*21/22イングランド・プレミアリーグ第5節
マンチェスター・ユナイテッドvsアストン・ヴィラ戦の記事です
この試合を歯切りとしてユナイテッドは12月初旬までプレミアリーグ、CLの難敵との対戦が続きます。
先を見据えるという意味でも過去数シーズンはPLの優勝チームの勝ち点が90を超える事がごく当たり前のようになり、38試合中敗戦の猶予は3~4試合程度。
相性的に得意な方であるアストン・ヴィラ相手にここで負けるわけにはいかず、カップ戦の連敗が続いたオーレにとってもこれ以上の失態は自身の立場を不明瞭なものにしてしまいます。
プレビュー
マンチェスター・ユナイテッド
マーカス・ラッシュフォード
アストン・ヴィラ
トレゼゲ
モルガン・サンソン
レオン・ベイリー
スタメン
試合内容
前半
アストン・ヴィラが5バックを選択し、彼らの場合両WBが比較的高い位置に迎撃してくるのでそれを意識してかユナイテッドはロングボールでDF裏狙いを続けます。
11分のデヘア→ブルーノのロングフィードも正にその意図が叶った攻撃で、ポゼッションはホームチーム優勢だったとはいえ、2コートを目まぐるしく何度も行き帰りするような展開なので試合をコントロールしていたとは言い難い。
今思えば、これは逆に彼らに誘い込まれた攻撃だったのかもしれません。
リーグカップのウエストハム戦ではネマニャ・マティッチやフアン・マタといったボールを落ち着かせられるベテランプレイヤーがいたので上下前後左右斜め全てを効果的に使った目を奪われるようなポゼッションからのチャンスも見られましたが、この日の2センターはMcFredでルーク・ショーとマグワイアも後述する負傷交代の前から動きにキレが無く、それも重なって直線的な攻撃ばかりになってしまった。
16分にはルーク・ショーが釣り出された左のスペースを崩され、マティ・キャッシュのクロスにマット・ターゲットが合わせるヴィラのビッグチャンス。
18分にはユナイテッドもカウンターからグリーンウッドがボックス内に侵入しブルーノにパスを出せばほぼ間違いなく1点ものというシーンに至りますが、この11番はタイロン・ミングスとGKエミ・マルティネスによって殆ど埋められていたゴールマウスへのシュートを選択しチャンスのフイにする痛恨のミス。
今思えばこれはこの試合の結果を暗示していたのかもしれません。
また、19分にはフレッジが純粋なトラップミスでカウンターを潰し22分にはマグワイアがデヘアへのバックパスで意図が合わずワトキンスの決定機を演出とセンターラインの選手の不用意なプレーも相変わらず多い……
更に30分過ぎにはルーク・ショーがプレー続行不可でディオゴ・ダロトと交代
前半は0-0で折り返しますが正直に言えば無得点無失点で終えたのは両方の意味で信じられないという内容で、更にチャンスの質を見ればヴィラに分があったのは明白。
後半
出鼻をくじかれる2度目のアクシデントは53分。
今度はハリー・マグワイアが座り込んでしまい、しばらくプレーを続けましたが明らかに全速力で走る事が出来ないことは明白で、66分にリンデロフと替わり貴重な交代枠をDFに2枠使用せざるを得なかった事はオーレに同情したい。
とはいえ、プレス始動のラインが高いわりにDF4枚の位置は低くそれによって中盤を自由に使われている事はそれと何の関わりもない問題なので今のチームの弱さはオーレとコーチングスタッフに責任が求められます。
攻撃がロングカウンター一辺倒になりがちな事も含め今季のユナイテッドはミドルサードの攻防を軽視し過ぎているきらいがあるのでは。
その一方でアーロン・ワン=ビサカに関しては急速な改善が進んでいるので全てが上手くいっていないという訳ではありませんが、もう一度チームとして再結束を図らなければ今後の厳しい日程を乗り切れそうにない。
以前から言っていますが、私はオーレ続投かつアシスタントの変更が最良の手だと思っています。
サー・アレックス時代から指摘されていたようにマイク・フェランの指導能力には大きな疑問があり、10年以上前から時代遅れと言われ続けているような人物がフットボールの最先端についていけているとは到底思えません。
そして試合終盤88分にはCKからコートニー・ホースに難しいヘディングシュートを決められて1点ビハインド。
ただ、このゴール自体はデヘアの視界をブロックしていたワトキンスのオフサイドが適用されるケースであり、丁度前節のブライトンvsレスターではハーヴィー・バーンズが反則を取られています。
Ole tetep gak terima gol nya Aston Villa semalem karena offside. Liat Watkins yang nutupin De Gea pas bola disundul Hause.
