まさに急転直下だったカルロ・アンチェロッティのレアル・マドリー監督就任。
2019年の年末から今季までおよそ1シーズン半指揮したエバートンではそれ以前のクラブでの経験からアラン、ハメス・ロドリゲスなどビッグネームの勧誘に成功しマージ―サイドで長期政権を築き上げるものだとばかりに思っていましたが、2013~2015まで率いていた古巣でもある白い巨人からのラブコールに目を背ける事は出来なかったようです。
今回はそんなイタリアの誇る名将がリバプールの地で残した成績、そして未来への種まきについて振り返っていこうと思います。
得失点は伸び悩む。一方平均勝ち点はモイーズ以降でTOP
(data:Everton FC - Historical league placements | Transfermarkt)
アンチェロッティといえばビッグクラブを渡り歩きいずれのクラブでも選手との調和を重視して得点力の高いチームを作り上げてきましたが、エバートンでは得点を思うように伸ばす事が出来ませんでした。
トフィーズでは初のフルシーズンとなり、ハメス・ロドリゲスを獲得し生え抜きFWキャルバート=ルーウィンが本格化した20‐21シーズンも総得点はリーグ11番目の47点に留まり、失点数もリーグ順位と同じ10番目と中庸な値。
しかしながらリーグ戦のPPM(1試合平均獲得Pts)を見ていくとデイビッド・モイーズを僅差で抜いて21世紀以降ではクラブ歴代1位の勝ち点を得ておりその勝負強さは健在。
実際にunderstat.comのxPTS(勝ち点期待値)は50.72だったことに対して現実の勝ち点は59と8.28点上回っており、これは同サイトにおけるPL今季No.1のプラスなので、運が良かったのか或いはアンチェロッティの手腕なのかは分かりませんが試合内容よりも上振れた結果を出している事は確かです。
(参照:EPL xG Table and Scorers for the 2020/2021 season | Understat.com)
後任候補
Sky-Sportsによれば後任最有力は先日ウルブスの監督を退任したヌーノ・エスピリト・サント。
クラブオーナーのFarhad Moshiri氏はヌーノ指揮下でのウルブスのプレーや成長ぶりに感銘を受けており、新スタジアム建設を筆頭に中長期プロジェクトで将来のタイトルを狙うエバートンに彼が最も相応しいと考えているようです。
また、ウエストハムでCL出場権まであと一歩に迫りマンチェスター・ユナイテッド時代に落とした名声を取り戻したデイビッド・モイーズの再任やボーンマスで魅力的なフットボールを見せたエディー・ハウらの名前が取りざたされています。
上のグラフにある通りサム・アラダイス以降の3名の指揮官の元ではいずれも得失点差がマイナスに転じてしまっているチーム状況なので、5バックを愛用し守備構築には定評のあるヌーノを狙う動きは間違っていないように思います。
ベン・ゴッドフリーはアジリティもあり問題なく5バックに対応できる筈。
メイソン・ホルゲイトも課題の空中戦対応に関してCBが一枚増える事によって負担軽減が可能でマイケル・キーンを含めイングランド人3名の構成が安定しそう。
攻撃に関してはタレント頼りの傾向もありますが、今のトフィーズを見るとルーウィン、ハメス、リシャルリソンとアタッカーは粒ぞろいでLBのルカ・ディーニュからも高精度のクロスがあるのでヌーノが率いればかなり脅威になり得ると考えられます。
特に対エバートンの相性が悪くウルブスにも戦績の良くないマンチェスター・ユナイテッドにとってはバッドニュースかもしれない……
ここ数年は毎年積極的な補強をしながらも順位が追いついてこないエバートン
まだ誰になるかは分かりませんが次の指揮官の元ではマルティネス以来の長期政権と17‐18シーズンを最後に3季遠ざかっている欧州カップ戦出場を果たしたいですね。