この代表ウィークに各地FIFAワールドカップカタール大会の予選が行われ、イングランドは欧州予選グループI ハンガリー、アンドラ、ポーランドとの3連戦という過密日程。
3試合の真ん中、地理的にもピレネー山脈の麓フランスとスペイン2つの国に挟まれるアンドラをウェンブリーに迎え入れて行われた現地時間9月5日17:00キックオフの1戦は正にジェシー・リンガードの為にあるかの如く試合となりました。
JLingz 2G1Aの大活躍
まずは18分、一度失ったボールをタイロン・ミングスのインターセプトですぐさま奪い返し、中央に人員が固まるアンドラをよそに左サイドからカウンター気味に仕掛けたイングランド。
ブカヨ・サカの折り返しをリンガードが左足で決めてスリーライオンズ先制。
ゴールパフォーマンスではお馴染みの"JLingz"ハンドサインに先日ユナイテッド復帰が決まったクリスティアーノ・ロナウドのトレードマークを掛け合わせた新セレブレーションで喜びを表現。
Jesse Lingard hit that 🔥 pic.twitter.com/ALcJoRuBdr
— ESPN FC (@ESPNFC) September 5, 2021
試合後、BEIN Sportsのインタビューに答えたリンガードは「元々、今回の代表戦のセレブレーションについて僕とメイソン(マウント)が考えていて、クリスティアーノ(ロナウド)のものと僕のものを混ぜてやってみようとなったんだ。 あれはちょっとした歓迎ですが、彼はすぐにチームになじんで見事な助けになってくれるでしょう。」とクラブの伝説との再会を今か今かと待ちわびているようなコメントを残しています。
そのロナウド本人は欧州予選グループAのアイルランド戦で劣勢の試合終盤に立て続けに2ゴールを奪い、アリ・ダエイ氏の持つインターナショナルマッチ通算ゴール数の世界記録を塗り替えると共にチームにとって大きな勝ち点3をもたらしてまた1つ歴史に名を刻みました。
▼クリスティアーノ・ロナウド vsアイルランド戦の詳細
比較的早い時間帯にゴールを奪い、試合前半9割近いポゼッションを記録したイングランドですが結局リードは1点に留まり45分を終えます。
大きく試合が動いたのはアタッカーの主力3人を一挙投入してしばらく経った終盤。
ジャック・グリーリッシュのキープ→マウントのペナルティ獲得、そしてPKキッカーのハリー・ケインが追加点と正に途中出場3人でリードを広げたイングランドは78分にもグリーリッシュのデコイランによってノンプレッシャーパスを受け取ったリンガードがそのまま左45度コントロールショットでこの日2点目を記録。
JLINGZ. pic.twitter.com/hveNszixly
— England (@England) September 7, 2021
更に85分には1点目とは逆の形、リンガード→サカでダメ押しの4ゴール目が生まれて勝負あり。
⚽️⚽️🅰️ @JesseLingard
— England (@England) September 5, 2021
🅰️🅰️⚽️ @BukayoSaka87
Well played, lads! 👏 pic.twitter.com/s5ZCMsmDrP
ハイライト
ユナイテッドでも両サイドとトップ下の重要な選択肢に?
文句なしのMoMとなったこの試合のリンガードのスタッツは以下の通り。
両ウイングを務めたサカとは頻繁にポジションを入れ替えてマークを絞らせず、実質的にはマンチェスター・ユナイテッドでブルーノ・フェルナンデスが担っているような役割でゴールに直結する動きを何度も見せていました。
また、オフサイドになったもののパトリック・バンフォードのパスに反応した20分のプレーは正にユナイテッドでブルーノが得意としている攻撃パターンであり、クラブに戻っても今の彼ならば他のアタッカーと上手く共存できるのではないかと希望が膨らみます。
具体的には4-2-3-1ならば3のどれか、4-1-2-3ならば2か3の両翼という所でポジション争いに参加する事になると思われますが、ジェイドン・サンチョには今しばらくフィットに向けた時間が必要な状況、マーカス・ラッシュフォードはご存じの通り肩の手術空けでまだ試合に起用する段階ではないのでここからの1ヶ月半程度がユナイテッドにおけるリンガードの勝負所になりそう。
半期ローンで大活躍したウエストハムのオファーを断ってまでクラブへの忠誠を示してくれたわけですから、是非とも彼には立場を掴んで欲しいと心より応援しています。
新契約のオファーを拒否したと伝えられる
ウエストハムへの移籍を断りレッズに残留する事を選択したリンガードですが、talkSPORTによればクラブからの新契約のオファーを拒否したといい、理由としてはサンチョ、ロナウド加入による中盤~前線のスタメン争いの更なる激化から出場機会が見込めないというもの。
また、彼は以前からスリーライオンズへの想い入れの強さを度々メディアに公言しており、昨季ハマーズにローン加入した決断もEURO2020のメンバー入りをかけての決断だったとされています。
▼West Hamでのリンガード
ただ、あくまで再契約には応じないというだけで彼は2022年6月いっぱいまでユナイテッドの一員である事に変わりはないので、同じく今季終了後契約満了を迎える親友ポグバと共にまずは赤い悪魔の一員として出場する試合には全力で臨んで欲しい。
さて、具体的に移籍となる場合はおそらくフリーエージェントになってから事態が動くと考えられますが、国外リーグの場合には来年1月、国内は契約切れ1ヶ月前からが彼の獲得を狙うクラブの交渉可能期間となります。
今夏のハマーズ移籍を断った事を考えるに、恐らくプレミアではなくイタリアやスペインに新天地を求めるのではないかと思っています。しかしながらこういった報道は本来の目的が新契約の条件をアップグレードさせる為のブラフ(出場機会の確保や週給UP)である事も多く、このニュースだけで全てを評価できるとはは到底思えません。
プランB
2022年以降の大爆発に期待
1つ前のトピックで触れたようにブルーノが担っているプレイメイカー+セカンドストライカーのハイブリッドを彼以外に機能させられそうな選手の筆頭格はリンガードで、ブルーノをリザーブに置きながらもその後の試合展開によって彼を起用せざるを得なかった昨季のハマーズ戦のようなゲームを無くすことが出来るかもしれません。
ブルーノのコンディション管理はチームの成績に直結する重要な要素なので、いくら本人が欠場を極度に嫌うといってもタイトルレースの為に適切なローテーションは不可欠です。オーレもそれは重々承知な筈で、リンガードは年間を通したチーム成績を安定させる為のキーパーソン。
(そういう意味ではファン・デ・ベークのDM挑戦も近いうちに公式戦で試していきたいところです。)