全くもってメイソンショックから立ち直れない(続報にて出てきた単語に更に心を痛める)筆者ですが、マンチェスター・ユナイテッド2022年1月の冬の移籍市場について今回は振り返っていきます。
9名が新たなクラブへ(うち8人はローン)
加入→なし
放出→9名
ディロン・フーゲワーフ(ボルシアMGへ完全移籍)
テデン・メンギ(バーミンガム・シティへ期限付き移籍)
マチェイ・コヴァール(バートン・アルビオンへ期限付き移籍)※
※は再ローンの選手
経緯については上記の公式サイトによる移籍市場総括にて紹介されているので、このブログではその移籍が選手に与える影響という面を中心に見ていこうと思います。
ピックアップするのは
- トゥアンゼベ
- アマド
- マルシャル
- レアード
- ファン・デ・ベーク
この5名。
まずはマルシャル。
ほんの2季前、コロナの影響で変則シーズンだったので1年半前にはPK抜きでリーグ戦17ゴールを記録し押しも押されもせぬ大エースだった彼。
圧倒的なオンボールの才能に反比例するかの如く守備面での弱さがネックとなり、得点ペースが落ちた事も致命的となってスペインの地で再起を図りますが、少し前の記事の通りリーグのスタイルやチームの特徴との親和性は高いように見られ、ハマれば半シーズンで二桁ゴールも夢ではないと個人的に期待しています。
アマドはスティーブン・ジェラードが11月に引き抜かれて以降もジオことジオバニ・ファン・ブロンク・ホルスト新監督の指揮下で宿敵セルティックとの激烈な首位争いを演じるレンジャーズへ加入。
デビュー戦となったロス・カウンティ戦ではジョー・アリボのDFとGKを割る完璧なパスで開始5分で初ゴール。チームは手痛いドローを喫しましたが、彼個人としては順調なスタートを切っています。
ラルフ・ラングニックの招聘と共に、ハイラインハイプレスへの傾倒を更に強める事が推測される今後数年のユナイテッド。ラルフと同系統のフットボール志向に分類されるユルゲン・クロップ流を監督になって実践した前指揮官の思想が残る今のレンジャーズは、スタイル面でもこちらに帰ってきた時に滞りなくチームにフィット出来る可能性が高いので良い移籍先だと思います。
ドニー・ファン・デ・ベークはゴタゴタの21/22シーズンを送り1月中旬にはラファ・ベニテスが解任され、後任に前チェルシー指揮官フランク・ランパードが就任したトフィーズへ。
Donny van de Beek is a Blue! 🔵✍️ pic.twitter.com/Aiv8PfFT3Z
— Everton (@Everton) January 31, 2022
昨夏もマルセル・ブランズ前DoFがアプローチを試みローンでの獲得を希望したものの、成立しなかったこの取引。
そのブランズが去り、ブランズとの主権争いに一度は勝利したベニテスも成績不振で追われるなどシーズン開始前の所属選手の逮捕から始まりピッチ外での騒動ばかりが注目を集めている今季のエバートン。
ロングボールを多用し攻撃は前線,特にデマレイ・グレイ依存が日に日に高まっていたベニテスからポゼッション志向でチェルシーではメイソン・マウント、リース・ジェームズらを一人前に育て上げたランパードに変わり、スタメン競争が1から始まるタイミングに加わったのは現時点で良い悪いどちらに転ぶか全く想像もつきません。
コーチングスタイルで言えばランパードの方がドニーとの相性が良いように感じますが、クラブは彼に続けてスパーズからデレ・アリの完全移籍での獲得も発表。ドゥクレ、アラン、アンドレ・ゴメスと既存の中盤もポテンシャルの高い選手が揃っているので、正直に言えば同じくローンの噂が根強くあったパトリック・ヴィエラのイーグルスの方が適していたようにも考えられる。
アクセル・トゥアンゼベは18/19以来の加入となったアストンヴィラを半年で離れ今度は国外、イタリアセリエAのSSCナポリへ再ローン。
✍️ Welcome Axel👋
— Official SSC Napoli (@sscnapoli) January 8, 2022
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💙 #ForzaNapoliSempre pic.twitter.com/29gDNkiNNV
スピード、フィジカルコンタクト、ハイボール、そしてキャプテンシーとCBに求められる能力をどれも高い基準で備えている彼が将来のユナイテッドのCBリーダーに違いない、そう私は今でも高く評価していますが、中々巡合わせが悪くプロフットボールでは苦渋を飲まされる時間が続いています。
そして、ヴィランズでも序盤はタイロン・ミングスやエズリ・コンサの離脱で序盤やスタメンが多かったものの、彼らが復帰するのと共にベンチ生活が定着。新監督が00年代リバプールの象徴ジェラードになった事もこの短期間の移籍に関連したと見るメディアもありますが、心機一転、イタリアの地でACミランのフィカヨ・トモリのようなブレイクを果たしてくれる事を願っています!!
