どうもこんにちは、いろ覇です。
ミッドウィークに行われたCL第5節、対パリ・サンジェルマン戦では立て続けに決定機を逃した事やフレッジの退場も相まってホームで3失点を喫して敗れたマンチェスター・ユナイテッドですが、次の試合はプレミアリーグに戻ってウエストハム戦となります。
パリ戦の記事
irohasesun-fm-foot.hatenablog.com
試合プレビュー
ウエストハムはリーグ戦直近3連勝中で順位は5位と絶好調。
この試合の大きなトピックスとして、3月の中断以来久々に観客を入れて試合が開催できるという朗報があります。
ウエストハムの本拠地があるロンドンは警戒レベルが2なので2000人を上限に観客を入れる事が可能です。
ちなみにマンチェスターは警戒レベル3なので未だ無観客での実施が続くこととなります。(警戒レベルの基準は12月16日に再検討される予定)
また、ユナイテッド公式サイトに掲載されている記事によれば、ウルグアイのCAペニャロールから10月5日に加入し現在はU-23でプレーするペリストリに近くトップチームでの出場機会を与えることをスールシャール監督が示唆しているので、もしかしたらこの試合でのベンチ入りもあるかもしれません。
(ソース:新選手がもたらすものにオーレも興奮 | マンチェスター・ユナイテッド公式サイト)
スタメン
ウエストハム
ベンチ入り
9ベンラーマ、10ランシーニ、11スノッドグラス、16ノーブル、23ディオプ、31B.ジョンソン、35ランドルフ
今シーズンの好調の要因ともなっているこの5バックシステム。
中央のオグボンナは嘗てのパフォーマンスを取り戻し、10月には2018年3月以来2年7カ月ぶりとなる代表復帰を果たしています。
左CBのクレスウェルは元々SBのプレイヤーでしたが、このポジションがかなり合っている印象です。
そしてなんといっても忘れてはいけないのがフォルナルス、ボーウェンのテクニカルなアタッカー二人。
昨シーズンのウエストハムといえばフィジカル全開のイングリッシュフットボールだったのですが、そこに加えて今シーズンは崩しの局面での精度が上がっています。
前回対戦時に苦しめられたアントニオは怪我で不在ですが、今回も厳しい戦いになると予想しています。
マンチェスター・ユナイテッド
ベンチ入り
8マタ、10ラッシュフォード、13グラント、18ブルーノ、31マティッチ、33ウィリアムズ、38トゥアンゼベ
批判の嵐を受けてしまったマルシャルには名誉挽回のチャンスが与えられました。
そしてポグバが11月2日のアーセナル戦以来約一カ月にスタメンに戻ってきました。
その試合では痛恨のPKを与えてしまい、これが相手の決勝ゴールになってしまったのでこちらも汚名を返上していきたいところ。
ライプツィヒ戦を意識してブルーノ、ラッシュフォードの攻撃の核を休ませ待望のトップ下ファン・デ・ベーク。
まだ少し遠慮しているかのようなプレーが多いので、この機会に自分の長所を見せつけてチーム内での立場を掴んでほしいですね。
試合内容
プレミアリーグの試合に観客が入るのは3月10日のレスターvsアストン・ヴィラ戦以来271日ぶりという事もあり、その期待に応える為かウエストハムは試合開始から激しいプレスで前線からプレッシャーをかけてきました。
マルシャルはPSG戦よりはプレスをするようになりましたが、それでもまだまだ緩い所が多く、相手右サイドのボーウェンに危険な形でボールが渡るシーンが散見されました。
復帰してきたポグバも未だ身体のコンディションが万全ではない様子に見えました。
またしてもセットプレー
38分、左(ウエストハム視点)からのコーナーキックでまたもやニアでボールを合わせられ、ファーに流れたボールにソーチェクが反応しウエストハムに先制点が生まれました。
サウサンプトン戦、PSG戦に続きここでもコーナーキックから失点……
しかも毎回毎回ニアサイドを狙われて失点しているのですが、一体どんな練習をしているのか逆に気になります。
以前にも言及しましたが、近代フットボールにおいてセットプレーに致命的な弱点を抱えるというのは試合の大勢に悪い意味で大きな影響を与えてしまう事になるのでここに関しては早急に改善して欲しいですね。
連続するピンチ
失点後のユナイテッドはより一層ディフェンスの乱れが大きくなり、フォルナルスのトゥーキックや裏に抜け出したアレがGKを交わしてあと一歩という所で転倒したシーンなど、失点しても何らおかしくない場面が幾度も回ってきました。
ウエストハムの決定力に助けられましたが、このまま試合が続けば間違いなく敗戦していたと思います。
ウエストハムは前半だけで12本のシュートを放ち、5度のビッグチャンスを創出しています。これではどちらがビッグ6なのか分からないという前半の試合内容でした。
ブルーノ、ラッシュフォード投入
流石にこの前半の体たらくを見てスールシャール監督も堪えきれず休ませていたブルーノとラッシュフォードを後半頭から投入してきました。
替わったのはファン・デ・ベークとカバーニ。
前者はそれほど悪くは無かったのですが、連動性に乏しい今日のような試合ではスペシャルな個の能力があるタイプではない彼のような選手はどうしても仕事が出来ないシーンが目立ってしまいますね。
折角スペースに入ってワンタッチで楔をしようにも味方がフォローに入っていないので手詰まりになっているという場面が何度かありました。
カバーニに関しては連戦だったので単純に疲労していたのかなと思いますが、それでもGKまでしっかりフォアチェックをする献身さは流石でした。
ブルーノ投入によってユナイテッドは全く別のチームに生まれ変わりました。
やはり彼は独力でチャンスメイクを完結してしまえる特別な選手ですね。
取り敢えず彼にボールを渡せば何かしらチャンスが生まれるという実にシンプルな約束事が生まれた事によってユナイテッドは持ち味である高速カウンターが徐々に冴え渡りはじめていきました。
疑惑の同点弾
