いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #LIVMUN 】木端微塵。投げやり・怠惰なプレーは伝染していく

※22/23 イングリッシュプレミアリーグ

リバプールvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

悪い意味での運命の分かれ目になってもおかしくはない位に肉体的にも精神的にも完膚なきまでに叩きのめされた3月5日のアンフィールド

 

 前半の内容は巷で言われている程最悪でも無かったと思いますが、折り返し早々の連続失点ではまだ巻き返せる点差にも関わらず諦観しているような選手が見受けられ、徐々にそれが他の選手にも伝染していったように感じます。最後まで試合に留まり続けたヴァランやダロトのメンタル面での強さは数少ない光。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りリバプール
7 Milner, 9 Firmino, 17 C.Jones, 20 D.Jota, 21 Tsimikas, 28 F.Carvalho, 32 Matip, 43 Bajčetić, 62 C.Kelleher

マンチェスター・ユナイテッド
5 Maguire, 12 Malacia, 15 Sabitzer, 22 Heaton, 25 Sancho, 29 Wan-Bissaka, 36 Elanga, 39 McTominay, 49 Garnacho

 

 

前半

 

ブルーノを左に置いた4-2-3-1。アレクサンダー=アーノルドにラッシュフォードを直接ぶつけてローブロックからのカウンターを予想していたので若干面を食らうところもありましたが、恐らく試合数の差や直近のパフォーマンスを見てリバプールにフィジカル面で勝負するのは厳しいという見立てだったのかも。

 

この配置はポゼッションの中で右サイドでタメを作り、ブルーノやラッシュフォードがフィニッシャーになるような中身だと思いますが、実際にはトランジションゲームに付き合わされた形。

 

更にアントニーがファン・ダイクを見る事で1つずつズレていく右のマッチアップに対応出来ず、普段は2センターの右、アンカーでもそちらをケアしている事が多いカゼミロがサラー&TAA対策なのか反対側にいた事もマイナスに作用し、ロバートソンへのマークにダロトが前へ出た際の裏を埋める動きが遅れがちになる。

 

それでも、体力がある内は五分とまでは行かなくてもそれに近い形でユナイテッドにも得点チャンスがあり、中でもロバートソン-ガクポ間へのフレッジのパスからダロトのマイナスのクロスにブルーノがダイビングヘッドで合わせた26分のチャンスは右でタメを作って左で仕留めるというスターティングラインナップの狙い通りの良い攻撃だったと思います。

 

3試合続けてのカゼミロのオフサイドによって取り消された幻のゴールの後、リバプール最後方からのビルドアップから、まずはラッシュフォードの寄せとコース切りが不十分でアリソンやファン・ダイクにロングフィードを許し前線のプレスを交わされると、ロバートソンに対応したダロトが空けたスペースをガクポが内→外のダイアゴナルランで突く。カバーに入ったフレッジはボールが蹴られる前に外にあっさりと釣りだされ背中にスルーパスを通された後はガクポの見事なフィニッシュワークに屈し失点。

 

外の選手にボールが出そうな状況で守る際、ゴールに近いスペースは絶対に空けずパスが出てから寄せていくのは当然のセオリーであり、ここまでインテリジェンスに欠けたプレーを見せられるとやはりフレッジという選手に対しての限界を感じてしまう。それ以外に関しても感覚頼りでプレーしているのではないかという場面が多すぎる。

 

 

後半

 

開始間もない47分、ビルドアップの所でショーがタッチライン近くで捕まり、その後もフィフティフィフティのボールを奪い切れず最後はサラーのクロスにダルウィン・ヌニェスが詰めて痛恨の失点。

Embed from Getty Images  

 

ヴァランが前に運びながら味方の動きを促し一時的にリチャが中央で1枚になりましたが、リチャにボールが入る事を見越して,悪くても入った後にはショーがボックス幅でパスコースになるような位置取りをする必要があった。

 ショーのビルドアップはボールを受けた後の素晴らしいキャリー能力の印象で絶賛されていますが、このようにラインに近い所で自ら逃げ場を失うような位置取りをするケースが目立ち、立ち回り部分ではそつがないマラシアを見習うべき部分が多い。

 

50分には早めのロングフィードで左サイド深い位置に侵入し、ブルーノがキックフェイントからのグラウンダーで中の選手を狙うもののヘンダーソンにカットされ、押し込んだ際の後ろの配置、カウンター対策が杜撰になっていた所を突かれてサラーにオープンなチャンスを許すと、ハーフスペースへ走り込むガクポに後を託しオランダ代表アタッカーは角度の無い所からファーサイドのサイドネットにボールを届けてこの日2点目。

