21/22イングランド・プレミアリーグ 第2節
サウサンプトンvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です
まずは前節の振り返りから。
リーズをオールド・トラッフォードに迎えた開幕節は30分の先制点を歯切りに大量5得点を奪い、相手の見事なミドルシュートで一時は同点に追いつかれましたが52分~60分にかけてのゴールラッシュで勝ち越し。
ブルーノ・フェルナンデスはハットトリック、ポール・ポグバは4アシストと正にこれ以上ない最高の出だしを飾りました。
プレビュー
ホームのサウサンプトンは開幕節をエバートンと戦い3vs1で落としましたが、新戦力のストライカー アダム・アームストロングが早速ゴールを奪い、 フルバックのティノ・リヴラメントは図抜けたスピードで近未来の成功を予感させるパフォーマンスと幾つかの希望の蕾は芽生えていました。
今節はホーム開幕戦。
セント・メリーズはマンチェスター・ユナイテッドにとって苦手にしている場所の1つなので、アウェイ無敗記録がかかる赤い悪魔にとっては落とし穴にハマりそうな試合でもあります。
マンチェスター・ユナイテッドは開幕戦で入団お披露目が行われたラファエル・ヴァランがチームに合流し、ディーン・ヘンダーソンも長く続いた新型コロナ感染後の後遺症を克服しキャリントンに復帰。
ラッシュフォードとテレスを除けば概ね全員が起用可能な状態にあると考えられますが、コンディションがフルではない選手に関してはもうしばらく様子見だと思います。
スタメン
試合内容
前半
サウサンプトンは開始直後から激しいプレッシングを仕掛け、近年の対戦で言えば新型コロナによる中断を挟んで昨年7月に行われた試合のような立ち上がり。
上記の試合ではビルドアップ時のプレス耐性の脆さが露呈しましたが、1年経過してもその傾向は変わらず、ハリー・マグワイアとヴィクトル・リンデロフのCB2枚は共に序盤から危うく失点に繋がりかねないボーンヘッドを連発。
ただ、セインツ側もハイラインなのでロングパスで一度スペースに出してしまえば比較的攻撃のチャンスは多くポグバの一発から得点が生まれそうな気配はありました。
7分には右サイドで得たFKでブルーノの低いボールからゴール前で混戦となりますが、ゴールライン上のボールを押し込めずこぼれ球に反応したマルシャルのヘディングも阻まれ先制点は生まれません。
マティッチ-フレッジと左2枚で構成された守備的MF2枚は展開力に乏しく、特にフレッジの機動力が右側で起用された事によってチームに還元される機会が大きく減少し、ユナイテッドの持ち味であるフレキシブルな左サイドの攻撃が中々見られなかったので 過去にも散々指摘されたように4-2-3-1の2をこの2人に組ませるのは無茶でした。
また、ビルドアップではフレッジがRB、マティッチがCB間に降りてくる事が多かったですがマグワイアとマティッチが被ってしまうような場面も見られ、ボールキャリーで相手のマークを交わすという彼の得意なプレーも少なかった。
年々運動量の減るマティッチをこの日のように走力のある相手に起用するならば4-1-2-3ベースで予め中央にエリアを限定しないと厳しい。
予想通りポグバ起点のロングカウンターから幾度かチャンスは作るものの、受け手となるマルシャルはDFとのスピード勝負にほぼ勝てず、この攻め方で行くならば彼ではなくグリーンウッドCF、サンチョRWでスタートすべきだったと多くのファンは頭を抱えていたと思います。
そんなこんなで時間は進み、30分のユナイテッドは自陣左サイドでブルーノが背後からのプッシングにより倒されるもののファウルを貰えず、そのままチェ・アダムスの左足シュートがフレッジのディフレクション、GKノーチャンスの一撃となって不幸な形から失点。
まあこの失点に関して思う事は特にありませんが、強いて言うならば改めてプレミアリーグのレフェリーのレベルに関して悲観的にならざるを得ないかなというところ。
名実共に世界最高のリーグになりつつあるプレミアですが、審判育成というのはクラブ側の管轄ではないのでどうしようもない……
ただ、個人的に少しポジティブな見通しが出来たのは攻撃のセットプレー。
FK,CK問わず毎回のようにユナイテッドの選手がフリーでボールを貰う場面が見られ、内訳もマグワイアだけでなくポグバやグリーンウッドもヘディングシュートを記録しているように昨季までとは明らかに質が違います。
これが新任のラムジーコーチの手腕なのだとすれば1人のスター選手を獲得したのと同じくらいの効果が見込めそう。
後半
セインツはウォルコットに替えてCBのベドナレクを投入し、4-4-2から5-3-2へ守備陣形を変更。
おそらくフルバックの裏に空きがちだったスペースを潰す意図だと思われます。
失点こそ無かったとは言えビッグチャンスに繋がりそうな場面は何度もあったので2列目のプレスをある程度諦めてもブロックを固める判断は間違っていないでしょう。
それでもスペースを埋めきるには至らず47分、マティッチの左サイド裏への長いパスを起点にマルシャル→ブルーノが1つ飛ばしで逆サイドへ→ワン=ビサカ→最後はポグバのボレーというデザインされた美しい攻撃でゴールに迫ります。
そして55分には右サイドからの折り返しが流れ仕切り直しの攻撃で、この日も驚異的プレーを連発していたポグバとブルーノのワンツーから最後は若き11番の2戦連続ゴールで同点!!
