※24/25 イングリッシュプレミアリーグ
マンチェスター・ユナイテッドvsノッティンガム・フォレスト戦の記事です。
試合結果は勿論、アシュワースの電撃退団のショックも合わせてとにかく気分が滅入る週末に。
A narrow defeat at Old Trafford.#MUFC || #MUNNFO
— Manchester United (@ManUtd) December 7, 2024
【Match Review】
Starting lineup
前半
ユナイテッドボールで始まったこの一戦。フォレストはムリーリョの出足の早さとイェーツのリカバリーで早々にマイボールとすると、ロングボールで陣地を進めて相手のクリアを収めたオラ・アイナが中途半端な守備対応をしたガルナチョを振り切って更にメイヌー-ウガルテ間を突破。アタッキングサードでのポゼッションへ移行したアウェイチームはこの流れでCKを獲得する。
小柄な選手が多い上にマーカーの選び方が下手で毎度の如くミスマッチが発生するユナイテッドは、試合最初のCKでリチャ-ミレンコビッチという身長差20cmの対面を作られてしまい、ニアで強烈なヘディングシュートを許しいきなりビハインドに。
The quickest goal scored by a visiting team at Old Trafford since… us last season. 😅 pic.twitter.com/aHUEgB9Udf
— Nottingham Forest (@NFFC) December 7, 2024
リチャの役割が競り合いというよりもブロック中心で体勢を崩させた所をゾーンで守るゴール前の選手たちが弾き返すというのであれば、彼はミレンコビッチの腰を抑えて飛ばせないようにするべきだろう。リプレイを注意深く見ると一応リチャの優先マークはイェーツ、ミレンコビッチにはメイヌーだったが、ユナイテッドはこのパターンで相手に縦に並ばれると毎回後手に回って簡単にシュート体勢に入られている。
更にクリア役のダロトやデ・リフトもボールに触れられておらずそもそもの守り方や各々の個人戦術など、セットプレーの課題は山積していて正直アモリムが気の毒だ。
ユナイテッドはいつも通り3-4-3で入り、これに対しフォレストは攻撃時4-2-3-1,守備時フラット4-4-2で対処。ウイングバックを見るのはジョアン・シルバとハドソン=オドイの両ウイングと定まっており、1stプレス隊のウッドとギブス=ホワイトは奪いに行くというよりも中盤へのパスコースを封鎖しながら時間をかけてサイドにボールを誘導していく事を主目的としていた。
ユナイテッドの配置を見て少々疑問に思う点は個で違いを生み出すアマドを最大化するようになっていない点。具体的には右WBに入るアマドの近辺、もっと言えばRWに起用するのは彼のボール保持で常に選択肢を増やし続けるリンクプレイヤーが妥当であり、ブルーノもオフボールは優れているが、どちらかと言えば自分が有利な状況を作る為の過程というタイプなので2人が同一サイドにいる事で反対側への配球が減少しやすい事も含めてばらけさせたいところ。
18分、デ・リフトが課題であった相手を釣り出すボールキープに取り組む様を見せて味方の動き出しを引き出しブルーノが縦パスを受けると、水平のサポートに入ったウガルテにボールを委ねレイオフの形で4枚の1stプレス隊を突破。そのまま空いたミドルサードをウガルテがドリブルで進み、アイナ-ミレンコビッチ間のギャップにパスを出すと、走りこんできたガルナチョが決定機を迎える。
残念ながら背番号17は相手GKとの1on1を決めきれなかったものの、こぼれ球が丁度ホイルンドの足元に入って赤い悪魔は同点に追いついた。
このデ・リフト→ブルーノルートは試合を通して狙っていた節があり、下手に中盤をCBの斜め外側に持っていったりしてサポートを作るよりもシャドーの上下の動きだけで済むのでローリスクかつ効果的だった。ブルーノ以外の選手もこのオフボールを積極的に取り入れてもらいたいと思う。
同点に追いついたユナイテッドだったが、セットプレー対応の杜撰さは相変わらずで、27分にはジョタ・シルバに危うく勝ち越し弾になっていたかもしれないヘディングシュートを許しており、ボールとマーカーを自然な状態で両方視野に入れる付き方が出来ないので簡単に相手をフリーにしてしまう。
一方でアウェイチームにもいくつかの問題点があり、その代表例として軽率なファウルをディフェンシブサードで頻繁に犯す事もあって定期的に得点の匂いがする位置でのFKを獲得していたユナイテッド。41分のブルーノの中距離FKはクロスバーを叩く紙一重のシュートとなったが、味方に合わせるシチュエーションではCKやオープンプレーでのクロスを含めて飛距離が出ずニアストーンに簡単にクリアされる事が多かったので、全体的にはあまり相手ゴールを脅かすようなチャンスに結びつけられなかった印象が強い。