Embed from Getty Images  

 

ポジショニングが外に寄り過ぎてガクポにあっさり背中を取られたショー、シューターに対し正面に構えられず。尚且つ身体を大きく見せるような姿勢を取れなかったデヘアの対応の悪さが個人的には目についた。ショーに至っては2点目に引き続き致命的な守備が続きゲームが決まってしまう大きな要因に……

 

ここから後の顛末については戦う事を辞めた者、感情のままに雑なプレーを行うようになった者、自身の不用意なロストにもかかわらずトランジションをサボって失点を招いた者etc... マトモなゲーム展開では無かったので細部は触れるつもりは無いが、まだ僅かに可能性の残っているスコアで早々に諦めたピッチ上の大半の選手に対しては正直失望を抑える事が出来ない。

 

この嫌な雰囲気は交代で入った選手にすら伝播し始め、特に若いガルナチョなどは影響を受けやすかったか、もしくはアーノルドとの1on1で勝てなかったフラストレーションもあったかもしれないが、途中出場組の中では顕著に攻撃→守備の切り替えで手を抜いていた。

 

最後まで心に灯がともっていたのはGKのカバーリングに入っていたダロト、味方を鼓舞する声を止めなかったヴァランなど本当に極少数の選手で、全ての失点を見るとそれが良く分かると思う。

 

実際、ブルーノですら大勢が決まった後には普段なら絶対にしないであろう不貞腐れるような見せてはならない守備を行っている。感情がプレーに悪影響を及ぼしているのだろうというプレーは以前より度々顔を覗かせていますが、彼が頂点を取る為にはアンガーマネジメントが必要なのではと改めて感じる。

 

データ

 

Standard

 

シュート数18:8、枠内シュート数8:4というスタッツだけ見ればここまで一方的なスコアになったゲームとは到底気付かないでしょう。正直リバプールは上振れ、ユナイテッドは下振れだったとはいえ、オンターゲット8本中7本を得点に結びつけられてしまった事に関しては重く受け止める必要がある。

 

GKのボールプレーを比較するとアリソンはパス成功率75%、デヘアは50%と差を付けられており、相手が強くなればなるほどキーパーのプレッシング回避能力が試合に与える影響は大きくなりやすい。そして、それ以上に問題なのがクロスボールに対し消極的なアプローチを繰り返している事で、ボールに怯えているような仕草という部分では角度の付いたシュートブロック時に身体を捻り縮めるような体勢を取る癖がこの試合では何度か出てしまった。

 

また、地上戦2/10と勝率が著しく悪かったアントニーについても、普段よりプレッシャーを交わされた後の帰陣、或いは2次プレスが緩く、4点目の致命的なロスト以降は完全に気持ちが切れているようにも見えた。これは自身のエラーで試合が決まったに等しいショーにも同様の事が指摘できる。

 

 

xG

 

参照:

Liverpool 7 - 0 Manchester United (March 05 2023) | EPL | 2022/2023 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値は3.44 - 0.84。押し込んでいる際の守備のリスク管理が脆弱で、尚且つディフレクションが悉くリバプール有利の跳ね返り方をして得点にも影響が甚大だった点を踏まえると、細かい部分に違いはあれど2020年10月のアストン・ヴィラ - リバプール(7-2ヴィランズ勝利)に似たゲームだったかもしれない。

 

ホームチームの3トップは2得点ずつ分け合ったが、いずれも期待値を上回る結果で技術的にもこの日は非常に冴えていたのだろう。特にガクポの先制点は場面を考えずボールに食いついてくるマーカー(フレッジ)の癖を完璧に理解していたのではないかというクレバーなオフザボールだった。

 

 

あとがき

 

ブルーノのサイド起用が良い悪いという単純な話ではなく、ポゼッションゲームを念頭に置いた配置にしながら結局コートを行き来する忙しない展開にしてしまったゲーム運びが問題であるという認識。

 カウンターや高い位置で奪ってからの少ない手数で得点を奪ってきた期間が長く、未だにペースを緩くするのが本当に苦手なチームなので、相手が強くなって余裕が無くなるとどうしてもこうなりがちです。

 

次の試合は日本時間3月10日早朝5:00キックオフのヨーロッパリーグ ベティス戦。アンフィールドでの失態から何処まで修正出来るかどうかで今後のシーズンが天国にも地獄にもなり得る、明暗を分ける大事な1戦になるでしょう。