どうも皆さんこんにちは、いろ覇です。
普段は主にマンチェスター・ユナイテッドについての記事が多いのでライバルチームの考察をする機会は多くありませんが、ベンゲルvsファーガソン時代には一番の好敵手だったクラブがあまりにも勝ち点を落とし続けているので流石に気になって形にしてみることにしました。
この記事を読んでいるアーセナルファンの方がいらっしゃいましたらどうぞお手柔らかにお願いします🙇♂️
リーグ直近5試合で僅か1得点
今シーズンのアーセナルを語るうえで見逃せない要素がこの深刻な得点力不足です。
もう少し範囲を広げて直近8試合まで対象にしても僅かに2得点と10月以降は苦しみ続けており、その得点もマンチェスター・ユナイテッド戦のポグバが与えたPKとウルブス戦のガブリエル・マガリャンイスのコーナーからのヘディングシュートなので、プレミアリーグでオープンプレイから決めた最後の得点は10月4日の第4節、対シェフィールド・ユナイテッド戦の2ゴールまで遡らなければなりません。
2カ月以上も流れの中からゴールを奪えていないのですから順位が低迷しているのも頷ける結果ですね。
アタッカー
チーム内のゴール期待値TOP5を見比べてみますと
- 1位:ラカゼット xG2.7
- 2位:オーバメヤン xG2.6
- 3位:ブカヨ・サカ xG2.3
- 4位:ウィリアン xG1.0
- 4位:エンケティア xG1.0
という順になっており、全体的に数字が低いのでそもそもシュートまで持っていけない割合が多いという事が分かります。
プレミアリーグ全体の数字と示し合わせてみるとリーグトップのヴァーディはxG9.6。チーム内トップのラカゼットで何とかTOP30ギリギリなのでアーセナルは質・量ともにリーグ上位のチームからは大きく差をつけられてしまっている事が明らかです。
また、チーム全体で見ても3vs0で快勝した開幕戦のフラム戦のxG1.8が最高値で基本的には1点台前半がずらりと並び、実数値も90分辺りで僅か0.83ゴールとリーグの下から4番目という惨状なので、効果的な攻撃が中々出来ていないという事があらゆるデータで顕著に出る事になりました。
オーバメヤンのプレーの質はxGで見ても昨年より90分辺り0.2ほど減少してしまっているので、シーズン前に結んだ長期契約が裏目になってしまうかも。
中盤
今度はチャンスメイクについてみていきましょう
ファイナルサードでのパスは378本でリーグ7位、ペナルティエリア内でのパスも100本で8位とまずまずの数字を残すものの、得点に直結する肝心のキーパス数はリーグ15位の84本(バーンリー戦で荒稼ぎする前は69本でリーグ19位 ブービーの位置に沈んでいました。)
ボールを保持して敵陣深くまで攻め入るまでは出来ているものの、最後の一手で詰まってしまっているというのがアーセナル大不振の大きな原因だという事が掴めてきましたね。
パスの傾向としてはグラウンダーや肩の下の高さのパスが多く、ハイボールの本数がリーグ最少と俗にいうポゼッションスタイルのサッカーをやろうという意図は伝わってきますが、現状の選手レベルではこのやり方を貫くのが難しいという事なのかもしれませんね。
もう少しサイドチェンジやDF裏へのハイボールを増やしてウインガーの個人能力を生かす戦い方を一部取り入れてもいいのではないでしょうか。
一部でエバートン時代に中心選手と監督という間柄だったデイヴィッド・モイーズの後継者だなどと揶揄されている通り、12試合で183本とプレミアリーグでは現時点で最もクロスを放っているチームとなっていますが、現在の選手層だと中で合わせられるタイプのプレイヤーが不在なのであまり効果的ではないと思います
ディフェンス
最後は守備陣のスタッツ
守備の評価についてはxGA(被ゴール期待値)やサッカー解説者のベン・メイブリ―さんもTwitterで取り上げたPSxG+/-(ゴール期待値に対してゴールキーパーがどれ位失点を防いだか)という指標を使って判断していこうと思います。
xGAは15.3でリーグ11位の数字(昇順)
PSxGは-0.1でリーグ13位とどちらもリーグ真ん中付近の結果となっています。
GKのレノに関してはセーブ率も66.7%とあまり高くないのでサポーターの評価ほどは優れた貢献を果たしていませんが、かといって余分に失点を許している訳でもないので可もなく不可もなくといったところでしょうか。
DF陣に関してはタックル数も成功率もリーグ下位の数字になっていて代わりにブロック数は多めなのでどちらかと言えばリトリート型の守備戦術を採用している傾向が現れています。
数字上ではそれほど致命的な問題はありませんが、失点につながるエラーが5つとリーグ4位の数字なので集中力の欠如には要注意。
解決策はあの男
今回の検証を総合すると
- ゴール期待値がそもそも低い
- チャンス創出能力はリーグ最低水準
という課題が見えてきたのでその問題を解決する策を探っていこうと思います。
幸運なことにアーセナルにはこれらの弱点を補えるカードが手元にあります。
それならば使わない手はありません。
勘のいい方はもう分かっていると思いますが、そうです。
メスト・エジルです
運動量や守備貢献の低さでエメリ前監督と現アルテタ監督からは冷遇されているドイツのスターですが、現状の問題点をどうにかするには優れた個の力を持つ彼の助けが必要になってくると思います。
今シーズンのアーセナルのスカッドを眺めてみると、パスの出し手となるクリエイティブな選手が足りないというのは火を見るよりも明らかです。
ダニ・セバージョスには一定の期待をかけてもいいかもしれませんがその次が既に思い浮かびません。
期待のホープ、ブカヨ・サカにその全てを一任させるのは流石に酷ではないでしょうか。
勿論外部から補強するというのも一つの案ですが、コロナ禍による経済ダメージやEUとの自由貿易交渉の結果によっては身動きが取れないシナリオも十二分に考えられるので出来るならば今ある素材で解決してしまうのが理想だと思います。
得点力不足解消には
ユース育ちのエディ・エンケティアが適任ではないでしょうか。
体格不足を理由に14歳でチェルシーから放出されましたが、数日後に同じロンドンのライバルクラブに拾われるとその後は各カテゴリーで得点を量産。
今シーズンは遂にトップチームのスカッド入りを果たしたストライカーです。
先程のxGの数値を見ても出場時間は僅かに177分ながら既にチーム内4番手につけているこのヤングスター候補をもう少し起用していってみてはどうでしょう。
90分辺りのゴール期待値は0.51でチームトップ、アシストの期待値でも0.13で2番手と得点力不足のチームの中で可能性を感じさせる数値を記録しています。
余談ですが、彼はFootball Managerシリーズをプレイしている方にとってはお馴染みの選手です。
FM2020ではチャンピオンシップからプレミアリーグへスムーズに昇格したいなら真っ先に彼の獲得を狙うというのが一つのセオリーになっている感すらありました。
スピードがあって決定力も伸びるので怪我さえなければプレミアリーグ優勝まで貴重な戦力になってくれると思います。
現実でも覚醒の兆しを見せているので、今後の躍進に期待。
※今回使用したデータは全て
より引用しています。
データは2020年12月16日時点、プレミアリーグ第12節までのものとなっているので、最新のものとは異なっている場合もあると思いますがどうかご了承下さい。