どうも皆さんこんにちは、いろ覇です。
プレミアリーグは1月1日からエンジン全開フルスロットル。
マンチェスター・ユナイテッドはホーム、オールド・トラッフォードで好調なシーズンを送る暫定5位のアストン・ヴィラと対戦します。
試合プレビュー
まずは訃報からお伝えしなければなりません。
1970年代にユナイテッドの監督を4年半ほど務めたレジェンド、トミー・ドハーティ氏が大晦日の12月31日に自宅で逝去されたそうです。
(トミー・ドハーティー氏が逝去 | マンチェスター・ユナイテッド公式サイト)
サー・マット・バスビーの黄金世代がサイクルの終焉を迎えた70年代前半の苦しいチームを引き受けたので一度はクラブを降格させてしまいましたが、1シーズンで再昇格を果たすと、1977年にはリバプールを2vs1で破りFAカップのタイトルを手にするなど、クラブの再興に多大なる貢献を果たした人物です。
"The Doc"ことドハーティ氏はアストンヴィラでも指揮経験があるので、この試合ではその栄光をたたえる意味も込めて黙祷が行われるでしょう。
アストン・ヴィラ
アストンヴィラのキーマンは何といっても10番を背負うジャック・グリーリッシュ。
夏の移籍マーケットではマンチェスター・ユナイテッドへの移籍も噂されましたが、ヴィラと新たに2025年まで続く新契約を結び残留を決断しました。
各種スタッツを見るとチャンスクリエイト数はブルーノ・フェルナンデス、ケビン・デ・ブルイネといった猛者たちを抑えてリーグ首位。
xAでもブルーノに0.1差の2位につけるなど、昨シーズンはVARのミスで命からがら残留を果たしたクラブの大躍進には彼の大活躍が必要不可欠でした。
そのグリーリッシュに加えチャンピオンシップから個人昇格してきたオリー・ワトキンス、マティ・キャッシュの2名の活躍は勿論のこと、ここ数試合はアヤックス育ちの元エリート、アンワル・エル・ガジの得点量産も大きなサプライズ。
2017年1月のリール加入以後は中々ポテンシャルを発揮できずにいましたが、ここにきて嘗ての輝きを取り戻す縦横無尽のプレーをウイングで見せてつけています。
マンチェスター・ユナイテッド
一方のマンチェスター・ユナイテッドはカバーニが3試合の出場停止処分でこのヴィラ戦から離脱。
リンデロフも未だメンバー復帰とは行かず、この試合でもスカッドから外れる事が濃厚とされています。
そしてウルブス戦を前半45分で退いたLBのアレックス・テレスに関しては交代は怪我ではなく戦術的理由ということで問題なく起用できる見込み。
怪我人情報
リンデロフ、ロホ
スタメン
マンチェスター・ユナイテッド
ベンチ入り
8マタ、11グリーンウッド、14リンガード、21D.ジェームズ、26D.ヘンダーソン、27テレス、31マティッチ、34ファン・デ・ベーク、38トゥアンゼベ
主にチャンピオンズリーグで使用していたダイアモンド型の4‐4‐2が予想されています。
ホームでのライプツィヒ戦では5得点の大勝の要因になったこの初見殺しの陣形がプレミアリーグでどのくらい通用するかどうかは見所の1つです。
ブルーノは連戦の疲労が色濃くみられるのでこの試合ではポグバ、マルシャルといった比較的休養を与えられている選手の奮起に期待。
アストン・ヴィラ
ベンチ入り
1ヒートン、3N.テイラー、14C.フリハン、19ナカンバ、24ギルベール、27エル=モハマディ、30K.ホース、39K.デイビス、41J.ラムジー
こちらはマンチェスター・ユナイテッドより一日休みが多い中3日という事で現状のフルメンバーで来ました。
全体的に弱点といえる箇所が存在しない良いメンバーですね。
バックラインもコンサの台頭とキャッシュの獲得によって盤石になりました。
そして忘れてはいけないのがアーセナルから獲得したGKのエミリアーノ・マルティネス
15試合で8つのクリーンシートはリーグ1番の数字です。
そしてセーブ率もロリス、ポープに次ぐ3番目の数値と今プレミアリーグで最も注目されているGKの1人。
試合内容
予想とは異なり、マンチェスター・ユナイテッドのフォーメーションは普段の4-2-3-1でポグバを左サイドに配置する形で試合に臨んできました。
ユナイテッドは前半の早い時間帯から試合をコントロールし10分にはマルシャルが左45度の位置からコントロールショットでゴールを狙いますが、ややコースが甘くマルティネスの守備範囲内。
ヴィラも左右の至る所にフリーマンとして顔出すグリーリッシュやRBのキャッシュの精度の高いボールから幾度かチャンスを作りますが得点に至る好機とは行きません。
今宵のワン=ビサカは一味違う
ビッグチャンスを幾度か得点に結びつけられずに不穏な空気が流れ始めたマンチェスター・ユナイテッドでしたが、右サイドをドリブルで駆け上がったワン=ビサカの低弾道クロスにマルシャルが頭で合わせ、前半40分に先制点が入りました。
2021年のチーム初ゴールはマルシャルという事になりました。
ここ数試合は徐々にゴールに直結する働きが増えてきた印象があるので、ここから二桁ゴール&アシストを目指していきたいですね。
この試合では右サイドにラッシュフォードが入った事により安心してボールを預けられる先が増えたのでワン=ビサカは普段よりもプレーしやすい様に見えました。
グリーンウッドとユニットを組むと二人とも余裕がなくあたふたしてしまうので彼にとってはマタやラッシュフォードのようにある程度無理なパスでも何とかしてくれる選手の方が良いのかも。
