いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #WHUMUN 】繰り返されるエラー。ゴールキーパーの刷新は不可避

※22/23 イングリッシュプレミアリーグ

ウエストハム・ユナイテッドvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

パスを出した後に動きなおすことが無くそこで終わり、プレスを一度かけたら例え交わされようが後は周りにおまかせ、といったようにプレーの連続性に欠けている事が不安定な戦績に繋がっていると個人的には考えています。

 ローブロックをまるで攻略出来ない事についても、ワイドに位置取りして相手を釣り出したり、相手選手間を裂くような斜めのオフ・ザ・ボールが乏しく、足元で受けたがる上にボールにごく近い範囲でしかプレーに関与していないという意識が悪さをしていると思う。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

ベンチ入りウエストハム
2 Ben Johnson, 8 Fornals, 10 Lanzini, 12 Downes, 13 Aréola, 14 Cornet, 18 Ings, 33 Emerson, 49 Anang

マンチェスター・ユナイテッド
5 Maguire, 9 Martial, 15 Sabitzer, 17 Fred, 20 Dalot, 25 Sancho, 31 Butland, 33 B.Williams, 49 Garnacho

 

ガルナチョが3月12日のセインツ戦以来2カ月ぶりにスカッドに復帰しベンチ入り。当初はシーズン絶望との報道もあったが、しっかりと終盤に間に合ったのは若さゆえの回復の早さも相まってのものだろうか。

 

 

前半

 

ウエストハムはライスが1人で1stプレスとDFラインの間でバランサーを担い、運動量と身体的強さを兼ね備えた彼の力もあって4-2(ライスが前でソーチェクが後ろ気味)-4のハイプレスが成立。奪った後はアントニオの突進orベンラーマのテクニカルなドリブル突破でシンプルにゴール前を目指し、背走させられる場面では付け入るスキのあるリンデロフにアントニオをぶつけて負荷を集中させていく。

 

また、ユナイテッドのCB→GKへのパスで始動するゴールキックに対しても、両ワイドの2人がハーフスペースに立って中央を切りながら外にボールが出る瞬間に素早く横方向へスライドし、身体の向きで相手を騙せないデヘアのパスを完全にライスが読んでカットした3:50~のシーンをはじめ完全に術中に嵌めている場面が幾つかあった。

 

アウェイチームは状態の悪く見るからに足が動いていないエリクセン-カゼミロの2セントラルに加え、ブルーノをLWにスライドさせるなどプラン負けしているように見えてならなかったが、ヴェフホルストのパスカットから始動した7分のカウンターでブルーノのフィニッシュが僅かにゴールポストの外へ逸れていったのはある意味分かれ目だったかもしれない。とはいえ簡単なシュートでは無かったので責める気はないが。

 

スピードにやや難のあるクレスウェルが対面という事もあって普段よりもプレーしやすかったであろうアントニーの右サイドからゴールの匂いが溢れ出ていたが、ヴェフホルストの落としに反応した10分のシーンではボックス内での好機ながらシュートは枠を捉えず、ラッシュフォードのサイドチェンジから相手3枚の目線を集めて空いたギャップにボールを入れた14分のエリクセンのシュートも枠外。GKの好守に阻まれるならまだしも、そもそも横幅7.32m×高さ2.44mの範囲に納める事すら出来ないというのは如何なものだろうか。

 

17分のユナイテッドはデヘアのアンダースローからヴェフホルストが20mほどキャリーしブルーノへ預け、そのまま囮になるようなランニングで左ハーフスペースにポケットを作ると、最後は得意の角度から仕掛けていったラッシュフォードがニアに強烈なショットを打ち込むもポスト直撃。

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フィニッシュワークには物足りなさを覚え、なおかつ個で違いを作れるタイプではないが、キープ力及び推進力,そして後ろからライン間やチャンネルを突くランニングが得意な点、そして守備面の気の利き方と献身性を考えるとヴェフホルストはトップ下でもまだ前過ぎる気がします。今のスタイルだとそれこそカゼミロがこなしているポゼッション時の4-1-4-1のアンカー等がハマるのでは?

