マンチェスター・ユナイテッドvsニューカッスル・ユナイテッド戦の記事です。
16/17シーズン以来となるトロフィーを手にしたエリック・テン・ハフ率いるマンチェスター・ユナイテッド。週中にはウエストハムとのFAカップ5回戦も控えているように相変わらずタフな日程が続きますが、今しばらくは勝利の余韻に浸って欲しい。
🗣 "WE'RE MAN UTD AND WE'RE NEVER GONNA STOP!" ❤️#MUFC || #CarabaoCup
— Manchester United (@ManUtd) February 26, 2023
本当によくやってくれました!
【Match Review】
Starting lineup
前半
ニューカッスルはお馴染みのトリッピアーを前に押し上げた3-1-3-3のようなボール保持の陣形を採用し、ネガティブトランジションがそこまで早い訳ではない(早い時もあるがムラッ気)ラッシュフォードのサイドから瞬間的な2on1を作って奪った後の素早いカウンターや、ダイレクトプレーで揺さぶってからのクロスで試合の主導権を握る。
出場停止から戻ってきたギマランイスの散らしやキープ力があるとプレッシング耐性が大幅に上がるので全く違うチームになります。更に、ボットマン-シェア-バーンの3ユニットは上背があって空中戦に滅法強く、サイドにボールが入った際にも左右のCMのサポートが速いのでマン・ユナイテッド視点で言えば非常に難しい試合の立ち上がりを強いられた。
ユナイテッドはルーズボールを回収してからのカウンターやボールプレーのもたつきが見られたバーンからボールを刈り取った後のアントニーの持ち運びがアタッキングサードへの主な侵入パターンで、逆三角形のニューカッスル中盤に対応する形で中盤はフレッジ-カゼミロの2DMスタイルに。
ダロト - サン=マクシマンの1on1はタッチライン近くではスライディングタックルで対峙できるのでよくやっていたものの、1つ中で受けられた際は後者の切り返しの深さや加速力に置いていかれる事もあり、全体的には劣勢。
ゲームが動いたのは左サイドからのユナイテッドのフリーキック。
ラッシュフォードがトリッピアーとギマランイスに挟まれる形ながらボールを失わず、ファウルを勝ち取った事で得たこのチャンスに応えたのは中盤でのルーズボール争いに奮闘していたカゼミロ!!
Drink it in ❤️
— Manchester United (@ManUtd) February 27, 2023
💥 @Casemiro#MUFC || #CarabaoCup pic.twitter.com/bKdv2aIoC2
オフサイドラインギリギリを抜け出したカゼミロのセンスと、GKが出るには遠くマーカーがクリアし辛い斜め後ろの対応を迫られる絶妙なボールを届けたショーの美しい共演が苦しい時間帯を過ごすチームを救った。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) February 27, 2023
タイトルを手繰り寄せた
カゼミーロのヘッド💥
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🏆カラバオカップ決勝
🆚マンチェスター・U×ニューカッスル
📺 #DAZN 見逃し配信中 pic.twitter.com/vZg0gxadyY
更に先制点の6分後にはデヘアのゴールキックからの空中合戦を制し、ヴェフホルストとのコンビネーションでシェアの背後を取ったラッシュフォードのシュートが足を出すボットマンにディフレクトしてそのままGKカリウスの上を越えて追加点。下記Tweetにもあるように一度試合途中でオウンゴールとされたが、後にラッシュフォードの得点と認められ攻撃側守備側双方にとって納得の結果に落ち着いた。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) February 27, 2023
大事な場面で決めきる男👉😎
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オウンゴール判定となったものの
絶好調ラッシュフォードが大舞台で魅せた👋
🏆カラバオカップ決勝
🆚マンチェスター・U×ニューカッスル
📺 #DAZN 見逃し配信中 pic.twitter.com/SQh1E05ZMY
ボールタッチ幅を変える事で減速しつつ味方の抜け出しに合わせるヴェフホルストの配球側としての才能も光ったゴールだが、それ以上に気になったラッシュフォードのheel-to-heel flick(本人の表現より)はどうやら狙ったやったものらしく、何処まで高みに上り続けるのか楽しみでもあり末恐ろしいとすら思う。
It was a heel-to-heel flick but in the air 🫡🤭 https://t.co/pMNfc2aOKr
— Marcus Rashford (@MarcusRashford) February 27, 2023
後半
ハーフタイムの交代はそれぞれ1名ずつでマン・ユナイテッドはダロト🔁ワン=ビサカ、ニューカッスルはロングスタッフ🔁イサクでシステムを4-2-3-1へ変更。
CFとして獲得されたと考えられるイサクだが、このようにシャドーストライカー起用でもボールタッチの柔らかさや推進力があるので十分こなせるようだ。
アントニーに関して少し気になっているのはミドルシュートを選択した際に威力無くゴールキーパー正面に吸い込まれる回数の多さで、後半始まってすぐのチャンスでも右斜めから絶好の機会を迎えたがやはりカリウスの懐へ収まる。もう少し近い位置ならばあのようなコントロールショットがむしろ良いのだが、多少レンジがある時にはパワー重視の蹴り方が好ましい。
