサードに突入される前にボールを奪い返してカウンターに繋げた機会が少なくなく、この戦いぶりを常に出来ていればウルブス戦やニューカッスル戦の無様な前半は無かったはず。

 

ホームチーム目線に立つと、ユナイテッドにより効果的なのはフォルスナイン運用のディアスより、シンプルにヌネスの身体的強さを使ったクロス多用だったのでこれは小さな失敗だったかもしれない。ポゼッションの起点は相手DFライン張り付きから瞬間的にライン間へ降りてパスを受け少ないタッチで味方に裁くディアスとジョーンズだったが、これは前線守備のサポートにCMが回り中盤のスペースが生まれやすい赤い悪魔の守備の特徴をよく研究していた結果のように見える。

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両チームともに前半はリスクを冒さず相手のエラーを待ちながらという事もありそれほど得点機会の数は増えず、リバプール8本、ユナイテッド6本というシュート数で45分を終えた。

 

 

後半

 

これまでのリバプール戦と違うのはユナイテッドが5バックベースで相手LBロバートソンのオーバーラップ及びウイング化に対して人員を割けずにフリーにしてしまう事が少なく、逆に前半の項で触れたダロト vs TAAのようにこちら側がサイドでの配置的優位性を押し付ける形になった点。毎回この対戦ではロバートソンから崩されるのがお決まりだったのでこの変化は興味深い。

 

52分、左大外でボールを受けたダロトがいわゆる反発ステップでアーノルドを剥がして深い位置までボールを運びクロス。これはファン・ダイクに弾かれたものの、直ぐに切り替えてその後のリバプールのボール保持にプレッシャーをかけ、低い位置からサラーへの斜めのパスを狙ったアーノルドのパスをリチャが読みきってインターセプト

 

そのまま前線に参加したリチャは一旦ブルーノへボールを預け、大外から4人の相手の注目を集めて横方向にゆっくりとドリブルしていくキャプテンは全員の意識がゴール正面方向へ向いた一瞬の隙をついてラインブレイクを狙うリチャへ針の穴を通すようなスルーパスを送った。

 

ニアポケットで抜け出したリチャは角度的にはそこしか可能性が無いという相手GKの肩上をぶち抜くパワーショットで名手アリソンの防波堤を突破、先制したのはアウェイのユナイテッド!!

 

別視点のカメラを見ると、ボールホルダーのアーノルドに前から猛烈に寄せるブルーノ、近場のコースを潰すダロト,メイヌー,ウガルテの4人でリスキーなパスかクリアの2択を迫らせており、ここにリチャも積極的に迎撃したユニットとしてのプレス網が得点を生み出しており、全ての始まりは守備からというセオリーを改めて実感させられる。

 

分かりやすくチームの状態を見るバロメーターとして自分たちのCKが防がれた後の帰陣速度とスプリントする人数が該当すると個人的には考えているが、この日のユナイテッドは57分のコーナーのようにチーム全体としてハードワークを厭わない献身性が高く、要所で走り負けしない試合を見るのは久しぶり。

 

しかし、クリアボールの蹴り先や優先順位というディテールはまだ修正されておらず、59分にはリバプールFKを一旦は凌いだものの、ウガルテが中央にクリアしてしまった事で2次攻撃が始まり、マック・アリスターとの阿吽の呼吸から外→内のダイアゴナルランでスルーパスに反応したガクポがシュートフェイントでデ・リフトを交わし、そのまま右足のコントロールショットでファー上に同点弾を撃ち込む。

 守備側は自分の背中にマークする相手を入れない、もっといえばボールとマークを出来るだけ視界に入れ続けながらプレーするという基本の大切さを痛感する失点でもあり、ガクポのオフ・ザ・ボールのそつのなさには改めて感銘を受けた。

 

試合が振り出しに戻ってすぐ、リバプールはカーティス・ジョーンズに代えてダーウィン・ヌニェス、ルイス・ディアスに代えてジョタを投入。ディアスは大外である程度余裕のある所から個で仕掛けさせて最も輝く選手であり、ゴール前での瞬間的なポジショニングやリバウンドへの反応速度といったゴール前での直接的な脅威はジョタの方が勝っているのでこの交代は妥当だろう。

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67分、ここまで良いところなしだったアーノルドが右足のクロスを予想させてからフェイクを入れて左足でインスイングクロスを放り、ゴール正面でマック・アリスターが後ろ向きのままヘディングシュートを試みると、これがデ・リフトの手に当たりその場は流されたがVARはPKを支持し、主審マイケル・オリバーもこれに従いペナルティスポットを指さす。降ってわいたPKのチャンスをサラーが決めてリバプールが勝ち越し。

 