— IG: @unitedtalks_official (@Unitedtalkz) September 26, 2021
Kejadiannya sama kayak Leicester yg gol nya dianulir karena Barnes offside pas bola disundul sapa dah itu. pic.twitter.com/R8YoVWW2ct
とはいえマンチェスター・ユナイテッドというクラブならば本来この失点が何の問題にならない試合運びをしなければならず、スカッドの質で圧倒的に上回りながらいざ11人vs11人となると寧ろ相手の方がやりたい事を遂行出来てしまっている現状に目を背けてはなりません。
その後ATにはゴールを決めたホースのハンドボールでユナイテッドにPKが与えられますが、直前にエミ・マルティネスと口論になっていたブルーノは冷静さを失い珍しく蹴った瞬間に分かるミスキック。
試合はオールド・トラッフォードでユナイテッドがヴィラに敗れるという非常にショッキングな結末となりました。
先述のオフサイド疑惑を巡ってはオーレも試合後に言及。
ハイライト
選手交代
66分 ハリー・マグワイア🔁ヴィクトル・リンデロフ
81分 スコット・マクトミネイ🔁エディンソン・カバーニ
78分 ダニー・イングス🔁エミリアーノ・ブエンディア
86分 ジェイコブ・ラムジー🔁キャメロン・アーチャー
データ
シュート数は4倍の差がついていますがオンターゲットは僅か1本差。
一見するとただの得点力不足の試合に見えなくもありませんがチャンスの質が良かった訳ではなく、半分以上のシュートは強引に放ったものでそもそも得点に結びつきそうにありませんでした。
ビルドアップ~崩しの局面にかけてのマグワイアとショーへの高い依存が結果として裏目に出てしまった試合で、やはりDM2枚をMcFredにするのは対強豪に限るのが賢明かもしれない。
一方、PKを外してしまったブルーノ・フェルナンデスはチャンスメイクにおいて傑出したスタッツを残しておりキーパスはなんと10本。
セルフィッシュだったりそもそも存在感の薄かったりしたアタッカー陣の中では唯一水準を超えるパフォーマンスでした。
xG
xGは1.93:1.57。
ユナイテッドはPKを除くとxG1.15と期待値の面でもヴィラに劣っており、むやみやたらにシュートを放ってもゴールに結びつく可能性は低いという事がよく分かる試合。
オープンプレーの中でxG0.10を超えているのは17分のグリーンウッドと70分のポグバのシュートの2つに留まり、更にその中でも前者に関してはグリーンウッドが素直にパスを出していればより得点期待値の高いチャンスになっていたであろう事は明白。
個人成績も勿論大切ですが今一度チームの勝利という根幹に立ち返って欲しいと思わずにはいられない試合。
あとがき
CLヤングボーイズ戦から状況は悪くなるばかりで、直近4試合で3敗を喫しているマン・ユナイテッド。
次の試合も因縁の相手ビジャレアルとのCL第2節ですが、バックラインのレギュラーのうちラファエル・ヴァランを除く3名が不在の中戦わなければならない恐れがあり、今の戦い方のままではうまくいきそうにありません。
ここは思い切ってポゼッション適性の高い選手を多く使い、中央だけでなくコートを幅広く使うフットボールで危機を乗り切ってほしい。
しつこいですが、リーグカップのファン・デ・ベークは将来を感じさせるパフォーマンスだったので是非とももう一度チャンスを!