65分、右サイドに蹴り込まれたロングボールを処理したヘンダーソンのクリアボールが大きな弧を描いて前方に待ち構えていたブルーノへ渡ります。
ブルーノは冷静に後方から選手が上がってくるまで時間を作り、丁寧に渡されたパスにポグバが衝撃的なインフロントのミドルシュートで応えました。
センセーショナルな一撃で同点に追いついたユナイテッドですが、リプレイを見るとヘンダーソンのキックは一度ラインを出てからピッチ内に戻ってきたようにも見えたので、これにはウエストハムのモイーズ監督も第4の審判に猛抗議をしていましたね。
しかしながら決定的な映像がなかった為当初の判定通りゴールという事で試合は続行しました。
ヘンダーソンのキックは飛距離も出るのでうまく使えれば一つの戦術に出来そう。
左右で強いボールを蹴れるのはやはり大きな魅力。
勝ち越し、そしてダメ押し
ウエストハムが前線からプレスを前半ほどかけなくなっていた事もあり、ユナイテッド側が有利な状況でボールを保持出来る時間帯が続きます。
68分にはテレスの低いクロスをグリーンウッドが狙ったのか偶然なのか分からない素晴らしい反転トラップからのシュートでユナイテッドが僅か3分間で試合をひっくり返してしまいました。
皮肉にもマルシャルの負傷交代によって前線にスピードのある選手が固まったのでこのような形でカウンター攻撃が機能するようになりました。
78分にはマルシャルに代わって出場していたマタからの対角線上のパスで1人抜け出したラッシュフォードがGKとの1対1でループを繰り出しユナイテッド勝利がほぼ決まったと言っていい3点目が入りました。
彼はその前にブルーノのスルーパスから生まれた決定機を外してしまっていたので、なんとか面目躍如のゴールでした。
83分にはクレスウェルのFKをヘンダーソンが指先で触り難を逃れるシーンも。
ビルドアップだけでなくシュートストップも一流であることを示すプレーを見せてくれました。
試合はアウェイのユナイテッドが1対3で勝利しています。
動画ハイライト
交代選手
75分 in:ベンラーマ out:フォルナルス
76分 in:ランシーニ out:ボーウェン
85分 in:B.ジョンソン out:ツォウファル
46分 in:ブルーノ、ラッシュフォード out:ファン・デ・ベーク、カバーニ
62分 in:マタ out:マルシャル
データ
標準スタッツから
シュート数はホームのウエストハムが20に迫る本数を放ってユナイテッドにプレッシャーをかけたものの、最終局面でのプレーの精度に欠け、僅か1点しか挙げることができませんでした。
ロングボール主体でDFの裏を狙い続けたウエストハムにショートカウンター狙いのユナイテッドという構図でしたのでパスの指標はそれが如実に現れています。
プレミアリーグに戻って改めてファウルの基準が違うなと実感しましたね。
CLならおそらくイエローが3枚程出ていたと思います。
個人成績に目を向けると、後半から出場したブルーノが8つのキーパスを成立させており、まさにフォーリクラッセ(イタリア語で規格外の選手)という言葉が似合う活躍ぶりでした。
そしてこの試合での大稼ぎによって今シーズンのプレミアリーグでのチャンスクリエイト数が35に達し、二位のデブライネに7つ差をつけダントツの一位に浮上したらしい。
Chances created in the Premier League this season:
— Statman Dave (@StatmanDave) 2020年12月5日
35 — Bruno Fernandes (🥇)
34 —
33 —
32 —
31 —
30 —
29 —
28 — Kevin De Bruyne (🥈)
27 —
26 — Jack Grealish (🥉)
It’s lonely at the top. 👑 pic.twitter.com/YMDFIuPDdY
xデータ
(参照:West Ham 1 - 3 Manchester United (December 05 2020) | EPL | 2020/2021 | xG | Understat.com)
ホームのウエストハムの方がxGでは0.8程上回っていましたが、決め切ることが出来ずに試合を落としてしまいました。
ロンドン・スタジアムに集まった2000人のウエストハムサポーターもこれには苦笑いかもしれませんね。
ホームチームはゴールエリア内から5本のシュートを放ったのですが、得点に結びついたのはセットプレーからの一本のみ。
特に先発左アタッカーのフォルナルスは2度決定機を外してしまったので批判を集めても仕方がない出来でした。
右のボーウェンも51分に後はガラ空きのゴールにボールを流すだけという決定機を枠外に逸らしてしまったので、この日のウエストハム攻撃陣は揃って最後の精度に欠けていましたね。
対するアウェイのユナイテッドはxG1.59で実数値3ゴールと効率よくゴールを奪取しており、同点の一撃となったポグバのミドルシュートはxG0.02という極めて難易度の高いショットでした。
やはり持っている能力は間違いなく高いので、これを機にパフォーマンスを向上させて行って欲しい。
(https://twitter.com/ManUtd/status/1335297955558010880より)
8つのキーパスを通したブルーノはxA1.04と秀でた数字を残しており、彼がいるかいないか、或いは好調か不調かによってチームの出来が180度変わってしまうのは良い点でもあり重大なウィークポイントの一つでもありますね。
彼の不在時にも勝ち点を積み重ねられるチームにならなければこの過密日程のプレミアリーグで安定して勝ち点を積み重ねる事は難しいと思います。
あとがき
www.manchestereveningnews.co.uk
カバーニの交代は戦術的理由ではなく怪我だったそう……
火曜日のライプツィヒ戦で彼を起用できないのはかなり厳しいなぁ。