ユナイテッドの守りは相手の変化に合わせてカゼミロアンカー+前にフレッジ-ブルーノという配置に変化した。イサクが低い位置で受けた後の持ち運びに当初苦しんだが、アタッキングサードに押し込んだ際のポジショニングやサポートはあまり良くなかったので、マクシマン vs ワン=ビサカの1on1で優位だった事も込みで見た目上のスタッツ程劣勢には感じなかった。
トリッピアーの放り込みからボックス内でセカンドボールを拾われジョエリントンのシュートに至った68分の一連のプレーはリチャが紙一重のシュートブロックで凌ぐ。ニューカッスルがパワープレーをもっと増やしていた場合は危なかったかもしれない。
70分の2人替えを経た配置は以下の通り。
それまで手を付けなかった可変への対応としてブルーノを左に回し守備面でのサポートを入れ、フレッジに替えて似たタイプながらコンタクトプレーへの耐性で上回るサビツァー投入によって3点目というよりはこの2点リードを守り切りたいという選手交代。
投入されたばかりのサビツァーはシェアの持ち運びをスライディングタックルで奪いとり、ラッシュフォードへのスルーパスを通すなどオープンになった試合にすぐさまフィットした。
78分にはボットマン→マクシマンへの高精度のロングフィードが入りカウンターを食らいそうな場面で珍しくデヘアがボックスから大きく出てボールを処理。栄えある決勝の舞台でクリーンシートのクラブ記録を更新した背番号1だが、この日のパフォーマンスはハイクロス処理等普段物足りなさを覚える部分でも良くやっていたと思う。
⭐️ In a league of his own ⭐️@D_DeGea has now kept the most clean sheets in United history 🤯⛔️#MUFC pic.twitter.com/i1bYPwNQEK
— Manchester United (@ManUtd) February 26, 2023
88分には途中出場ジェイコブ・マーフィーのアウトにかけたバナナカーブが曲がり過ぎて枠外、アディショナルタイムにはニューカッスルの左サイドからのFKでジョエリントンのスライスさせるようなヘディングシュートが枠を捉えたがこちらはデヘアが外にはじき出して失点危機を凌ぐ。
マクトミネイのボール奪取から生まれた3点目のチャンスは逃したが、最後はコーナーフラッグにボールを集めしっかりと時間を稼いでニューカッスルに攻撃機会を与えず、2-0の完封勝利でマンチェスター・ユナイテッドが22/23シーズンのカラバオカップ王者に輝いた!
THESE SCENES 🔥#MUFC || #CarabaoCup pic.twitter.com/xqjtUj0HU6
— Manchester United (@ManUtd) February 26, 2023
データ
Standard
シュート数14:15、ポゼッションもおよそ40:60でマンチェスター・ユナイテッドとしてはミッドウィークのバルセロナと同等かあるいはそれ以上に苦しんだゲーム。最終的にイエローカードが両クラブ合わせて9枚にのぼった所を見ても非常に球際の激しいタフな試合であった事に疑いの余地はない。
ニューカッスル右サイドの可変に対処するのが遅れたのが1つ、もう1つはサン=マクシマンの個人技に苦しめられたところも大きく、フレッジやカゼミロのパス成功率が50%台である事にも表れているように相手の守備はアグレッシブかつタイトで中々思うようにボールを繋いでいく事は出来なかった。
それでもセットプレーとショートカウンターで前半の内に2ゴールを奪った点に今のチームの強さがあり、中でも今シーズン5得点目となる決勝弾を挙げたカゼミロはその才覚は守備に留まらず攻撃でも脅威になると改めて示した。加入前はここまでのオールラウンダーだとは分思っていなかったので、正直大分過小評価していた気がします……
ホームでの無敗記録を18に伸ばしたユナイテッドは2023年の公式戦16試合で37ゴール13失点(1試合辺り2.3G,0.8GA)と明らかな内容の良化が認められ、戦績も12勝3分け1敗と終盤の失点で勝ち越しを許したアーセナル戦以外では負けが無い。
タイトルを手にしたい勢いを持ってリーグ戦では上位2チームを飲み込み、カップ戦でも更にトロフィーの数を増やしていってもらいたい
Man Utd 2 : 0 Newcastle
— markstats bot (@markstatsbot) February 26, 2023
▪ xG: 0.81 - 0.72
▪ xThreat: 0.84 - 1.29
▪ Possession: 38.8% - 61.2%
▪ Field Tilt: 35.0% - 65.0%
▪ Def Line Height: 36.5 - 40.9 pic.twitter.com/1BjoO57iOG
合計29本のシュートが放たれた試合ながら両クラブのゴール期待値は1.0を下回るというロースコアの決着で、いわゆるビッグチャンスと言われるようなxGの高いシーンは90分を通して1度も無かった。そういう意味で2チームの守備面は共にカップファイナルらしい引き締まった良い内容と言えるのかもしれない。
あとがき
(少々トラブルがあって投稿が遅れました😥)
フィールドプレイヤーは万全の状態のニューカッスルに対して押されたとはいえ2点差での勝利は順位争いのライバルでもある相手に対し精神面で優位に立つに十分なものだったと個人的に思っています。
日本時間3月2日木曜早朝キックオフのウエストハムとのFAカップ5回戦は多少のターンオーバーをしたいところですが、先週のリーグ戦でフォレストを4-0で下し勢いづいたアイアンズの状態はそれを許してくれなさそう……