*EURO2020 グループC Matchday3 ウクライナvsオーストリア戦の記事です。
昨日の記事でも言及したように3位突破に望みを繋ぎたい他グループの国にとっては今後を大きく左右するビッグマッチであるこの一戦
▼グループステージ突破条件について
試合前のメディア予想では両国ともにトーナメントを睨んで引き分け狙いの談合もあり得るのではないかという記事も出ていましたが、今大会のグループステージは混戦のグループが多いので勝ち点4得失点差0では安全圏とは言えないスコア。
つまり、確実にノックアウトステージに進むためには勝利が絶対条件なのでどちらのチームも全力で勝ち点3を奪いに行くと思われます。
スタメン
ウクライナは4-3-3、オーストリアは4-2-3-1スタート。
サイドアタックのクオリティでは後者が上回っているのでおそらくオーストリアが有利なマッチアップになると考えられます。
ウクライナはフリーマンのようにピッチの至る所に顔を出すマルセル・サビツァーを消す事が出来るかどうかで試合の結果が大きく変わる事になりそう。
試合内容
序盤から飛ばしていたのはオーストリア。
ダビド・アラバのクロスを中心にウクライナを攻め立てますが最初の15分は決定機なしで経過。
18分にはウクライナのコーナーキックでザバルニーとバウムガルトナーが接触し後者は頭を痛めたようでしばらく試合が止まりました。
スコアが動いたのは21分。
アラバのコーナーキックから先程接触があったばかりのバウムガルトナーが足裏でボールを押し込みオーストリア先制
レアル・マドリーへのフリー移籍が決まっているアラバですが、やはりキックの質が素晴らしい。
左側ではアラバ、右はシュラーガーからそれぞれチャンスクリエイト出来て3列目のDM2枚も非常に守備強度の高い選手なのでこの構成のオーストリアはかなり手強いチームだと思います。
また、RB系列でプレー経験のある選手が非常に多くチーム全体の意思を統一しやすい事も彼らにとっては大きなプラス要素。
先制点のバウムガルトナーは接触のダメージが残っていたようで33分にシャルケのアレッサンドロ・シェプフと交代でピッチから退きますがその後も試合はオーストリアペースで進行。
42分にはカウンターからサビツァーがアルナウトビッチへラストパスを送りますが、北マケドニア戦で得点を挙げた際にアルバニア系のアリオスキへ侮辱の言葉を吐くなど30歳を超えてもトラブルメーカーっぷりに衰えの見えないセルビアにルーツを持つこのFWは決定機を決められず。
知っている方も多いと思いますが、アルバニアとセルビアの関係についてはコソボ紛争で検索してみて下さい
アルナウトビッチは前半おかしくない展開でしたが0vs1で折り返し。
後半に入るとウクライナはRBのカラバエフのクロスから徐々にオーストリアゴールへの距離が近づくようになりますがあと一歩届かず。
62分、左サイドアタッキングサードで獲得したFKのチャンスにオーストリア24番ライマーのクリアが危うくオウンゴールになりかける場面こそありましたが全体的にはポゼッションで主導権を握りながらもシュートまで行けない攻撃が多く、枠内シュートは前半28分の一度のみ。
終盤87分には右サイド角度のないところからFWヤレンチュクが右足でファーポストを狙うシュートを放ちますがこれも枠の外。
試合はオーストリアが0vs1で勝利。
グループ内のもう1試合ではオランダが北マケドニアに3得点を奪う快勝で3戦3戦でのトーナメント進出を決め、北マケドニアのレジェンド ゴラン・パンデフはこれが代表最後の試合だったので交代でピッチを後にする際には両チームサポーターから拍手が送られ、チームメイトが花道を作って栄誉を称える感動的な場面もありました。
▼グループCの最終順位は以下のように
1位:オランダ⇒勝ち点9 得点8 失点2 得失点差+6
2位:オーストリア⇒勝ち点6 得点4 失点3 得失点差+1
(トーナメント自動進出ライン)
3位:ウクライナ⇒勝ち点3 得点4 失点5 得失点差-1
(敗退決定ライン)
4位:北マケドニア⇒勝ち点0 得点2 失点8 得失点差-6
ウクライナは勝ち点3得失点-1という事でノックアウトステージ進出は正にここが分水嶺になりそうですね。
因みに、後に行われたグループBの2試合で3位がフィンランド(勝ち点3得失点-2)に決まったので、グループAのスイス(勝ち点4得失点-1)は3位チーム上から4番目以上が確定し、トーナメント進出が決まりました。
選手交代
46分 in:ツィガンコフ out: マリノフスキ
68分 in:マルロス out:シャパレンコ
85分 in:ベセディン out:マイコレンコ
33分 in:シェプフ out:バウムガルトナー
72分 in:イルザンカー out:K.ライマー
90分 in:アルナウトビッチ out:カライジッチ
データ
オーストリアはポゼッションこそ相手に譲ったものの、試合を通じてカウンターやセットプレーからチャンスを生み出しシュート数では3倍以上の差をつける狙い通りの結果となりました。
バウムガルトナー、そして後半に入り熱中症のような素振りを見せたライマーの途中交代は気がかりな要素ではありますが前者と交代で出場したシェプフは57分でキーパス3回と選手層の充実さもアピールする事に。
一方のウクライナはブロックの外でパス回しを余儀なくされる時間が多くなり、ほとんど長所を出せずに敗戦という悔しい結果。
過去2戦でゴールを奪っていたアンドリー・ヤルモレンコもこの日はシュート0本と沈黙してしまい、全体的に見ると左サイドがかなり低いパフォーマンス。
選手間の距離を見てもオーストリアの前線がかなり流動的にスペースを狙っていたのに対しウクライナは陣形通りで変化に乏しく1トップのヤレンチュクが孤立していた事が伺えます。