後半
後半開始直後からギアを一段上げていったように見えたユナイテッドだが、迂闊なプレーによって出鼻をくじかれる事に。
47分、内→外のオフボールでヨロからの縦パスを受けたブルーノだが、次のフェーズで水平でのパスレシーブを想定したヨロと斜め後ろでリターンをしてもらいたかったブルーノとの思惑のズレが生じてビルドアップでボールロストが起きる。棚ぼたでボールを得たハドソン=オドイは斜めにドリブルしながらタイミングを計って中央にパスし、これを受けたギブス=ホワイトはボックス外から右足一閃。シューター目線で完全に左隅を狙ったように見えた身体の向きから、アウトサイドにかける事で中央からやや右側へ変化したトリッキーなシュートに対してオナナは体重のかけ方を誤ってエラーを犯してしまった。
前半に続いて後半も早々に
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) December 7, 2024
フォレストが追加点🌳
ギブス=ホワイトのシュートの変化に
オナナも対応できず💫
🏆プレミアリーグ 第15節#マンチェスター・U v #ノッティンガム・フォレスト
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オナナで救われた試合も直近で複数回あるのでこの失敗だけで彼を全てを否定する気にはなれない。それよりも失点のきっかけであるブルーノ-ヨロ間でのコミュニケーションエラーについて語りたい。
見た目ではブルーノのミスキックに見えなくもないこの場面だが、ヨロがボールホルダーに対して平行のパスコースを作ろうとすると後ろ向きでパスを受けているブルーノ視点で後方に逃げられる選択肢が消滅する。尚且つ水平のサポートはメイヌーに任せていい場面でもあり、味方の身体の向きを考慮すればヨロは斜め後ろでボールを受けられる態勢を作るべきだったと個人的には考えているのでどちらかと言えば彼の判断が悪かったと解釈した。
とはいえ、10代ながらゴール前に入ってくる低いボールに対する初動の早さやスローテンポなポゼッションでゆっくりとボールを前に進めながら相手のプレスを誘引して味方を楽にするキャリーの仕方などを既にクリアしているので、今回の問題に関して長期的な課題にはならないのではと楽観視している。
続いて54分、ユナイテッドの左サイドからの攻撃に対し中央に人数をかけたブロック守備でクロスを弾き返したフォレストはカウンターチャンスを得る。手数と時間をかけず右サイドにボールを動かしてジョタとギブス=ホワイトのコンビネーションでアタッキングサードへ侵入すると、一度目のクロスはデ・リフトにクリアされたがこぼれ球を回収し2度目の供給でファーサイドのクリス・ウッドがループ性のヘディングシュートを狙い見事ゴールを奪った。
フォレストが畳みかけ3点目をゲット🌳
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) December 7, 2024
ウッドは嬉しいバースデーゴールに🎂
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早いタイミングで内側に入ってしまった為に想定よりも外側に流れたボールに対処出来なかったという意味ではこの失点でもヨロの若さというのか経験値の浅さはハッキリと表れており、クロスボールに対して準備の時間を多く取れるファーサイドかつウッドとのアジリティ勝負で明確に自分に優位性がある状況を踏まえれば、ウッドの背後から立ち回ってボールとマークを両方視野に入れた状態から対処するのがベターだった。ただ、繰り返しになるがポテンシャルの高さは言うまでもないので今後も継続的にスタメン出場を続けさせてもらいたい。
2点ビハインドのユナイテッドは機能していなかったガルナチョに代えてラッシュフォードを投入し背番号10をRW、ブルーノを左へスライドさせて左右差の解消を狙う。
これが効果てきめんだったのが61分の攻撃で、ウガルテがルーズボール争いに勝利したところから左ハーフレーンのブルーノへパスが通り、ブルーノはダイレクトで逆サイドへボレーパス。
オープンスペースでボールを回収したアマドはムリーリョと背後から全力でプレスバックするネコ・ウィリアムズの2人と絶妙な距離感を保ちつつ自身へ目線を集中させ、ボックス内に入った所で鋭く切り返してゴール正面の味方のプレッシャーを薄めると、最後はブルーノがアマドからのパスにダイレクトショットで豪快に応えてボールはネットに突き刺さった!!