71分にはショートパスの丁寧さを欠いて相手にボールを奪われる事も少なくなかったメイヌーを下げてガルナチョを投入し、ブルーノをCMにしたので守備強度の面で少々不安になったが、ウガルテがいると相方が誰でも大きく崩れる事は無く、彼はアマドと並びチームの絶対的コアだった。

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試合の終わりも見えてきた80分、リチャ→ホイルンドへのロングフィードはコナテにクリアされたが、ルーズボールをブルーノが拾ってユナイテッドのチャンスが継続し、身体の向きで騙しながら左外に張るガルナチョへのスルーパスを通すと、造反行為とも捉えられる行動から心を入れ替えて信頼を取り戻そうとする最中の若きアタッカーのクロスをアマドがコースを狙ったグラウンダーで決めて同点に追いついた。

 

この得点シーンのキッカケになった競り合いのように、ロングボールを受ける際には中央ではなく1つ横のレーンに流れて出口になる事は今後も継続して欲しい。弾かれた後のリスク管理+リカバリーの成功率を考えても相手CBが揺さぶられず正面からアプローチできる位置取りは避けたい。

 

ユナイテッドにとって悔いがあるのは同点に追いついた後の勢いづく時間帯で勝ち越し弾を奪えなかったこと。アーノルドの不用意なプレーやポジショニングは得点後も変わらず、左サイド起点に攻め立てる。一方リバプールはようやく彼に見切りをつけてブラッドリーを投入した後はいくらかバランスが改善し、終盤は両チーム疲労もあってオープンな打ち合いに。

 

アディショナルタイムに入って97分にはユナイテッドが敵陣右サイドで得たFK後の2次展開で相手のクリアボールをリカバリーしたウガルテが前線プレス隊を一挙に剥がすラインブレイクパスでフリーになっていた味方へボールを繋ぎ、セットプレーの直後で前に残っていたマグワイアがジルクゼーの折り返しをボックス内ゴール正面最高のポジションで待っていたものの、シュートは枠を捉えずユナイテッドは千載一遇の勝ち越しチャンスを逃した。

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タッチラインの外には除けられた雪が積み重なっていたように、タフなコンディションで行われたアンフィールドでのイングランド最大のライバル対決は2-2の痛み分けで終了。

 

データ

 

Standard

 

シュート数、オンターゲット数ともにおおよそ3:2の割合でリバプールが優勢。ポゼッション率も見ても基本的にホームチーム優勢の時間が長かったが、ユナイテッドもサラー-アーノルド側の守備強度及びマークの受け渡しの部分を突いて主に左サイドから得点機会を作り出しており、2ゴール共にこちら側からの展開となった。

 

パス成功率は両チーム共に低めで、これは試合内容の最後に触れたピッチコンディションの問題にも大きく影響されている。また、ユナイテッドは無理に足元で繋ごうとせず、積極的にホイルンドへのロブパスを狙ってビルドアップで詰まる危険性を少なくした点も数値に反映されているので、必ずしもこのパーセンテージの低さをネガティブに捉える必要はないかもしれない。

 

各種データを見ていくと、なんとユナイテッドがアンフィールドで得点を決めたのは2018年12月のリーグ戦以来約6年ぶりとの事で、どれだけクラブの暗黒期が長いかというのが一発で伝わってくる悲惨さ。これを転機として次のアウェイ戦では是非とも勝利を見せて欲しい。

 

xG

 

参照:

Liverpool 2 - 2 Manchester United (January 05 2025) | EPL | 2024/2025 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値は2.86-1.67でリバプールがリード。決定機の数でも得点機会そのものの数でも上回っていたので当然の結果だが、PKの数字を引くと差は0.4ほどまで縮まるので基本的には5分に近い内容だったとも言える。

 

面白いのは、左サイドからカットインしてファー上へ決めたガクポのゴールがxg:0.05であるのに対し見た目的により厳しいシチュエーションに見えたリチャの先制弾がxg:0.12だった事。xgは2次元的にシュート地点の情報を取得するので、ゴールマウス両端との角度が狭かった前者の方がより得点難易度の高い状況という判断になったようだ。

 

 PASSING NETWORKではホイルンドの位置がとんでもなく高い場所にあるのが印象的だが、これは相手CBの背後を彼が狙ってそこに後方からのロングパスが何度も蹴られた事が大きな要因を占めていると推測される。また、アーノルドの守備対応の杜撰さに目を付けて左サイドに人数をかけて打開を狙った事もこのマッピングからは一目で分かるので、試合戦略という点ではこの試合のユナイテッドは明瞭かつ効果的でリバプールよりもうまく立ち回っていたように思う。

 

あとがき


今週はミッドウィークに試合が無く週末はアーセナルとのFAカップでまたしてもビッグマッチの予定。勿論勝利を求めたいところだが、それ以前に今回のように全員がハードワークをしつつ正しい意思決定を多く積み上げて集団としてのまとまりを継続して見せてもらいたいところだ。