正直GKに助けられた得点ではあるが、シュートに至るまでのプレーは何度見ても美しい
追撃したいユナイテッドはカウンターでは走力不足、遅攻でもボールキープに苦しみほぼノーインパクトのマルシャルに替えてジェイドン・サンチョを投入し、これに伴い前線の組み合わせをグリーンウッドCF、サンチョRWの待望された形に変更。
ただ、DM2枚特にマティッチのタイマーが限界を迎えて前線にまともな形でボールが届く機会すら少なくなった65分以降のチームの中でいきなり結果を残せというのはあまりに酷なミッションで、スールシャールの采配もマティッチではなくフレッジから中盤の交代カードを切るなどあまり効果的では無いものに終始し最後の20分でユナイテッド側が記録したシュートは途中出場のマクトミネイが放ったミドルのみ。
その一本もDFにブロックされているので実質的には相手ゴールに迫ったシーンは0。
ハイプレスのセインツの中盤よりも早くガス欠になったマティッチはもうユナイテッド式4-2-3-1でフル出場は厳しいかも。
普段の組み合わせがスタミナのあるフレッジ-マクトミネイなのでよりそう思ってしまうような試合で、一番の感想としては個人的にオフの最優先事項だと考えていたDMの補強に関して残り一週間強でチームには全力で動いてほしいという強く想いました。
ハイライト
選手交代↔
46分 ウォルコット🔁ベドナレク
70分 ジェネポ🔁I.ディアロ
79分 ペロー🔁カイル・ウォーカー=ピータース
59分 マルシャル🔁サンチョ
76分 フレッジ🔁マクトミネイ
86分 マティッチ🔁リンガード
データ
スタッツはユナイテッド優勢。
サウサンプトンは74分のマグワイアのミスから得たアダム・アームストロングの決定機を除けばほぼ得点機会の無かった試合なので、引き分けで終えられたのはまずまずといったところでしょうか。
この試合のMoMを決めるとすれば、恐らくセインツのDF2人 モハメド・サリスかティノ・リヴラメントのどちらかになるでしょう。
前者はライン上のクリアのみならずタックル,インターセプト共に3回ずつ、デュエルも地空で3/4と優位に試合を運び失点を1つに留めた最大の功労者。
後者は40分に見せたフレッジを置き去りにした突破など攻撃面で一番の脅威でしたが、インターセプト6回と守備でもプロ初挑戦のシーズンながらまるで物怖じすることなく、今後も厄介な相手になりそう。
Colossal. @tino_livramento 💫 pic.twitter.com/dNzrny9l45
— Southampton FC (@SouthamptonFC) August 22, 2021
xG
Southampton 1 - 1 Manchester United (August 22 2021) | EPL | 2021/2022 | xG | Understat.com
xGは0.59-2.26。
ユナイテッドからすれば何故勝ち点1しか持って帰れなかったのかというような90分。
ただ、内容を見るとセインツをお株を奪うようにセットプレーからビッグチャンスを複数作りましたが、オープンプレイでは1つも記録出来なかったのでやはり勝ちきれない事にはしっかり原因があります。
チャートを見ても12分以降は合計でもxG1.0以下。
あとがき
DMの補強とは言ったものの、既に各国のリーグ戦は開幕しており何もツテのない所から獲得するのは現実的に困難だと思います。
とすれば代理人やクラブとの取引がある選手という事になりそうですが、もし獲得があるとすればそのような諸々込みで私の中ではこの中のいずれかだと予想。
①ウィルフレッド・エンディディ
②ルベン・ネベス
③パリーニャ
④デニス・ザカリア
デクラン・ライスは推定移籍金の高さとクラブ側の姿勢を見て今夏は無いだろうと外しました。他にはモナコのオーレリアン・チュアメニの名前も最近目にしますが、彼の場合は先行投資の意味合いが強く即効性のある補強とは思えないのである程度年齢を重ねた選手にして欲しいという個人的希望。