昨日のアーセナルvsウルブス戦でとても心配な出来事がありました。
試合序盤のプレーでアーセナルDFダビド・ルイスとウルブスFWラウール・ヒメネスが頭と頭で交錯し、前者は頭から流血後者に至ってはその場で動けなくなってしまい、報道によれば一時意識を失っていたそう。
このプレーの直後に敵味方問わずピッチ上の選手が二人に駆け寄ったのを見てただ事ではないと感じましたが、まさかこれほどの事態になっているとは予想していませんでした。
ダビド・ルイスの方はその後包帯を巻いてプレーを続行したのですが、どう見ても出血が止まっておらず血で滲んだガーゼがとても痛々しかった……
結局彼も前半いっぱいで交代しています。
この大事故によって試合はかなりの時間を中断し、前半のATが+10分という時間になったことからもその衝撃の強さが窺えると思います。
試合はアウェイのウルブスが1vs2で勝利したのですが、インタビューに答える選手たちもそれどころではなくヒメネスの容態について案じていたのが印象的。
Raul is comfortable following an operation last night, which he underwent in a London hospital.
— Wolves (@Wolves) 2020年11月30日
He has our love and support as he begins a period of recovery.
We're all with you, @Raul_Jimenez9.
ウルブスから声明が発表され、ロンドンの病院で治療を受けて現在は回復に向かっているとのこと。
詳しい症状については頭蓋骨骨折で、手術も既に完了しているそうです。
決して軽い怪我ではありませんが、ひとまず無事であることが分かったので安堵しました。
正直に言えば今後試合に復帰できるかどうかは50:50だと思います。
ヒメネスと同じように競り合いで2017年1月、当時チェルシー所属のガリー・ケーヒルに前頭部を側頭部にぶつけられたライアン・メイソンはその後試合復帰はかなわずに現役引退。
インテル3冠メンバーで2010年1月にキエーボのペリッシエルと接触して頭蓋骨を負傷したクリスティアン・キヴは2ヶ月後にヘッドギアを装着して試合に復帰しています。
おそらくヒメネスも復帰後はヘッドギアの装着が常になると考えられますが、彼のプレースタイルからすると頭に不安を抱えながらのプレーというのは大分厳しい制約になってしまいますね……
キヴも年齢的なものもありますが3シーズン後には実質的な引退を迎えていて、頭蓋骨の負傷から長年現役続行を果たしたのは2006年にレディングのスティーブン・ハントと接触したペトル・チェフくらい。
彼はGKですので、フィールドプレイヤーと一概に比較する事は出来ないでしょう。
ヒメネスについておさらい
ラウール・ヒメネスは先日の日本戦でもゴールを挙げているので聞き覚えのある方も多いかと存じますが、アトレティコ・マドリードで欧州デビューを果たし、ここでは振るわなかったものの、移籍先のベンフィカでのプレーが評価され2018年夏、当時プレミアに昇格してきたばかりのウルブスに加入。
その後の活躍はまさに水を得た魚の如く勢いで
18-19シーズン:38試合13ゴール
19-20シーズン:38試合17ゴール
とリーグ有数のストライカーに成長しています。
近年の活躍により彼は移籍市場でも人気銘柄の一人となり、先の移籍市場ではマンチェスター・ユナイテッドやユベントスが高い興味を示しているという噂が頻繁に流れてきました。
選手としての持ち味は空中戦の強さと懐の深さでロングボールの基準点になる事です
加えてここ数年は得点力も向上してきたのでストライカーとして完璧に近い選手。
間違いなく円熟期を迎えていた中でのこの大けがは本人にとっても辛いものになるでしょうが、またピッチ上でプレー出来る日を心から祈っております。