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さて、思わぬ形で動いたこの試合ですが、ウエストハムの先制点は完全にユナイテッドの自滅。

 

ボールロスト前、後方でボールを保持している際のMFのマークを剥がしてパスを受けられる体勢を作る,または相手陣形を動かしてギャップを生み出すオフ・ザ・ボールの欠如、ショー→ラッシュフォードへDF裏を狙うロングボールを蹴る事になったが、セカンドボールに対するチーム全体の準備不足、更に中央でデュエルに連敗した事がベンラーマにボールが入った要因でしょう。

 

次に、ベンラーマ1人に対しユナイテッドのDFが3枚いながらシュートを打たれたこと。リンデロフがリトリートしながら少しでも減速させようと時間を稼いでいる事はセオリー通りですが、その際に余っているにも関わらず挟み込むように追い詰めるでもなくただそのそばを走っているだけのワン=ビサカは一体何がやりたかったのか分からない。

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最後にそれほど難しいシュートでは無かったにも関わらずファンブルしたデヘア。これはPKストップを全く期待できない所と少し共通している部分があり、シュートに対し踏み出す際に一度軸を折るように反対方向に反動をつけるのが癖になっていて反応が遅れているのが問題だと私は考えています。 失点後に芝を確認しているようにスリップしたのも理由でしょうが、そもそもシューターに対して水平に構え、外股で重心を内から外に持っていくステップならば滑る事も無かったのでは。

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中盤の選手に目を向けると、カゼミロはもしかすると筋肉系のトラブルを抱えながら試合に出ている恐れがありそう。短距離のダッシュを求められる場面で太ももを気にするような仕草を何度見せており、ここ最近の運動量低下やこれまで以上に雑になっているボールプレーもそう考えればある程度合点がいく。

 

ワン=ビサカのハーフスペースでの持ち運びからアタッキングサードに侵入した42分のある場面、アントニーのファークロスにラッシュフォードが反応したのだが、手前のエリクセンに落とせば決定機になる可能性も十分あるにも関わらず、ゴール方向にヘディングして結局GKにキャッチされてチャンスを逃している。この状況判断能力の低さを改善しなければ選手として打ち止めになってしまう気がしてならない。

引用:https://www.manutd.com
(批評、研究目的であり、著作権を侵害する意図はありません。)

 

 

後半

 

開始直後のユナイテッドのゴールキック。自分に相手のプレッシャーが向いていないにも関わらずボールを手放しショーへパスをしたデヘアの判断ミスから自陣ボックス内でアントニオにカットされる危機を招く。これではチームに勢いが付きようもない。

 

52分のウエストハム。敵陣右サイドからケーラーがロングスローで質の高いハイボールをボックス内へ送り込み、ニアでソーチェクが潰れながら頭で触りゴール前にボールが入ると、アントニオと軽く交錯したデヘアが吹っ飛ばされてそのままゴールマウスにボールが入るもファウルで得点は認められず。

 だが、競り合いにおけるデヘアの体幹の弱さはどのクラブにもセットプレーで狙われており、過去には同様のプレーからゴールを認められた事も多数あるように明らかなウィークポイント。

 

56分、ヴェフホルストのシュートはダイレクトプレーでプレッシングを交わしつつ左から右にボールを動かしながら複数の選手が絡む良いコンビネーションで、ヴェフホルスト自身の中央での散らしも効果的だったが、肝心のシュートに威力が足りず……

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そのヴェフホルストに替えてマルシャルがピッチに入ったのは57分のこと。

 スコアの生まれやすいキックオフからしばらくの時間帯を無失点で乗り越えたウエストハムは前線のプレスを弱めてミドル~ローのブロック守備に切り替え、MF-DFライン間を締めてブルーノやエリクセンを得点の脅威から遠ざけていく巧みな試合運びでアウェイチームを翻弄。

 

狭いスペースでの難しいコンビネーションやこらえ切れずに出した無謀な縦パスをカットしてからのカウンターも見事にハマっており、更にゴールキックからもパケタの華麗な反転でボーウェンのシュートがサイドネットに突き刺さる好機を作っていく。

 

ユナイテッドとしては、ブロックに綻びを作る為にも斜めの動きや相手のスライドが間に合わない速さでサイドtoサイドにボールを散らしていく必要があったが、中央とハーフスペースの人員が多すぎて外で幅を取る選手が不在になりがち(特に左サイドにボールがあるときの右大外は顕著)な事もあって中々それも実現せず。

 

アントニオのモンスターっぷりに驚愕させられたのは64分のプレー。自陣でボールを受けると、ショーとブルーノの挟み込みを突破して一気に加速し、ワン=ビサカのプロフェッショナルファウルで何とか進撃が止まったものの、そのままボックス内まで侵入されかねない迫力があった。

