イングランドvsイタリア
あくまで個人的な意見ですが、オーレ時代を支えた中心メンバーでありながら今現在はややテン・ハフのフットボールに対応しきれていない箇所もちらほら出てきているハリー・マグワイアとルーク・ショーのマンチェスター・ユナイテッド勢。
ただ、ローブロックとショートカウンターをベースにするスリーライオンズではクロスを悉く跳ね返すマグワイアの競り合いやショーのサイドから個でボックス付近まで持っていける推進力が重宝されて不動のスタメンとして起用されてきました。
〈ハイライト〉
しかしながら、マグワイアは低い位置でのポゼッション下のエラーから失点の原因を作り、ショーはスローイン時の遅延行為(判定が厳し過ぎるが少し前にウォーカーも同様の貰い方をしていたので警戒すべきだった)で一枚目のカードを提示された直後に接触プレー2枚目を貰い退場とイタリア代表とのビッグゲームでは2人に対するガレス・サウスゲートの信頼も崩れかねない結果に。
ラインナップとしては上記画像の通りで4-1-2-3のミラー。
イングランドはボールキャリーの得意な選手が多く、更に守→攻のトランジションで相手を上回っていたのでカウンターを中心にゴールを脅かす。13分という早い段階でセットプレーから先制した事もあってプラン通りのゲーム運びとなったが、ポゼッション局面での配置やオフ・ザ・ボールにはやや課題も。
守備時の1-4(前線からカウント)の2ラインを突破されるとライス1人で広大なエリアを担当せざるを得なかったが、それでもパンクすることなく役割をこなした彼には称賛の声を送りたい。
イタリアとしてはイングランドの得意なトランジションゲームに付き合ってしまった面もあって主導権を奪う事が出来ず。スピナッツォーラが高い位置を取る事で左サイドはマークのズレから良い形の攻撃を生み出したが、逆側はバレッラやジョルジーニョに苦し紛れのパスが入る事も多く、そこからのロストで失点に繋がるようなピンチを幾度も招いた。初召集のマテオ・レテギ(アルゼンチンリーグでプレーする23歳のストライカー)がデビュー戦で得点を奪ったのは収穫ですが、ホームでイングランドに負けたショックはそれを遥かに上回る。
日本vsウルグアイ
カタールW杯で主軸としてプレーした30歳以上の選手を招集せず、LASKの中村敬斗やフルバックの次世代戦力として期待される半田陸など2000年代生まれの選手を積極的に招集した日本代表。そんな新生サムライブルーへの関心が殆どであろう中、私としてはウルグアイ代表の一員として来日したファクンド・ぺリストリに注目してこの親善試合を見ていました。
発表ではウルグアイは4-3-3スタートでしたが、実際はバルベルデが一列前にいる4-2-3-1,日本のミラー配置になっているように見えた。
ペリストリは得意の右ウイングで先発、スピードを活かした縦の突破で瀬古のイエローカードを誘い守備でも三笘のカウンターを未然に防ぐなど良いプレーも多かったが、より高い水準を求めるならば流れの中で左サイドに移動していた際にカットインやペナルティボックス付近からのゴールへ向かう軌道のクロス等でボールプレーの選択肢が広がっている事をアピールして欲しかった。
親善試合という事もあってバチバチの内容では無く、W杯後最初の公式戦という事もあって4年後を見据えた試験的な意味を多分に含んでいたこのゲーム。スタートはRW堂安でしたが、恐らく右伊東,左三笘がベストで森保監督もそれを重視すると私は踏んでいるのでその形をベースに他の役割を見ていく。
左は三笘に外で幅を取らせて伊藤洋輝が内側へ、深い位置では空いたハーフスペースを守田が使用する形でしたが、伊藤はこの使い方をするに当たってベストの答えでは無いだろうというのが分かったところでしょう。
RBの菅原も良さが出たのは大外でプレーしている時が多く、ビルドアップにおいて板倉との縦横の距離感で戸惑いながらプレーしている素振りが見られた。Inverted-Wingbackをチームに組み込むにはまだまだ時間がかかるだろうというのが今思う率直な感想。
また、CB2枚でビルドアップを行おうとした日本に対しウルグアイがマキシ・ゴメス+バルベルデの2枚でマンツーマン気味にプレスを行ってきた事を察知して遠藤航が最終ラインに降りて3枚目を形成していましたが、ミドルレンジの配球とプレッシングをいなす足元の技術が優れていないと後ろ2の組み立ては直ぐに詰まってしまうので、守備強度が高い同格以上の相手に対しては始めから遠藤をCB間に入れた3-2ビルドにしてしまった方がやり易そうな雰囲気。
オーストリアvsアゼルバイジャン
このカード自体に特別なものはありませんが、丁度直近のユナイテッドの試合の記事で触れた事柄について、その推測に信憑性を持たせるような結果が出たので振り返っていきたい。
〈ハイライト(サビツァーの得点関与)〉
ラルフ・ラングニックの4-4-2、左のCM(流れの中でヴィマ―と入れ替わる事はある)で先発したサビツァー。
この試合のチームスタッツを見ると25本のシュートを記録しながらポゼッションは52%止まりである事にも表れているように、ロングボールも多用し混沌を自ら作り出してトランジションゲームの中から強度の違いで得点を奪うラングニックのスタイルにそもそもかなり適合する選手である事もこの大活躍の理由ですが、バックスピンやカーブよりもナックルや縦回転のキックが得意であったり、フィニッシュワークの落ち着きを見るとポゼッションフットボール下ではセントラルMFよりもその1つ前かストライカーの位置で使うのが最も彼を輝かせられる起用法でしょう。
ただ、彼自身の特性とチーム内での需要は全くもって別の話。現スカッドで言えば丁度中盤資質の高そうなヴェフホルストがいるので2者を入れ替えたら良さそうな具合に見えるものの、彼らの買い取りOP行使を含め来期以降を考えると
- カゼミロとポジション争いが出来るアンカー
- テンポをスローに落とせて且つ低い位置でのプレッシングを回避できるボールスキルを持つプレイメイカー
- 組み立てにも関与できるコンプリートFW(高い稼働率を期待できる事が条件)
パッと思い浮かぶ中でもこのような資質を持つ選手の補強が必要になるので、25人のシニア登録枠を想像していくとローン加入の選手の両方を来季のメンバーに加えるというのは難しい。どちらも愛着を持てるキャラクターなので非常に心惜しいが……