彼に複雑なタスクを与えてしまうと機能不全に陥りやすいので、シンプルに上下動をするだけでいいという環境作りが大切ですね。
アストン・ヴィラの反撃
前半は1点リードで折り返してアウェイチームにも殆どチャンスを与えなかったユナイテッドですが、後半に入ると一転してアストン・ヴィラペース。
50分に右サイドを崩され最後はキャッシュのGKの頭上を狙ったシュート。
続く51分にはグリーリッシュのクロスからワトキンスのヘディングシュートで連続して失点のピンチが訪れました。
このシュートに対するデヘアの反応は流石でした。
こういう理不尽セーブこそが彼の醍醐味。
その後もヴィラの攻勢が続き、試合が動いたのは58分でした。
FKのリスタートを巡ってワン=ビサカが審判とやり合っている一瞬の隙を突かれてがら空きの右サイドでグリーリッシュがボールを受け取ると、彼のグラウンダークロスから最後はファーサイドで待ち構えていたB.トラオレがデヘアの脇を抜いて同点ゴール。
PKで勝ち越し
失点直後の60分、左サイドの深い位置のスローインからポグバがドリブルでペナルティエリアに侵入すると、これに堪らずドウグラス・ルイスが足を引っかけてしまいPKの判定が言い渡されます。
キッカーはブルーノ・フェルナンデス。
普段とは異なりシンプルなキックで左隅へ鋭いシュートを突き刺しこれで再びユナイテッドが1点リード。
もしかしたら先のビッグ・ロンドンダービーのジョルジーニョのPK失敗が頭に思い浮かんだのかもしれませんね。
背番号3がチームを救う
先程のPK以降試合はよりオープンな展開となり、ここから試合終了までに両チーム合わせて13本のシュートが放たれました。
76分のブルーノ・フェルナンデスのシュートや82分のタイロン・ミングスのヘディングシュートはもう少しで得点という一撃でしたがスコアは動かずアディショナルタイムへ突入。
ATは5分が提示されました。
最大のピンチは試合終了直前の95分、追加点を狙ったポグバのプレーが裏目となり、カウンターから右サイドを崩されるとまずはケイナン・デイビスのヘディングシュートをマグワイアが頭で気合のブロック。
すぐさまこぼれ球に反応したデイビスが再びシュートを試みますが、この絶体絶命の一撃に反応したのはエリック・バイリー。
(https://twitter.com/ManUtd/status/1345290245286182912より)
常人なら筋を切りそうな身体を張ったシュートブロックで難とかこの危機をしのぎ切り、試合はホームのマンチェスター・ユナイテッドが2vs1で勝利しました。
試合後には味方がこぞって彼に駆け寄りその貢献を称えました。
Manchester United players all over Eric Bailly at full-time 🤣 pic.twitter.com/Rpebu03IuJ
— Football Daily (@footballdaily) 2021年1月1日
動画ハイライト
交代選手
65分 in:マティッチ out:マクトミネイ
87分 in:D.ジェームズ out:ブルーノ・フェルナンデス
94分 in:トゥアンゼベ out:フレッジ
79分 in:J.ラムジー out:B.トラオレ
84分 in:K.デイビス out:エル・ガジ
データ
シュート数は両チーム合わせて34本という乱打線となりました。
注目して見てもらいたいのはファウル数。
主審のマイケル・オリバー氏がややユナイテッドに厳しめの判定だったという事も考慮しても22のファウルというのはアストン・ヴィラ10番のジャック・グリーリッシュが如何に相手にとって嫌な存在かと言うことを存分に知らしめるデータだと思います。
22個中8つが彼へのファウルなので、ユナイテッドとしてはとにかく彼だけは何としてでも止めなければという作戦だったのでしょうね。
そんな厳しいマークの中でも4つのチャンスクリエイトで1アシストという活躍は驚異的な数字。
どうすれば彼を沈黙させられるのでしょうか。
xデータ
(参照:Manchester United 2 - 1 Aston Villa (January 01 2021) | EPL | 2020/2021 | xG | Understat.com)
xGでもスコア通り1点弱の差をつけマンチェスター・ユナイテッドが上回りましたが、51分のワトキンスのシュートはxG0.37のビッグチャンスだったので、あそこでデヘアがセーブ出来ていなければ敗戦まであったかもしれませんね。
共にペナルティエリア内で10回以上のシュートチャンスを作ったので、見ている側としてもとても楽しい90分間でした。
マンチェスター・ユナイテッドでは攻撃面ではブルーノ・フェルナンデスとルーク・ショーがそれぞれキーパス数5つと4つで印象的な働き。
アストン・ヴィラはグリーリッシュとマティ・キャッシュが4つと3つでお互いにトップ下とサイドバックのクオリティが高い試合でした。
因みにPKを除いたxGトップはポグバの0.65。
得点を決められなかったことは課題ですが、この日は攻守に躍動していてファンが待ち望んでいた姿を見せてくれました。
あとがき
この勝利によってマンチェスター・ユナイテッドは16試合で勝ち点33、得失点差で開きがあるので2位ではありますが、勝ち点では首位リバプールと並び優勝戦線の最前線に顔を出しました。
直近5試合の戦績はリーグトップでなんと11月2日のアーセナル戦から2カ月間リーグ無敗を継続中。
1月18日のリバプールとの大一番がリーグ戦の結果を大きく左右することになりそうですね。