ドンズでの師弟関係を継続する形で夏のマーケットではラッセル・マーティンのスワンズに加入したイーサン・レアード。リーグOneからチャンピオンシップにコンペティションが上がってもその攻撃力は健在でスウォンジーでもWBながらチャンスメイクを担っていた彼ですが、1月初旬に急転直下ボーンマスへのローン先変更が発表。
Two days, two signings ✅
— AFC Bournemouth 🍒 (@afcbournemouth) January 6, 2022
A warm welcome to the latest #afcb addition, @EthanLaird ✍️
皮肉なことに、彼を失ったスウォンジーがここ2ヶ月でリーグ戦1勝2分け5敗と急激な成績悪化を遂げている事でその影響力の大きさが証明される事になったわけですが、そんなレアードに続きキーファー・ムーア、トッド・キャントウェル、ナット・フィリップス、ロビー・ブレイディら総勢9名とプレミア昇格に向けてチャンピオンシップのクラブでは1月の移籍市場で最も豪華と言える大補強を行ったチェリーズ。
新たなボス スコット・パーカーによれば"現在「特定不能の怪我」に苦しみデビューが遅れているというレアード。下降気味のチームを救う起爆剤として2月以降の復帰が待ち望まれています。また、アーロン・ワン=ビサカ一強状態をディオゴ・ダロトが崩したRB戦線においても、来期以降彼のトップチーム加入で更に高レベルな争いを見れる事を期待。
夏の補強はどうなる?過去の結果から動きを予想
冬の移籍ウィンドウで補強をしなかった事で、今シーズン終了後、2022年夏の市場では大規模な補強をするのではないかという声も大きいマンチェスター・ユナイテッド。
2月に入りエド・ウッドワードが任期を終え、リチャード・アーノルド体制になって最初のオフシーズンとなる訳ですが、ここでは過去のマーケットでの動きを振り返ってみて6月~8月のクラブがどのように動くのかを予想してみたいと思います。
2022冬 なし
(加入はアカデミー選手のローンバックのみ)
2021夏 総額€140M
サンチョ85M ヴァラン40M ロナウド15M
2021冬 総額€21.3M
アマド21.3M
2020夏 総額€62.5M
ファン・デ・ベーク39M テレス15M ペリストリ8.5M (カバーニはFA移籍)
2020冬 総額€75M
ブルーノ63M イガロ(ローン料12M)
2019夏 総額€159.8M
マグワイア87M ワン=ビサカ55M ダン・ジェームズ17.8M
2019冬 なし
(加入はジョエル・ペレイラのローンバックのみ)
2018夏 総額€82.7M
フレッジ59M ダロト22M グラント1.7M
2018冬 総額€34M
サンチェス34M
2017夏 総額€164.4M
ルカク84.7M マティッチ44.7M リンデロフ35M
(参考:Manchester United - Transfers 21/22 | Transfermarkt)
傾向らしきものとしては、夏の大型補強は1年おき。
(2017夏→2019夏→2021夏)
そうなると、2021年夏にサンチョ、ヴァラン、ロナウドと派手に動いた事から2022年夏は比較的大人しめの動きになると見られる。
(とはいえ、他リーグや他クラブからすれば十分高額移籍が含まれているが)
また、シーズン区切りで見ると
21/22:€140M
20/21:€83.8M
19/20:€234.8M
18/19:€82.7M
17/18:€198.4M
1年おきの法則?に加え新型コロナウイルスの影響もあって例年よりも補強に充てる事が出来る金額が減少すると思われる22/23シーズンはビッグネームを狙うとすれば1人が限度かもしれない。
例えば、数年来追いかけているとされるウエストハムのデクラン・ライスはTransfermarkt.comの市場価値で€75M。
実際には、ポジションの希少価値、競合すると思われるクラブ多さ、22夏でもまだ契約期間が2年残っている、報道からは現時点で本人がそれほど積極的にハマーズから出たいと考えていなさそうに見えるといった点を全て考慮するとジャック・グリーリッシュ以来の1億ポンド越え(2月3日時点のレートでは€換算で大体€120M。)も十分あり得る話で、ファンの希望とは裏腹に実際には手が出ない高嶺の花かもしれない。
今回は補強のみを抜き出しており、実際には売りオペや年俸バランスとの兼ね合い等更に数多くの要素が複雑に絡み合っていますが、給与基準が他クラブに比べてかなり高めなユナイテッドの選手は売却先の確保にも苦戦するケースが多いので、自クラブ負担割合を高くするか選手側が大幅な減俸を飲んででも移籍を決意しない限り、そうポンポンとは決まらないでしょう。
逆に、ジェームズ・ガーナ―、イーサン・ガルブレイスといったアカデミー育ちで出向中のセントラルの選手にとっては追い風となる状況になりやすいとも。
あくまで今回の話は全て仮定ですが、静かな移籍ウィンドウになっても動じない心の準備は必要になると私は思っています。