キャプテンが反撃の狼煙🔴
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) December 7, 2024
ブルーノ・フェルナンデス🇵🇹は
アモリム体制での初ゴール⚽
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アモリム流の要であるWBへのサイドチェンジから始まる素早い攻撃が出来たシーンであり、左サイドに今最も脅威であるアマドへ配球できる選手を置いた成果とも言える。
しかし、この後はリードを守る事に専念してウッドやギブス=ホワイトを下げピッチ上へ明確なメッセージを発信した敵将ヌーノの采配と彼のチームらしい強固なゴール前のブロックを中々突破できず、それでも最終盤にはセットプレーから何度かフォレストゴールへ迫るチャンスを作ったものの、結局同点に追いつけずにユナイテッドはホームで手痛い黒星を喫した。
データ
Standard
シュート数17本でオンターゲット7、ポゼッション7割超と表面的には文句のない試合運びだが、フォレストに11本シュートを許して3本の枠内シュートで3失点と実際には試合をコントロールしていたとは言い難い。
しかも失点のパターンが序盤のセットプレー、後半始まってすぐ自分たちのイージーなポゼッションロストから1つと数分後にクロス対応の未整備さが祟った3失点目という事で自滅だったのも不満が残る点。
なお、3バックの左で先発したリチャはこれがプレミアリーグでの50試合目だったとの事で、メモリアルを勝利で飾れなかった事は非常に残念に思うが、パス成功率93%でスローなポゼッションでは相手のプレスを誘うボールの運び方で味方のスペースを作り出すなど、左CBに彼がいるかいないかで大きくビルドアップの質が変動するため今後も健康な状態で先発出場を積み上げてもらいたい。
5️⃣0️⃣ 🆙 for Licha in the @PremierLeague.#MUFC || #PL pic.twitter.com/7JfIevpx4T
— Manchester United (@ManUtd) December 8, 2024
マンチェスター・ユナイテッドのゴール期待値は1.47、フォレストに対して0.80程度のリードがあったものの、xG0.13,0.05,0.03の3ゴールで効率よく得点を重ねたアウェイチームに屈した形。
率直に言えばポゼッション7割でxG1.47というスコア自体がそもそも物足りなく思うが、シュートを3本放って合計の期待値が0.07だったダロトは少々無鉄砲にミドルシュートを狙いすぎた感が強い。
あとがき
試合結果と同等かそれ以上に深刻なニュースが入ってきたのはこのゲームの翌日。なんとスポーツ・ディレクターのダン・アシュワースがクラブを電撃退団したとの一報が舞い込んだ。
The AthleticやManchester Evenning Newsの出した情報を端的にまとめると補強方針やテン・ハフ解任後の新監督招聘を巡ってジム・ラトクリフとの軋轢が生じ、更にアシュワースに期待されていた仕事の大半について、実際にはオマール・ベラダCEOやアシュワースのアシスタントして今夏加入していたクリストファー・ヴィヴェルが担っていたとのこと。
詳しくは別途記事にするかもしれませんが、彼の退団をキッカケに更なるクラブ内部の争いや不満の暴露がメディアに漏れ出る可能性は低くないでしょう。。。