(正直こういう分かりやすい凄みを見せてくれる選手は好きです。彼以外にはアダマ・トラオレなんかも) 

 

73分のウエストハム。CK後の押し込み状態から、左サイドパケタのクロスに中央でフリーになっていたソーチェクが頭で合わせ強烈な一撃がポストを経由しネットに届いたもののオフサイドでゴールは認められず。パケタにパスが入る前のライスのドリブルと使うべき味方を使える視野の広さはかなり魅力的だった。

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ユナイテッドは74分にサンチョ、サビツァーを投入。マルシャルのトップ下はビルドアップ時のパスを引き出す動きやそこからの推進力という意味で効果を発揮したが、トランジション局面が余りに手薄になるので個人的にはあまりピンとこなかった。

 

また、ブルーノが右へスライドした事でRWが外に張るタイプから内側へ入るタイプへ変わったが、RBの位置取りはInverted-Wingback仕様のままなので大外を上手く使う事が出来ず、ウエストハムとしては中央を固めていれば勝手に相手がロストしてくれるので守り易かったと思う。

 

CKから、ウエストハムボックス内でソーチェクとワン=ビサカの頭同士の危険な接触があって70分台後半から80分台序盤にかけて試合がストップ。両者頭部から出血が認められたが、ワセリンを傷口に塗って復帰し大事には至らず安堵。

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終盤、マラシアとワン=ビサカの両フルバックを下げてパワープレイに出たユナイテッドはダロト-リンデロフ-カゼミロの3枚+フレッジでビルドアップを行い、6枚を高い位置に押し留めて得点を狙いに行ったが、狭い中央を強引にこじ開けようとするのでマルシャル-ラッシュフォードのコンビネーションが一度あった以外は中々得点に繋がるチャンスを作る事が出来ず。

 

アディショナルタイムにはCKからマルシャルがニアでフリーになったが、ファーへ流したボールの先には誰もおらず、勿論、枠内にシュートをして欲しかった所でもあるが、それよりもゴール前を通過する絶好球を仕留めるニアワンタッチ→ファー詰めという構造をまるで考えていなかった事自体に問題があると思う。

 

エラー絡みの失点がそのまま決勝点となった試合はウエストハムが1-0で勝利。ユナイテッドは痛恨のアウェイ連敗を喫した。

 

データ

 

Standard

 

スタッツはウエストハムがポゼッションを重視しなかった事もあってマン・ユナイテッド優勢であるものの、オンターゲットの少なさやデュエル勝率で劣った点などを考えればアイアンズとしては許容範囲に収まる程度だっただろう。

 

試合唯一のゴールを挙げたベンラーマはキーパスも3回成立させており、チャンスクリエイトに要するスペースが少ない事もあってワン=ビサカの間合いを広く取る対人重視の守備をまるで苦にせず。

 

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また、オフの移籍が噂されるライスはドリブル4/5、地上戦7/9、インターセプト4回と攻守に渡り冴えわたるプレーを継続しアウェイのファンをも魅了するパフォーマンスを見せた。

 

xG

 

参照:

West Ham 1 - 0 Manchester United (May 07 2023) | EPL | 2022/2023 | xG | Understat.com

 

xGは1.77-1.19とウエストハムがリード。ただ、そのうち1.0以上を占めた66分のアントニオの2度に渡るシュートチャンスはいずれもゴール期待値以上に難しいシチュエーション(合わせるボールのスピードや体勢など)だったので、ある程度の割引は必要。

 

逆にベンラーマのゴールはxG0.03と得点に結びつきにくいモノだっただけに、ユナイテッドとしてはやはりデヘアのエラーが重くのしかかってしまった形。

 

 

あとがき


脳を鍛えるのは難しい、成功例に挙げられるロベルト・デ・ゼルビのブライトンに関してもベースになる部分は前任のグレアム・ポッターが時間をかけて築き上げたものであり、テン・ハフはまさに基礎から作り上げている段階なのでしょう。

 これが来季になっても一向にビルドアップやアタッキングサードでの配置が整備されないとなれば話は別ですが。

 

残り4節のうちオールド・トラッフォード開催は3試合。ホーム巧者っぷりを最後まで継続出来れば自力CL圏です。

 

みっともない試合は今回を最後にしてもらいたい。